ブリティッシュ・コロンビア州クリスティ・クラーク州首相は12日の記者会見で、次の予算案は住宅問題を中心に考えていることを明らかにした。

 政府の政策で住宅の価値が下がるようなことがあれば州民にとって決していい結果は生まないと前置きしたうえで、「BC州政府は幅広い解決方法を次期予算案で提案することを考えている」と述べ、住宅問題は次期予算案においては重要な位置を占めると語った。

 詳細は語らなかったが、2月16日の予算案発表に近くなるにつれ徐々に明らかになるだろうとも語った。現在明らかにしているのは、初めての住宅購入者を対象に何らかの対策を導入するというもの。税金の免除対象価格見直しなどは昨秋、BC州マイク・デヨン財務相が導入できる可能性がある政策として発表している。

 クラーク州首相は州民にとって住宅が購入可能価格であるということは非常に重要なことで、特にバンクーバー市でそれを実現することは重要との認識を示した。

 しかし、高騰を続ける住宅市場に大きなメスを入れる可能性については言及しなかった。バンクーバー市グレゴール・ロバートソン市長は、州政府の政策では十分ではないと反論。もっと積極的な政策が必要との認識を示した。

 州政府がここにきて州民の注目を引く政策を発表する背景には、来年に迫った州議会議員選挙がある。前回2013年の選挙では、クラーク州首相率いる自由党は、選挙前の世論調査では新民主党(NDP)に完全に遅れていた。しかし開票をしてみると予想外の圧勝。政権維持に成功した。

 それでもクラーク州首相自身は立候補した選挙区で落選。補欠選挙で当選するという苦肉の策で、党の圧勝に影を落とした。その後、液化天然ガス(LNG)の輸出を州の主要経済におく経済政策で州民にアピールしているが、そのLNGの開発は当初の予定を大きくずれ込み、未だ進展が見えない。大きな経済政策もないまま、次期選挙に向け州民の関心の高い住宅市場でまずは注目を引き寄せるといった感じが見え隠れする記者会見となった。

 

 ブリティッシュ・コロンビア州政府は11日、キンダーモーガン社に対して同社が計画しているトランスマウンテンパイプライン拡張計画は州政府の条件を満たしていないとして、現時点では承認できないとカナダエネルギー委員会(NEB)に伝えていたことが分かった。

 BC州政府マリー・ポラック環境相は電話会見で、同社計画書はBC州政府が要求している5条件を十分に満たしていないと理由を語り、「ただこれが完全に計画を止めるものではない」とし、今後条件を満たすような改善がされれば承認もあり得ることを示唆した。

 州政府があげたのは、原油漏れ防止策と事故緊急対策が陸海両方で不十分ということ。さらに、先住民族との関係やBC州への利益配分なども満足できるものではないとした。

 トランスマウンテンパイプラインは、アルバータ州エドモントン近くで採掘されたオイルサンドを、BC州メトロバンクーバーまで運ぶ既存パイプラインを拡張する68億ドルの巨大プロジェクト。完成すれば現在の約3倍、一日当たり89万バレルの原油を運ぶことになる。運ばれた原油はバラードインレットを通りタンカーで海外へと輸出される。

 キンダーモーガン社は今回のBC州の発表に、今後も条件を満たすよう努力し、必ず完成させると自信をのぞかせた。そのためにはBC州政府、連邦政府との協力が不可欠との見解を示した。

 パイプラインが完成すれば、バンクーバーの中心にあるバラードインレットを航行するタンカーの量は約7倍になるとBC州政府は試算している。そのため、環境活動団体だけではなく周辺都市でも反対が多い。バンクーバー市グレゴール・ロバートソン市長は、単純計算しただけでも7倍になるタンカー数が町の真ん中を航行することは原油漏れ事故が起こった場合、経済的利益だけでは補えないリスクがあるとの声明を発表した。バーナビー市デレク・コリガン市長は、早急に計画を停止するよう連邦政府に書簡を送ったと語った。

