2018年8月30日 第35号
ケベック州議会議員選挙が23日、公式に始まった。2014年に政権を取ったケベック自由党は、現在のところ支持率では2位と苦戦している。トップを走っているのは、中道右派のフランソワ・レガルト党首率いるCAQ。3位はケベック党(PQ)、4位はケベック連帯(QS)となっている。
今回の選挙で注目されているのは、経済、移民対策、環境問題対策、教育、そして、ケベック州独自の独立問題。
経済では、現在アメリカとの経済摩擦がケベック州に及ぼす影響が争点となっている。特に、産業保護政策ではケベック州に多い酪農業が対象となっているため繊細な問題となっている。
移民対策では、自由党が2018年に約5万人の受け入れを表明しているのに対し、CAQとPQは移民の受け入れを否定はしないが、年間5万人が多すぎると訴えている。ケベック州では昨年からアメリカからの難民が後を絶たず、受け入れ態勢が整わないなど大きな問題となっている。
環境問題では、各党とも積極的な取り組みを表明している。特にPQとQSが積極的で、PQは今後建設される化石燃料プロジェクトの廃止、QSは2030年までにケベック州で販売する自動車は、全て電気かハイブリッドとすることを含めた30年後に、95パーセントの炭素排出削減を掲げている。
そしてケベック州独自政策の独立問題については、今回の選挙ではケベック独立を掲げる党がないことが特徴。自由党は連邦主義で知られるが、今回は独立派のPQも政権を取っても独立を問う住民投票はしばらく実施する予定はなく、実施するとすれば2022年になると表明している。CAQは連邦政権の中で、ケベック州の権力を強めていくことを目指すとしている。
ケベック州の選挙は10月1日に実施される。
2018年8月30日 第35号
交渉が難航していたカナダ、アメリカ、メキシコが参加している北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉のため28日、クリスティア・フリーランド外相がアメリカ・ワシントンDC入りした。
NAFTAについては、先週アメリカとメキシコが2国間交渉を続け、26日には2国間協議で合意したと発表した。
これまでカナダだけが蚊帳の外という状況だったが26日にジャスティン・トルドー首相は、アメリカ・メキシコの2国間協議合意はカナダにとっても歓迎すべきことと語っていた。
ワシントン入りしたフリーランド外相は、アメリカ通商代表部ロバート・ライトハイザー代表と会談。「建設的な話し合いができた」と笑顔を見せ、29日にも再びライトハイザー代表と詳細な協議が予定されていると記者団に語った。この時の記者会見では、三者協議の可能性については言及したものの、予定されているとは明言しなかった。
28日午後には、メキシコの代表と会談している。
トルドー首相はカナダのNAFTA再交渉参加について29日、カナダにとって非常に重要な協定との認識は示したものの、28日に記者団に短い会見で語ったと同様に、この日も、カナダの酪農業を保護する保護措置制度を廃止するつもりはないと、この点については譲歩しない考えを示した。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、カナダの乳製品に対する保護措置を批判している。
3カ国は31日までの合意を目指している。ただカナダとアメリカの間には依然大きな隔たりがある。トランプ大統領は、カナダが3カ国の合意に応じない場合には、カナダからの自動車輸入に対して、高関税をかける可能性があると警告している。トランプ大統領はカナダの乳製品への保護措置解除を引き出したい考えを示している。
フリーランド外相は、3カ国交渉について楽観的な見方を示している。
2018年8月30日 第35号
国内大手航空会社エアカナダ社とウエストジェット社は、預け入れ荷物の料金を引き上げると27日に発表した。
1個目はこれまでの25ドルから30ドルに、2個目は30ドルから50ドルに引き上げられる。
今回の引き上げは、アメリカの航空会社ジェットブルー社の引き上げに続いたもの。
エアカナダは、料金改定は2014年以来で、全体的な運営費用が上がる中、料金引き上げはそれを相殺すると理由を説明した。
エアカナダで対象となる路線は、カナダ国内線、アメリカ線、カリブ海・メキシコ線。10月5日以降の出発便で、最も安い料金設定のクラスが対象。エコノミー・フレックス、エコノミー・コンフォート料金クラスは引き続き、預け入れ荷物1個目は無料、アルティテュード・プレステージ、エリート、スーパーエリート会員、スターアライアンス・シルバー、ゴールド会員、エアカナダ・バケーション・ツアー利用者も対象外となっている。
ウエストジェットで対象となる路線は、国内線、アメリカ線、国際線。10月1日以降の出発便から対象となる。ただウエストジェット・プラス、ゴールド、シルバー会員や、RBCワールド・エリート・マスターカードで予約した利用者は対象外となっている。
ウエストジェット社も航空業界の競争激化でかさむ費用を相殺するために必要な措置と説明している。
2018年8月30日 第35号
アマゾンカナダは、プライムメンバー年額プランの他に月額プランを始めると28日に発表した。月額は7・99ドル。現在年額は79ドル。
これからプライムメンバーに入会したいと思っている人に、気軽に入れるプランとなっていると、アマゾンカナダ代表マイク・ストラウチ氏は語っている。
プライムメンバーになると、プライムビデオ、プライムミュージックなどの利用が便利になる。
月額メンバーは、退会が月単位でできるのが特長。現在年額プランメンバーも、契約が切れた後月額メンバーとして入会することができる。
アマゾンカナダは2013年から、プライムメンバープランを導入。最近18カ月では、メンバー入会者が2倍になっていると発表している。
アマゾンカナダは、今月20日にオンタリオ州オタワでのフルフィルメントセンター竣工式が行われ、ジャスティン・トルドー首相が参加した。
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーでは、ダウンタウンにある旧カナダポストのビルをオフィスビルにする計画になっていて、カナダでの事業を拡大している。
2018年8月30日 第35号
ブリティッシュ・コロンビア州の各地で発生している森林火災の規模が、同州の記録の中で最大だった昨年に続く、2番目の規模になった。
昨年は1万2千平方キロメートル以上の森林が焼失したが、今年の森林火災は、これまでに9450平方キロメートルに広がった。同州内陸部のカムループス市にある、BC州森林火災管理センターによると、昨年と今年では森林火災のパターンに大きな違いがあるという。
昨年の森林火災のうち、最も燃え広がった火事はいずれも7月上旬の3日間で発生したという。この期間で発生した森林火災は何百にもなり、最初は別々だったいくつかの森林火災が次第にひとつにまとまり勢いを増し、何カ月間にわたり燃え続けた。
それに対し今年の火災は、発生件数だけ見ると600件も昨年を上回っているものの、そのほとんどで消火が順調に進んでいる。この違いは、春先に起こった大雨によるという。同州南部の多くの地域では、洪水が発生するなどして森林が保持していた水分が多くなり、森林火災の消火活動をはかどらせる結果となった。
昨年は約6万5千人が火災を避けて移動したり、勧告を受けて避難したりしたほか、300以上の建築物が焼失した。今年は今までのところ140棟程度が焼失しているが、その半数以上は納屋などで、住宅の損失は50件前後だろうと、管理センターでは話している。避難した人の数はまだ正確には把握されていないが、BC州危機管理局にはこれまで、5400人ほどが緊急サービスの提供を申請している。
昨年の消火活動には5億6800万ドルが費やされたが、今年は3億ドル程度になるだろうと、管理センターでは予測している。