サスカチワン州で4月5日、州議会議員選挙が行われ、予想通りブラッド・ウォール党首率いる保守系サスカチワン党が過半数を獲得、3期連続の多数派政権を実現した。

 サスカチワン党は61議席中51を獲得、新民主党(NDP)は10、自由党、グリーン党は議席を獲得できなかった。

 その政治手腕とカリスマ性から、カナダで最も支持率が高い州首相のウォール州首相。2007年から党首として党を率い、今回も野党を全く寄せ付けず圧倒した。

 サスカチワンの主要産業は天然資源産業。原油価格が高く、経済が最も好調な時に党首に就任したが、2014年からの原油価格急落により厳しい経済状況のなかでウォール党首にとっては初めての選挙。来年度予算案も4億ドルの赤字となる見通しで、赤字予算は同州では約20年ぶり。それでも多数派政権維持を実現した。

 州最優先の政策が州民に支持されたとみられている。特に経済政策に関連して環境問題でも、その発言に注目が集まった。アルバータ州からサスカチワンを通り、東海岸のニューブランズウィック州までを結ぶトランスカナダ社のエナジーイースト・パイプライン建設計画では、建設に反対するケベック州に対し、アルバータ州レイチェル・ノッテリー州首相より強くケベック州を非難した。また、環境問題でも連邦政府が導入を検討している炭素税に真っ向から対立。その存在感を示した。

 昨年、保守党系の代表州とされるアルバータ州でNDPが圧勝するという逆転現象が起こり、州政府では現在ほとんどが左派政権となった中で唯一の保守党系政権。今月19日には隣州マニトバでも州議会議員選挙が行われる。さまざまな物議を醸したグレッグ・サリンジャー党首率いるNDPが再選するのか、保守党、自由党が躍進するのか。こちらも注目されている。

 

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 カナダ統計局は3月31日、1月の国内総生産(GDP)が0・6パーセント上昇したと発表した。専門家の予想0・3パーセントを上回った。プラス成長はこれで4カ月連続、2013年7月以来の大幅な伸び率となった。

 製造業、小売業、鉱山業、天然資源産業が好調で、1月のプラス成長に貢献した。製造業全体では1・2パーセント増、一方、サービス業全体では0・4パーセントにとどまった。

 これを受けてカナダドルはアメリカドルに対し、77・65米セントまで上昇、昨年10月以来の高値を付けた。

 専門家は製造業の輸出がここにきて伸び始めているのではないかと分析。カナダドル安の影響が現れてきているとみている。

 カナダ銀行は今年第1四半期のGDPを1パーセントと予測している。昨年は2回にわたり金利を引き下げ、原油安による厳しい経済状況が続く中、一段の引き下げもあるのではとの見方もあるが、今月13日に発表される金利と経済報告書が注目される。

 

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 連邦政府クリスティア・フリーランド国際貿易相は3月30日、トロントのイベントに参加した後の記者会見で、カナダと中国は2国間の自由貿易協定についてなるべく早く交渉を開始するべきだとの見解を示した。

 非公式交渉がすでに始まっているのかとの質問については明言を避けたが、自由党が政権を取って以降、話し合いは続いていると語った。

 自由党は中国との経済関係の強化を積極的に推進することをすでに確認済みで、自由党が政権をとって以降、中国との自由貿易協定交渉実現の可能性は高まっていた。

 保守党政権時代は中国との関係を積極的に強化していくとの姿勢は見られなかった。中国がアジアインフラ投資銀行を設立した際にも、一時は参加の意向も示していたが、結局は見送った。アメリカや日本も参加していない。ただ、野党時代の自由党は参加すべきと表明していた。

 カナダも参加している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が大詰めに入っているが、中国はこれには参加していない。中国との積極的な経済関係を目指す自由党政権の今後の動きが注目される。

 

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 ビル・モルノー財相は3月30日、ニューヨークで講演し、カナダ経済がカナダドル安の恩恵を受けるにはもう少し時間がかかるとの認識を示した。カナダドルはことし1月、約10年ぶりの安値を付けた。原油価格の下落が引き金となっているが、それ以降はやや落ち着いている。

 モルノー財相は、カナダドル安は輸出産業、特に製造業には好機となると言い続けているが、その恩恵を受けるには1年以上は必要との認識を示した。ただ、3月31日に発表された経済成長率は0・6パーセントと予想を上回る伸びを見せ、4カ月連続プラス成長。けん引していたのは製造業だった。

 同日、カナダ銀行リン・パターソン副総裁がアルバータ州エドモントンで講演。天然資源産業が主要産業の同州では原油価格の急落により経済が大きく傾き、厳しい状況となっている中、原油価格下落から回復するには2年はかかるだろうと語った。カナダ銀行は来週、金融見通し報告書を発表する。

 

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 今季の大リーグが4月3日開幕した。トロントに本拠地を置くブルージェイズは、昨季1993年以来のプレーオフ進出を果たし、アリーグ・チャンピオンシップ・シリーズまで進出。ワールドシリーズ進出は逃したものの、トロント復活にカナダ中が沸き立った。

 その期待は今季にも引き継がれている。ブルージェイズの開幕戦はタンパベイでのレイズ戦。開幕投手は先発若手ナンバー1のストローマン。相手打線を1点に抑え、チームは5―3で勝利し、幸先のよい白星スタートなった。

 昨季シーズンオフには、社長、ゼネラルマネージャーの交代が発表されたが、監督・コーチ陣はほぼ変わらず、選手も先発左腕プライスが抜けたが、昨季のプレーオフとほぼ同じ。あの興奮を再びと開幕から期待がかかっている。ホームでの開幕戦は8日レッドソックス戦。公式戦開幕前の4月1日、2日には、モントリオールでプレシーズンが行われ、モントリオールにMLBチーム再びの声も挙がり、カナダは野球ムードに包まれている。

 

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