 保守党前政権時代は推進されていたパイプライン建設計画だが、昨年10月の総選挙で自由党政権が誕生し、環境対策基準などを見直すのではないかとみられている。ジャスティン・トルドー首相は、アルバータ州からBC州北西部キティマットまでのノーザンゲートウェイ・パイプライン建設計画には反対すると選挙公約に掲げていたが、トランスマウンテン計画には反対はしていない。しかし、環境問題に力を入れると公表している自由党政権が、環境対策で何からの変更をする可能性はあるとみられている。

 

 連邦政府は11日、今週中にもシリアからの難民が1万人に達するとの予測を発表した。移民省によると11日に、トロントに到着する飛行機で1万人を超えるという。「移民省は今週シリアからカナダに到着する難民が1万人に到達すると予測している」と発表した。

 自由党政権は昨年11月に2015年末までに1万人のシリア難民を受け入れると発表していた。しかし実際にはその目標が達成できず、今月までずれ込んだ。

 今回到着した1万人のほとんどは民間支援による難民。カナダ政府は2月末までにはさらに1万5千人、今年末までにはさらに1万人を受け入れることを表明している。その手続きもすでに始まっており、今後もシリアからの難民が到着するが、政府支援の難民がどれくらいになるかは今のところはっきりとは分かっていない。

 移民省の発表によると、1月7日時点でカナダに到着したシリア難民は7671人。民間支援の場合は、すぐに住居が提供されるが、政府支援の場合は、住居の用意が整うまで到着後はカナダ軍基地内の住居で過ごすことになる。

 

 カナダのジュネーブ常駐国連大使が、兵器用核分裂性物質の生産禁止条約(FMCT)の制定で先導的な役割を果たすべく、強い働きかけをしていることが10日分かった。今年の3月31日、4月1日にジャスティン・トルドー首相が核兵器セキュリティサミットに出席する前にこうした働きかけを活発にしている。

 カナダは以前から核不拡散の活動に力を入れてきたが、今月、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が水素爆弾の実験に成功したとの発表を受け、核不拡散の活動はより早急な事態に入っていると認識されている。

 FMCTは最近になって認識されはじめた条約ではなく、1957年から国連の議題となっているもので、現在は暗礁に乗り上げている。カナダはこの条約に関して制定に積極的な立場で活動をしてきてはいるものの、いまだ制定までには至っていない。

 トルドー首相が参加する予定の核兵器セキュリティサミットはオバマ大統領の働きかけにより2010年に始まり、2年に一度開催されている。オバマ大統領にとっては今回が大統領として最後のサミットとなる。トルドー首相は、大きな国際的問題についてオバマ大統領と協力していく意向を昨秋すでに発表している。国連主導、アメリカ大統領主導に関わらず、不拡散はカナダにとって重要な国際協力事項と位置付けられている。

 

 カナダ人はアメリカ人よりも言葉の使い方がポジティブで礼儀正しいことが分かったとの研究結果が発表された。ただし、ツイッターでの言葉づかいの話。

 ツイッター上での言葉遣いの両国間の違いを研究したのはマックマスター大学の博士号過程言語学科の学生二人。彼らの研究によると、カナダ人は、「すごい」、「素晴らしい」、「美しい」などポジティブな単語をツイッター上で用いることが多いのに対し、アメリカ人は「地獄」、「嫌い」、「疲れた」などネガティブな単語が多いという。

 彼らは昨年2月から10月の間に3百万以上のツイートを収集、分析した。英語を母国語とする2カ国のツイートの違いを比べる研究は世界でも初めてとか。イングランドとスコットランドの比較も行っているが、カナダとアメリカほどの違いはなかったようだ。

 学生はこれによってアメリカ人を非難しようとかそういうつもりは全くないと話す。今回の研究結果は論文としてまとめ発表するということだ。

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。