2020年1月23日 第4号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州グリーン党アンドリュー・ウィーバー前党首が15日、グリーン党を離党し無所属で残りの任期を全うすると声明を発表した。詳細は明かしていないが、家族の健康問題が理由としている。

 これでBCグリーン党はアダム・オルセン暫定党首(サーニッチ・ノース選挙区)とソニア・ファーステノー議員(カウィチャン・バレー)の2人となる。

 ウィーバー前党首は2013年にグリーン党として初当選、BC州初のグリーン党議員が誕生した。2015年にはグリーン党党首に就任、2017年選挙では2期目の当選を果たし、さらに2人がグリーン党から立候補して当選するという快挙を成し遂げた。

 2017年のBC州選挙では自由党が最多議席を獲得するも過半数に及ばず、新民主党(NDP)との議席差はわずかに2。そこで3議席を獲得したグリーン党が政権の行方を左右するカギとなり、非公式だが政権運営でNDPと協力する協定(CASA)を結び、NDP・グリーン政権が誕生した。議席数が少ないNDPが政権を担うという、微妙なバランスのBC州政治のカギをグリーン党が握ることになった。

 今回のウィーバー前党首のグリーン党離党で議会の議席数は、自由党42、NDP41、グリーン2、無所属が2となる。もう一人の無所属は自由党から離党し議長となったダレル・プリカス議員。

 ウィーバー前党首は2021年まで任期を全うするため、NDP政権に影響はないとオルセン暫定党首は語っている。ウィーバー前党首は、自身の体調不良を理由に昨年10月に次期選挙には出馬しないことを表明。11月には党首を辞任することを発表し、今月6日には辞任している。グリーン党離党については、BC州議会が始まる前の今月20日から無所属議員となっている。

 グリーン党の次期党首は今夏には決定される予定と発表している。

 

2020年1月23日 第4号

 ジャスティン・トルドー首相は、マニトバ州ウィニペグで21日記者会見し、来週から再開される議会の最優先事項が新北米自由貿易協定(NAFTA)であることを明確にした。

 新NAFTA、新名称USMCA(カナダ国内ではCAMUS)は、カナダ、アメリカ、メキシコの北米3カ国による25年間続けてきた自由貿易協定を更新するもので、昨年12月に3カ国が合意し署名した。

 メキシコでは昨年12月に、アメリカでも先週批准され、残すはカナダのみとなった。3カ国で批准されなければ発効されない。

 トルドー首相は、議会が再開する今月27日には動議を提出する準備を進め、29日には議会に提出すると明らかにした。

 記者会見では、「新NAFTAの批准が政府の最優先」と語り、カナダ国民はカナダ最大の貿易相手国との信頼できる安定した関係を望んでいると語った。政府は「下院での議論を尊重しながら」できるだけ早く新NAFTAを批准することに全力を尽くすと、野党に協力を呼びかけることを示唆した。

 自由党は昨年10月の選挙で過半数が取れず少数派政権となった。新NAFTAを批准するには、まずは下院で野党の協力が必要となる。

 最大野党の保守党は、内容を精査する必要があるとして自由党を追及する構えを見せている。特に酪農業やアルミニウム産業への影響について懸念していると貿易担当広報が語り、簡単には自由党に協力しないという姿勢でけん制している。

 野党第2党ケベック連合党イヴ-フランソワ・ブランシェット党首は、性急な可決には同意できないと21日に党会議後の記者会見で語った。内容を精査し議会で十分に議論する必要があるという。ブランシェット党首は、昨年12月に3カ国が合意した内容はケベック州のアルミニウム産業への保護が、鉄鋼業やオンタリオ州の自動車産業よりも薄いとの認識を持っていると語っている。

 野党第3党新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首はCTVの政治番組に出演し、合意した内容はNDPが改善を進言して実現したものだが、党としては再度精査する必要があると、早急に自由党に合意する姿勢は見せなかった。

 批准されるには時間を要すると予想され、春までずれ込むのではないかとみられている。

 

