2018年3月15日 第11号

 ジャスティン・トルドー首相が2月にインドを訪問した時に、ムンバイで開かれたカナダ政府主催の食事会に出席していたジャスパル・アトワル氏が8日、バンクーバーで弁護士同席のもと説明会見を開いた。

 アトワル氏は、インドでの食事会出席がこれほど大きな問題になるとは思っていなかったと語り、「結果的に、カナダ、インド、私のコミュニティ、家族に迷惑をかけたなら申し訳ない」と語った。

 今回の件は、メディアからカナダ政府に、なぜアトワル氏が食事会に出席していたのかとの質問があったことがきっかけとなった。

 アトワル氏は1986年にカナダを訪問中だったインドの閣僚への殺人未遂で起訴された。不起訴となったが、テロ行為としてこの事件は扱われた。アトワル氏は当時シーク教独立主義者として活動していた。

 記者会見では「あの時の行為については後悔以外にない」と述べ、改心してコミュニティのためにインドとカナダの架け橋となるよう尽力してきたと語った。

 食事会への出席の経緯については、インド訪問に同行した連邦自由党ランディープ・サライ議員にインド訪問前に連絡を取り、食事会に正式に招待を受けることができないかたずねたと説明した。

 アトワル氏の食事会出席については、インドのメディアが指摘して以降、カナダ政府の高官(のちに国家安全保障問題担当顧問だったと野党が発表)が、わざわざメディアに対してインド政府が招待した可能性があることを知らせるなど、さらなる混乱を招いた。しかし、これについては疑問視する声が強かった。カナダ政府主催の食事会にインド政府が介入することはまずないという意見が多かった。インド政府も完全否定している。

 それ以外にも、テロリスト扱いされたアトワル氏がインドに入国できるのかなど、さまざまな憶測が飛んでいた。

 これらに対して、すでにインド政府からビザが発行され、2017年には2回インドを訪問しているし、政治家との接点についても、自由党とも以前から交流があるし、自由党以外の党とも接している、インド政府から連絡を受けたことは一切ないと説明した。

 アトワル氏の弁護士は、食事会出席の要請について、偽名を使ったり、裏工作をしたりということは一切行っていない、実名で自由党議員にコンタクトを取るという常識的な手段を使ったと説明し、アトワル氏側に非がないことを強調した。

 この件についてCTVに出演したクリスティア・フリーランド外相から、国家安全保障問題担当顧問がメディアにインド政府の関与の可能性を流したことの説明は特になく、彼らの働きを称えることに終始した。

 

 

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