250平方フィートという、ほとんど車庫ほどの小さな家がオンライン掲示板で売りに出されている。場所はブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市東部のレンフルー・ハイツ地区。

 小さくても改装したばかりの真新しい室内は、1人が住むには十分だし魅力的な価格だ。しかし、この家をお買い上げの際には、お持ち帰りが条件となっている。

 この物件、もともとは家の庭にあった作業小屋を、ここを購入したチェス・ラムさんがゲストハウスに改築したもの。大工のラムさん、気に入っていた母屋はそのまま残して増築をしたかったので、この方法を思いついた。

 狭いとはいえ、ちゃんと台所もシャワールームもあり、下が大きな収納スペースになっているベッドも使い心地良さそうだ。ラムさんは来客の宿泊や短期賃貸としてこのゲストハウスを使用していたのだが、実はこれ、市の建築法に違反していた。

 「自分としては、ベースメントの改装となんら違いがなかった」と語るラムさん。しかし近隣住人が市に通報したため、当局から元の車庫兼作業小屋に戻すよう命令を受けてしまった。

 自分が精魂込めて改装した小屋を元に戻すには忍びないと、ラムさんはこのゲストハウスを引き取ってくれる人を探すため、オンライン掲示板に売り広告を出した。

 ラムさんが調べたところによると、ゲストハウスの移動にかかる費用は、その距離にもよるが8千ドルから2万5千ドルほどになる見込み。

 この売り広告にはすでに何件かの真剣な問い合わせが来ているという。中にはノース・バンクーバーの先住民からのものもあった。「彼らなら許可も何もいらないから」とラムさんは取材で語っていた。

 

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市はこの冬、ホームレス用に一時的なシェルターを4つ用意したが、それでは収容しきれない状況が続いていると報告している。

 4つのシェルターのうち最後に開設されたのは、ホームレス人口が高い地域の1番アベニュー1648番地にあるが、4日以来すでに50人以上のホームレスの収容を拒否せざるを得なかったという。

 またパシフィック通り900番地のシェルターも、開設とほぼ同時に収容人数いっぱいに達したほか、ダウンタウン東部地区で救世軍が運営する2つのシェルターもほぼ満床となっている。

 BC州政府はシェルター関連として今年150万ドルを支出しているほか、バンクーバー市も冬季間用の一時シェルター170ベッド分の運営費用として、80万ドルを拠出している。

 しかし市当局は、年間を通じてさらなるシェルターの確保が急務だと語っている。バンクーバー市内で通年オープンしているホームレス向け施設としては、通年運用のシェルターのほか、アルコール等依存症者援助施設、社会復帰支援施設などがあり、合計で1100床ほどのベッドを提供している。

 

 カナダ銀行は2日、金利を現行の0・5パーセントのまま据え置くと発表した。市場は予測済みのため、大きな動きはなかった。

 前日、第3四半期の実質的国内総生産が年換算で2・3パーセントのプラス成長と発表され、第1、第2四半期がマイナス成長だったため、景気後退感がやや緩んだ雰囲気となった。ただ、第3四半期最後の9月は前月比で0・5パーセントのマイナス成長だったため、今後、好調感が続くかは不透明とみられている。

 カナダ銀行は今年に入り、2回、各0・25パーセント金利を引き下げている。原油価格の急落により天然資源産業が主要産業の一つであるカナダ経済に悪影響を与えたことが要因の一つだった。原油価格は現在も低い水準を保っており、今後もカナダ経済に影響を与えるとみられている。

 さらに、これまでも再三警告してきたが、国民の負債額が過去最高となっていることに対し「(負債額が増額し続ける)世帯の不安定さが、引き続きカナダ経済に悪影響を与える可能性をはらんでいる」と懸念する声明を発表している。

 専門家は、カナダ銀行が金利を変更するのは早くとも2017年になるのではないかと予測している。

 

 自由党新政権発足後初めて、3日に国会が再開された。この日は下院議長が選出され、自由党ジェフ・レーガン議員が就任した。同議員はジャスティン・トルドー首相と保守党ローナ・アンブローズ暫定党首に両脇を抱えられながら議長席へ。東海岸州から選出された議員としては初めて議長に就任し「非常に光栄」と語った。

 レーガン議長(56歳)は、ノバスコシア州ハリファックス・ウエスト選挙区選出、18年間国会議員を務めている。

 議長席に着くと、「議長としての役割は公平であること。常に公平であり、確実であることを心がけていくことをここで告げたい」と語った。また「野次については厳しくいく。この国会では必要ない」と釘を刺した。

 トルドー首相は「カナダの歴史の中で、国会議員の娘であり、妻であり、母であった女性が二人いる」と述べ、「一人は自分の母であり、もう一人はレーガン議長の母で、この2人の女性にこの場で敬意を表したい」とこの日、国会に姿を見せていたレーガン議長の母親にあいさつした。

 レーガン議長の就任について、野党は保守党、新民主党(NDP)ともに、国会の進行で議長に協力していくと語った。

 

 自由党政権は上院の空席について、無所属議員を任命することを明らかにした。マリアム・モンセフ民主機構相とドミニク・ルブラン与党下院院内総務が3日、記者会見を開き、まずは上院議員を任命するための独立的機関の5人を任命したと発表した。

 上院議員については、2013年に起こった上院議員経費不正受給問題で、上院のあり方自体が問われていた。

 自由党は選挙前から上院の改革を主張している。不正問題が起こった後には、全ての自由党系上院議員を離党させ、無所属とすると発表した。現在もその状況は変わっておらず、上院は保守党政権が任命した保守党系議員と独立議員とで構成されている。新民主党(NDP)は政権を取ったことがないため、NDP系上院議員は存在しない。上院議員は首相によって任命される。

 今回の自由党の発表に対して、反対の意見が多く出ている。野党第一党保守党は、自由党政権が無所属上院議員を任命するのは「おかしな感じだ」と述べた。NDPは、それでは問題は解決しないと反論し、上院廃止を訴えている。

 保守党スティーブン・ハーパー前首相は2013年の不正事件以来、上院議員任命を停止している。現在、空席は22席。自由党は2016年末までに全て任命する予定と語っている。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。