第42回国会の議会開会の式辞が4日、行われた。デイビッド・ジョンストン総督が読み上げた10年ぶりに復活した自由党政権の政策は、選挙期間中に公約されたものとほぼ同じで大きなサプライズはなかった。

 経済政策では、中間層への減税を強調し、責任があり、透明性の高い、経済的に厳しい現在に挑戦していくに相応しい経済政策を求めていくとした。しかし、原油価格急落により厳しい状況が続く天然資源産業などへの保護政策などは盛り込まれず、選挙期間中に掲げていた100億ドルの赤字予算によるインフラ整備などの公共事業拡大なども言及されなかった。

 その他では選挙制度改革、上院改革、国連での平和維持活動への積極的参加と同盟国との協力、温室効果ガス排出量に対する課金制度導入などの環境対策、マリファナの合法化などが盛り込まれた。さらに、先住民族女性を取り巻く問題についても国全体として取り組んでいくとした。

 自由党にとっては約10年ぶりの議会開会の式辞であり、ジャスティン・トルドー首相にとっては初めてとなる。

 野党は今回の演説内容について、野党第一党保守党ローナ・アンブローズ暫定党首は、「大きな政府、莫大な経費以外のなにものでもない。その結果は、国民にさらなる税負担を負わせるだけ」と語った。経済政策についても、アルバータ州だけですでに6万人が失業している天然資源産業や民間企業について一言の言及もなく、これがオンタリオ州だったら対応は違ったはずと、カナダ西部の現状を考慮していないことを批判した。また、イスラム国への対応にもほとんど触れていないことも指摘した。

 新民主党(NDP)トム・マルケア党首は、先住民族への積極的な対応については「素晴らしい」としたものの、法案Cー51やカナダポストの各家庭への郵便物配達問題について全く言及しなかったことを批判した。

 

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