ジョン・マッカラム移民相は3日、記者会見でシリア難民受け入れ態勢のための住宅問題に集中すると語った。

 カナダ政府は今年末までに1万人を、2月末までにはさらに2万5千人を受け入れると発表、受け入れ時期は延長したものの、公約通り政府支援で2万5千人、民間支援で1万人を受け入れる予定にしている。さらに、可能性として民間の協力で5万人まで受け入れたい意向を示した。

 シリア難民の受け入れについては国民の多くが賛成しているが、先月フランスのパリで起きた同時多発テロにシリア難民が関与していた疑いが浮上したため、カナダ政府も慎重な姿勢を示し、身元調査などを入念に行うため受け入れ時期延長となった。

 マッカラム移民相は、現在、難民受け入れについて最優先事項トップ3を、「住宅問題、住宅問題、住宅問題」と語り、高騰する国内の住宅市場を憂慮した。トロント、モントリオールに入国した難民は、全国各地に分散される。

 また記者会見でマッカラム移民相は、難民の中でカナダに移民したいと思っているのは少数派で、約6パーセントという数字があるがと聞かれると、そうした数字は正確なものではなく、「カナダに来たいと思っている難民は多い」と語った。

 

 第42回国会の議会開会の式辞が4日、行われた。デイビッド・ジョンストン総督が読み上げた10年ぶりに復活した自由党政権の政策は、選挙期間中に公約されたものとほぼ同じで大きなサプライズはなかった。

 経済政策では、中間層への減税を強調し、責任があり、透明性の高い、経済的に厳しい現在に挑戦していくに相応しい経済政策を求めていくとした。しかし、原油価格急落により厳しい状況が続く天然資源産業などへの保護政策などは盛り込まれず、選挙期間中に掲げていた100億ドルの赤字予算によるインフラ整備などの公共事業拡大なども言及されなかった。

 その他では選挙制度改革、上院改革、国連での平和維持活動への積極的参加と同盟国との協力、温室効果ガス排出量に対する課金制度導入などの環境対策、マリファナの合法化などが盛り込まれた。さらに、先住民族女性を取り巻く問題についても国全体として取り組んでいくとした。

 自由党にとっては約10年ぶりの議会開会の式辞であり、ジャスティン・トルドー首相にとっては初めてとなる。

 野党は今回の演説内容について、野党第一党保守党ローナ・アンブローズ暫定党首は、「大きな政府、莫大な経費以外のなにものでもない。その結果は、国民にさらなる税負担を負わせるだけ」と語った。経済政策についても、アルバータ州だけですでに6万人が失業している天然資源産業や民間企業について一言の言及もなく、これがオンタリオ州だったら対応は違ったはずと、カナダ西部の現状を考慮していないことを批判した。また、イスラム国への対応にもほとんど触れていないことも指摘した。

 新民主党(NDP)トム・マルケア党首は、先住民族への積極的な対応については「素晴らしい」としたものの、法案Cー51やカナダポストの各家庭への郵便物配達問題について全く言及しなかったことを批判した。

 

 アルバータ州カルガリーの市電、Cトレインの車両と駅構内で3日、シリア人排斥の落書きが発見された。

 タスカニー駅のエレベーターには、シリア人をののしりイスラム教を敵視する言葉が書かれていたが、このニュースを知った地元の若者が、翌朝の通勤客には不快な思いをさせたくないと、友情や戦争反対といったメッセージを書き綴ったポスターや、ハート型に切り抜いた赤い紙でこれを覆うために集まった。

 幸い、通報を受けたカルガリー・トランジットの職員がすぐに対応し、落書きはすでに消されていた。また駅構内にこうした掲示物を貼るには許可が必要と知らされた若者らは、大きな赤いハートなどを自ら掲げ、朝の通勤客にアピールしていた。

 多くの人が落書きのニュースを知っており、彼らの行動を賞賛するコメントがソーシャルネットワーク上で交わされていた。

 

 カナダ統計局は4日、11月の失業率が前月よりも0・1パーセント悪化し、7・1パーセントとなったと発表した。11月の失業者数は3万5700人、専門家の予想は約1万人で、予想の3倍以上となった。

 失業者数のうち、3万2500人が行政関連。10月の総選挙時の雇用数とほぼ同数となった。一方で雇用者数が伸びたのは、製造業、建設業で、天然資源産業も微増した。

 地域別では、アルバータ州が最も悪化し、失業者数約1万5000人、失業率も前月の6・6パーセントから7・0パーセントと、2010年4月以来の高い水準となった。その他、顕著に悪化したのはプリンスエドワード島州で9・9パーセントから10・4パーセントに、ノバスコシア州で7・8パーセントから8・6パーセントに、マニトバ州で5・3パーセントから6・1パーセントに悪化した。ブリティッシュ・コロンビア州は6・3パーセントから6・2パーセントとわずかながら改善した。ケベック州は7・7パーセントから7・5パーセントに改善している。

 同日に発表された貿易統計では、10月の貿易量が1・6パーセント減少し、貿易赤字が予想に反して27億6千万ドルに悪化、アメリカへの輸出が大きく減少した。

 

 マニトバ州グレッグ・セリンジャー州首相は3日、同州が環境対策としてキャップ&トレード制度に参加すると発表した。2030年までに2005年比で約30パーセントの温室効果ガス削減を目標とすることも合わせて発表した。

 セリンジャー州首相は、近年マニトバで続いている大規模洪水や森林火災、さらにはハドソン湾の凍結が年々遅れていることなど、気候変動を身近に感じることが多くなったと語り、こうした現象はマニトバに莫大な費用を必要とさせるとも語った。

 マニトバ州の主要産業は、農業、製造業、鉱業で、一部の産業には、排出量制限を設けることも検討していることも明かした。

 キャップ&トレード制度は、カナダではケベック州、オンタリオ州がすでに導入を決めている。

 

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