2018年3月8日 第10号
ジャスティン・トルドー首相は約1週間のインド公式訪問を終え、2月27日に国会に出席した。同日には予算案が発表されたが、国会ではインド公式訪問でのテロリスト招待の事情について野党の追及が続いた。
今回の件は、2月22日にカナダ政府主催で開催された夕食会に、1980年代にブリティッシュ・コロンビア州でインドの閣僚を襲ったテロリストが招待されていたというもの。その人物はジャスパル・アトワル氏。夕食会ではトルドー夫人や同席した閣僚らが一緒に写真に収まっていることも分かった。
この事実はインドのメディアからの指摘で明らかになった。政府はどのような経緯でこういうことになったのか調査すると現地で語り、その時点では、カナダ首相事務所がこの人物を招待することはあり得ないと語っていた。その後、インド訪問に同行した国会議員の一人、サレーセンター選挙区のランディープ・サライ議員が、アトワル氏の名前を招待客リストに加えていたことが分かった。
しかし23日になって、カナダの高官から、アトワル氏の出席はインド政府によるものとの情報がメディアに流された。インド政府はこれに反論している。
そして27日、帰国後初めて国会に姿を現したトルドー首相は、国会の答弁でこの件について追及されると、アトワル氏が招待されていた事実がメディアから指摘された件について、カナダ高官からメディアへのリークがあったことを認め、この高官の行為を信用すると語った。
さらにこの日、アトワル氏の出席に関わっていたとされる連邦自由党サライ議員は役職を辞任した。
この件については今後も野党から厳しい追及を受けることが予想されている。
インド閣僚暗殺未遂事件とは、1986年バンクーバーアイランドでカナダを訪問中だったインドの閣僚シデュー氏が襲われた事件。またアトワル氏は1985年には、後にブリティッシュ・コロンビア州首相となったウサン・ドサージュ氏も襲っている。