2020年1月23日 第4号

 マニトバ州ブライアン・パリスター州首相が同州ウィニペグで閣僚会議中のジャスティン・トルドー首相と20日会談した。

 自由党は昨年10月の選挙で、マニトバ州で議席を減らし、アルバータ州、サスカチワン州では1議席も獲得できなかった。

 その要因の一つが環境対策。トルドー自由党政権は環境対策として炭素税導入を実施。連邦政府の基準と同等かそれ以上の炭素税、もしくは同等の制度を導入しなかった州に対して、2019年1月から強制的に連邦政府の炭素税を導入。マニトバ州も対象となった。

 マニトバ州では独自案を計画していたが、それでは不十分と自由党政権が却下。そのため州政府は炭素税導入を見送り、連邦炭素税が導入された。今回の会談ではマニトバ州の環境対策が話し合われたとパリスター州首相が明かした。

 州首相は、マニトバ州では水力発電に投資したりして独自に温室効果ガス排出量を削減する努力をしていると主張。近々新環境対策計画を発表する予定で、そこには「炭素税のようなもの」も含まれていると語っている。

 州首相は、自由党政権がカナダを一つにしたいと思っているなら自分たちの政策を押し付けることはせず独自政策を尊重すべきと語り、「マニトバ州とうまくやれないのなら、他の強硬な州とは到底無理だろう」と語っている。

 パリスター州首相はウエクジットという考えには賛成できないとし、連邦政府と協力することが重要との認識を示していて、そのためにアルバータ州やサスカチワン州との橋渡しをする用意があるとも語っている。

 アルバータ州、サスカチワン州は、炭素税導入に強硬に反対している。

 

2020年1月23日 第4号

 ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーを走るスカイトレインのカナダラインに新車両が導入された。

 リッチモンド市で行われた21日の記者会見で、メトロバンクーバーの公共交通機関を管理運営するトランスリンクのCEOケビン・デスモンド氏は、今日から4車両が導入されラッシュアワー時には利用可能者数が最大15パーセント増加すると語った。さらに春までに8車両が増加され、最大35パーセント増加するという。ピーク時で輸送能力は最大2千人増となると語った。

 リッチモンド市マルコム・ブロディ市長は、「今日から車両増加で、市長評議会ビジョン第2段階が始まる」と語った。

 カナダラインは、2010年2月にバンクーバーで開催された冬季オリンピックを前に2009年に開通した、リッチモンド市、バンクーバー国際空港、バンクーバーダウンタウンを結ぶスカイトレインで、市民や旅行者の足として利用されている。

 バンクーバーでは環境問題と合わせて公共交通機関の充実を図っていて、メトロバンクーバーの市長で構成される市長評議会が公共交通機関拡大10年プランを承認。現在は第2段階に入っており、今回の8800万ドルの投資もその一環となっている。

 

2020年1月23日 第4号

 ブリティッシュ・コロンビア州ビクトリアに初のハイブリッド客船が到着した。

 同州バンクーバーとビクトリアがあるバンクーバー島の都市を結ぶBCフェリーが注文。2隻は昨年11月20日にルーマニア・コンスタンツァを出発、17日に長旅を終えた。

 建設費8650万ドル、1隻には約300人から400人が乗船でき、車両47台を乗せることができる中型フェリー。将来的には充電施設が整えば電気で運航することができるという。建設したのはオランダに本拠を置くダーメン・シップヤード・グループ。

 2隻はビクトリアで調整や検査を終えた後BCフェリーに引き渡され、乗員の訓練を経て、今年中頃に正式に定期船として運航する。

 導入されるのは、パウエルリバー/テクサーダルートとポートマックニール/アラートベイ/ソイントゥラルート。

 BCフェリーは昨年11月には、さらに4隻を注文したと発表している。

 ハイブリッド船は温室効果ガスの排出量削減だけでなく、海中での放射騒音も軽減するとBCフェリーは説明している。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。