自由党政権クリスティア・フリーランド国際貿易相は25日、環太平洋連携協定(TPP)について署名式に出席することを明らかにした。
TPP交渉に参加する12カ国の署名式が2月4日、ニュージーランドのオークランドで開かれることが21日明らかになり、カナダもそれらの国の一つとしてこの署名式に参加する。
同国際貿易相は「来週行われる署名式で他の11カ国が署名する時にカナダも参加するということ」と語り、「署名が批准を意味するものではない。単に技術的なステップに過ぎない」と説明した。
TPPは政権交代前の前保守党政権が参加を表明し交渉にあたっていたが、昨年10月の選挙で勝利した自由党は、TPPについては専門家の意見を聞くとして慎重な姿勢を示していた。フリーランド国際貿易相によれば、専門家への諮問はこれからも続けていくという。
12カ国が署名した後、各国とも批准まで2年間の猶予がある。フリーランド国際貿易相は、専門委員会での検討、国会での議論を行うことを強調した。
カナダ国内では、酪農業や養鶏業などの保護産業がTPPに強く反対しており、保守党政権はこれらの産業に対して補償する対策を表明していた。
カナダエネルギー委員会(NEB)の管理体制が甘いと26日、環境と持続的開発委員会が指摘した。NEBは国内の連邦規則によるエネルギープロジェクトの承認とその後の管理監督を担っている。
委員会は記者会見で、NEBは企業がそのプロジェクトが承認された時の条件を守っているかどうかを正確にチェックしてこなかったし、問題が起きた時にそれを解決しているかを継続的にチェックしてこなかったと主張した。
NEBが承認するプロジェクトには石油・天然ガスを運ぶためのパイプライン建設計画がある。現在は7万2900キロメートル、約100社を監督している。NEBの管理体制の甘さの要因の一つには、これだけの監督件数を抱えているにもかかわらず、適切な人員が十分に確保できていないことをあげた。
石油・天然ガス産業を推進していた前保守党政権時代は、NEBによるパイプライン建設を承認するために、安全対策の条件を提示していたと指摘。その条件を満たしているかの監督体制が甘く、大きな環境問題に発展した事故も少なくない。パイプラインからの原油漏れが原因の環境汚染は後を絶たない。
自由党はNEBの体制を見直すと発表している。
昨年11月にトルドー自由党新政権が発足後、12月4日にトルドー政権としての初の国会が始まり、第一歩を踏み出した。それからクリスマス休暇を終え、今月25日、国会が再開。新自由党政権が本格的に始動した。
今国会での注目は、まずは経済対策。公約として掲げたインフラ整備への投資による経済刺激策の実行が必要となる。中間層への減税と富裕層への増税についてはすでに昨年から取りかかっている。
その他では上院議員任命、選挙制度改革、シリア難民問題、イスラム国対策など、難問が立ちはだかっている。また予算案の内容にも注目が集まっている。
カナダ統計局は26日、修正後の統計でアルバータ州の昨年の失業者数は1万9600人だったと発表、1982年の4万5千人に次ぐ過去2番目となる多さだったと報告した。失業率は7パーセントと変わらなかった。
今回の数字は6万3700人の雇用があった2014年とは対照的。この年は、カナダ全体の雇用者数の半分以上をアルバータ州が占めるという好調さだった。一時期は、石油産業に雇用を奪われ、アルバータ州のティム・ホートンズでは時給20ドルでも人が集まらず、閉鎖する店舗まであるほど、天然資源産業が好調だった時期もあった。
しかし、天然資源産業、特にオイルサンド産業を主要産業とするアルバータ州は、原油価格が急落した昨年以降、経済に大きな影響が出ている。石油関連企業の相次ぐ人員削減もその一つで、失業者数が大幅に増加した要因となっている。
サスカチワン州北部の町ラロシュで22日午後、学校などで青年が銃を乱射、4人が死亡、7人が重軽傷を負う事件が起こった。
ラロシュは先住民が多い人口約3000人の町。この町のコミュニティ・スクールの中高生が通う校舎で銃声がするとの第一報が警察に入ったのは、午後1時ごろだった。
事件当時校舎にいた生徒の一人は取材に対し、銃を持った青年が学校敷地内に入った後銃声が校舎内外から聞こえ、叫び声とともに生徒らが校舎の外へ逃げ出した。銃声は少なくとも7〜8発は聞こえたと、当時の状況を説明していた。 この銃撃で、同校の教諭アダム・ウッドさん(35歳)と教師補助マリー・ジャンビエさん(21歳)が死亡したほか、7人が負傷した。そのうちの少なくとも3人は高校生とみられ、1人は重態。 容疑者の青年は銃を持ったまま校庭にいるところを、駆けつけた警察官に取り押さえられた。 また警察は、デイン・フォンテーン(17歳)さんとドライデン・フォンテーンさん(13歳)が町内の家で射殺されているのも発見。事件を起こしたとみられる17歳の青年には、4件の第一級殺人と7件の殺人未遂、および火器の不法所持の容疑がかけられている。なお、少年法によりこの青年の詳細は公表されていない。
メディアは、事件直前「2人を殺したところだ。これから学校でもぶっ放す」「なぜだ?」という会話がやり取りされている携帯電話上のソーシャルメディアのスクリーンショットを、銃撃から逃れた生徒から入手している。警察はこの会話についてはコメントしていない。
また容疑者青年と親しかったという25歳の友人は、容疑者は学校で体形などからいじめを受けていたと取材に話している。しかしそのことを友人にも相談しておらず、「もし話してくれていたら、こんなことにはならなかったのでは」と語り、自分もかつていじめを受けたことがあり、そのつらさを知っているだけに、彼を責める気にはなれない、責めるべきはいじめそのものだと、心情を吐露していた。
この事件に町は大きなショックを受けており、24日に現地を訪れたサスカチワン州知事ブラッド・ウォール氏は、住民に対するカウンセリングなど必要な支援を行うと表明。また、今回の事件で先住民コミュニティにおける問題ー中毒問題への不十分な対応、青少年向けプログラムやアクティビティ、およびメンタルケア・サービスの欠如などーが浮き彫りになり、その解決に皆で取り組まなければならないと語っていた。