2020年1月23日 第4号
ジャスティン・トルドー首相は、マニトバ州ウィニペグで21日記者会見し、来週から再開される議会の最優先事項が新北米自由貿易協定(NAFTA)であることを明確にした。
新NAFTA、新名称USMCA(カナダ国内ではCAMUS)は、カナダ、アメリカ、メキシコの北米3カ国による25年間続けてきた自由貿易協定を更新するもので、昨年12月に3カ国が合意し署名した。
メキシコでは昨年12月に、アメリカでも先週批准され、残すはカナダのみとなった。3カ国で批准されなければ発効されない。
トルドー首相は、議会が再開する今月27日には動議を提出する準備を進め、29日には議会に提出すると明らかにした。
記者会見では、「新NAFTAの批准が政府の最優先」と語り、カナダ国民はカナダ最大の貿易相手国との信頼できる安定した関係を望んでいると語った。政府は「下院での議論を尊重しながら」できるだけ早く新NAFTAを批准することに全力を尽くすと、野党に協力を呼びかけることを示唆した。
自由党は昨年10月の選挙で過半数が取れず少数派政権となった。新NAFTAを批准するには、まずは下院で野党の協力が必要となる。
最大野党の保守党は、内容を精査する必要があるとして自由党を追及する構えを見せている。特に酪農業やアルミニウム産業への影響について懸念していると貿易担当広報が語り、簡単には自由党に協力しないという姿勢でけん制している。
野党第2党ケベック連合党イヴ-フランソワ・ブランシェット党首は、性急な可決には同意できないと21日に党会議後の記者会見で語った。内容を精査し議会で十分に議論する必要があるという。ブランシェット党首は、昨年12月に3カ国が合意した内容はケベック州のアルミニウム産業への保護が、鉄鋼業やオンタリオ州の自動車産業よりも薄いとの認識を持っていると語っている。
野党第3党新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首はCTVの政治番組に出演し、合意した内容はNDPが改善を進言して実現したものだが、党としては再度精査する必要があると、早急に自由党に合意する姿勢は見せなかった。
批准されるには時間を要すると予想され、春までずれ込むのではないかとみられている。