2018年9月13日 第37号

 カナダの郵便局カナダポストの労働組合CUPWは11日、交渉が決裂した場合にストライキを実施することを賛成多数で承認した。

 CUPWは労働協約で昨年から労働相との交渉が続いている。もし9月26日までに協約で合意に至らなかった場合は、労働組合のストライキ、もしくは施設封鎖が実行される可能性がある。

 パトリシア・ハイデュ労働相広報官は、ハイデュ労働相が調整役を任命して交渉を続けていると声明を発表している。

 CUPWは協約合意の条件に、時給の引き上げ、福利厚生の改善を含めているが、政府からの回答は承認できるものではないと発表している。

 さらに組合は従業員に直接かかわるもの以外として、カナダポストのサービス範囲拡大も要求している。金融サービス、生鮮食品デリバリーサービス、環境に優しい車両の導入などが含まれている。

 カナダポストが前回施設封鎖を実行したのは2011年。その時は保守党政権によって国会での可決により強制的に職場復帰が行われた。2016年にもストライキの可能性があったが、直前で合意に至り回避された。

 

 

2018年9月13日 第37号

 来年に迫った連邦総選挙に向け、各党が準備を始めた。自由党は12日からサスカチワン州サスカトゥーンで、新民主党(NDP)は11日からブリティッシュ・コロンビア州サレーでの党大会開催に向け準備をしている。

 2015年に大勝した自由党は政権を担って約3年、当時には考えられなかった難題が襲いかかっている。現在アメリカとの交渉が続いている北米自由貿易協定(NAFTA)は、クリスティア・フリーランド外相がワシントンDC入りして合意に向けた話し合いが行われているが、今月末が期限と厳しい状況が続いている。さらに2016年に承認したトランスマウンテン・パイプライン拡張工事については、今月上訴裁判所の判決で政府承認が無効化された。パイプライン承認は環境対策と一対だったため、炭素税の全国一斉導入にも暗雲が立ち込めている。他にもマリファナの合法化、銃規制など、早急な対策が望まれる課題が多いが前に進めていないのが現状。これらをどのように来年の選挙に向け国民に訴えるかが話し合われる見通し。

 NDPは昨年就任したジャグミード・シング党首の下で来年の選挙を戦うが、すでにベテラン議員が多く引退を表明し、シング党首自身は選挙区を持たないなど準備する状況すら整っていない。NDPはパイプライン反対などの環境問題、全国的な健康保険制度導入や薬代を含めた保険制度などを提案しているが、これから党として国民にこうした政策をどう訴えていくのか、課題は多い。

 シング党首はBC州バーナビーの選挙区で実施される予定の補欠選挙に立候補を表明していて、今後の動きが注目される。

 

 

2018年9月13日 第37号

 在加アメリカ大使ケリー・クラフト氏が、アメリカで2001年9月11日に起こった同時多発テロの記念式典を、ニューファンドランド・ラブラドール州ガンダーで行った。

 クラフト大使は「今日の特別な日に、ここ以外に来たいと思う場所はなかった」とあいさつ。現在カナダとアメリカが北米自由貿易協定(NAFTA)やツイッター攻撃でぎくしゃくしているが、「それはそれで経済交渉として重要だが、ガンダーが米加の関係を最もよく表している」と語った。

 クラフト大使がこの地を選んだのには理由がある。テロが起きた日、アメリカのニューヨーク、ワシントンDC、ペンシルベニアの空港を閉鎖したため、これらの空港に乗り入れる大西洋線の多くの飛行機がカナダ東海岸に緊急着陸した。その空港の一つが同州ガンダー。

 この緊急事態で多くのアメリカ人が入国できずにこの地に足止めされた時に、全くの他人にもかかわらず、小さな町で宿泊施設も足りない状況で、自宅に招き入れ、滞在させたのがこの土地の人々だった。

 その温かな対応は語り草になり、昨年は、この話を基にミュージカルが制作され人気を博した。現在、そのミュージカル「カム・フローム・アウェー」はブロードウェイで上演されている。

 ガンダー以外では、ノバスコシア州ハリファックスが最も多く緊急着陸した飛行機を受け入れている。西海岸も同様で、当時太平洋線の多くの飛行機がバンクーバー国際空港に緊急着陸した。

 

 

2018年9月13日 第37号

 カナダ統計局は7日、8月の失業者数が51600人となり、失業率は前月の5・8パーセントから6パーセントに悪化したと発表した。

 失業者数が大幅に増加したのはパートタイムで92000人、フルタイムは40400人増加している。

 業種別で特に減少したのは、建設業16400人、製造業9200人、サービス業21200人、専門業・科学技術業22100人だった。

 今回の労働統計が、来月のカナダ銀行の金利引き上げに影響する可能性は低いと専門家は語っている。カナダ銀行は5日、翌日物金利を1・5パーセントのまま据え置くことを発表したが、今後も緩やかに金利を引き上げていくことを示唆している。次回10月の発表では引き上げられるのではないかと予想されている。

 今回の労働統計では地域別で大きな差が出た。最も失業者数が多かったのはオンタリオ州で80100人。7月には60600人増加したが、完全に相殺した。失業率も5・4パーセントから5・7パーセントに悪化した。

 その他の主要州の失業率は、ケベック州が変わらず5・6パーセント、アルバータも前月から変化がなく6・7パーセント、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州は前月の5・0パーセントからやや悪化し、5・3パーセントとなった。ただ、それでも全国で最も低い失業率となっている。

 主要都市では、オンタリオ州トロントが変わらず6・1パーセント、ケベック州モントリオールは6・1パーセントから6・0パーセントに、アルバータ州カルガリーは7・9パーセントから8・2パーセントに悪化、BC州バンクーバーは4・4パーセントから4・7パーセントに悪化した。バンクーバーは主要都市では唯一の4パーセント台と、依然低い失業率を保っている。

 

 

2018年9月13日 第37号

 カナダ銀行は5日、翌日物金利を現行の1・5パーセントに据え置くと発表した。カナダ銀行は金利を昨年7月以降4回引き上げている。前回の引き上げは今年7月。

 目標インフレ率を2パーセントに設定しているカナダ銀行は、金利引き上げによる目標インフレ率達成を今後も続けていくと声明を発表している。

 しかし、現在カナダとアメリカで交渉が続いている北米自由貿易協定(NAFTA)の動きが不安定なことから、性急な引き上げには走らず緩やかに引き上げていくとしている。

 カナダ銀行の次回の発表は、10月24日に予定されている。

 

 

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