カナダドルが19日、一時79・02米ドルまで上昇、対米ドルで昨年7月以来となる高値を付けた。背景には原油価格の上昇がある。

 この日の原油価格は1・42米ドル上昇し、42・61米ドル。主要産油国による増産凍結協議が決裂したにもかかわらず、石油輸出国機構(OPEC)加盟国クウェートで起こった石油労働者のストライキがこの日で3日目に突入し、同国の原油生産量が激減している。そのため、投資家の関心が動いたとみられる。

 しかしこれも一時的な現象で、その他の要因ではカナダ経済の改善も挙げられているが、カナダドルが今後どう動くかは不確定と専門家は予測している。

 

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 アルバータ州、ニューファンドランド・ラブラドール州の州政府が14日、今年度予算案を発表した。天然資源産業を主要産業とする両政府にとって、2014年から起こった原油価格の急落は予算案を直撃している。ともに新政権発足後、初の予算案となったが、両州とも長期的な影響を見据えた赤字予算となった。

 アルバータ州は104億ドルの赤字予算を発表。黒字に転じるには2024年までかかるとの予測を発表した。国内最大の原油輸出州であり、歳入の20パーセントを天然資源産業からのロイヤルティで占めているため、2014年中旬には1バレル105米ドルだった原油価格が現在の40米ドル前後まで下落した状況は今年度の予算案に大きく影響している。

 しかし、昨年5月に政権奪取に成功した新民主党(NDP)政権は、歳入面では、あえて増税には踏み切らず、州税とヘルスケアプレミアム導入を見送り、さらに中小企業への法人税を3パーセントから2パーセントに減税した。歳出では、インフラ整備に予算を捻出、さらに、家族支援のための新たな政策や低所得者支援などを盛り込み、赤字予算ながら経済刺激策へと舵を切った。新たに導入される炭素税をグリーンテクノロジーへと還元することも盛り込んだ。

 一方、昨年11月に進歩保守党から政権奪取したニューファンドランド・ラブラドール州自由党政権は、18億ドルの赤字予算で大幅な緊縮財政へと舵を切った。天然資源産業からのロイヤルティが予算の30パーセントを占める同州にとって、今回の予算案は非常に厳しい状況。人員削減のための公共サービス縮小、助成金の削減、インフラ計画の縮小、もしくは中止など、できる限りの歳出削減を盛り込んだ。歳入面では増税を実施。消費税HSTを13パーセントから15パーセントに引き上げ、ガソリン税、たばこ税、所得税、小売売上税など、一部は期間限定とはなっているものの、軒並み増税する。

 ともに新政権での初予算案で大きな赤字予算となった政権の異なった財政策に、今後どのような結果が出るか注目されている。

 

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 環境・気候変動省は18日、国内の2014年温室効果ガス排出量が732メガトンだったとの試算を発表、緩やかだが依然増加傾向にあることを報告した。

 2014年の数字は1990年比で20パーセントの増加。カナダは1997年の京都議定書では1990年比で2012年までに6パーセント削減を目標としていた。京都議定書からはカナダは保守党政権時代に正式に撤退している。

 現在のカナダの目標は、昨年12月にパリで開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(パリ会議)で示した2030年までに2005年比30パーセント削減としている。環境省は、732メガトンは2005年比では15メガトン少ない数字としながらも、排出量は少しずつ増加していると報告している。

 国内で排出量が最も多いのは天然資源産業で81パーセントを占めている。2014年の天然資源産業の排出量は1990年比で約2倍に増加している。この間、原油・天然ガス生産量もほぼ2倍に増加しているとも報告している。排出量が増加しているのはアルバータ州を含めた4州。

 同日、バンクーバー市はトランスマウンテンパイプライン拡張工事に伴う温室効果ガス排出量増加の可能性について連邦政府に再検討するよう書簡を送ったことを明らかにした。

 アルバータ州北部からバーナビーまで延びるトランスマウンテンパイプラインは、輸送量増加のための拡張工事が計画されている。完成すれば輸送量は現在の3倍となり、バラードインレットを航行するタンカーも7倍になると予想されている。そのため、生産、精製、輸送とどの段階でも温室効果ガス排出量が増加すると強調、さらには原油漏れ事故の可能性も大きくなるとバンクーバー市は反対している。

 ジャスティン・トルドー首相はパリ会議での合意に署名するため、今週ニューヨークを訪問する。目標達成のための国内対策はまだ詳細がはっきりしていない。

 

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 ケベック州モントリオールで路上生活を送るマーク・ランディさんは、毎朝地下鉄の駅の構内でバイオリンを演奏して、通勤客を送り出すことが日課となっていた。

 そんな彼が17歳の時から愛用していたバイオリンが12日未明、彼が寝ている間に何者かによって持ち去られた。彼の唯一の喜びであるとともに、生計を支える道具でもあったバイオリンを失った彼は、すぐさまダンボールにそのことを書いて道行く人に知らせるとともに、空のコップで新しいバイオリンを購入するための資金を集め始めた。

 そんなランディさんの姿を見かけたひとりが、その姿をフェイスブックに投稿、誰か彼にあげられるようなバイオリンを持っていないか、と書き込んだ。そして、この投稿を目にしたモントリオール・メトロポリタン管弦楽団の関係者が、このことをCEOのジャン・R・デュプレさんに知らせた。

 「この投稿に心を動かされた」と、デュプレさんはメディアの電話取材に答えている。自分の情熱を伝える唯一の手段を奪われたランディさんのために、デュプレさんはすぐさまバイオリン製作店の友人に電話をした。

 相談を受けた製作店メゾン・ドゥ・ビオロンは、新品のバイオリンと弓、ケースを原価で提供することを快諾した。

 デュプレさんは、彼が知るだけでもランディさんは6年か7年の間、地下鉄駅構内でバイオリンを演奏し続けてきたことを指摘、これは他人事ではないと語っている。またフェイスブックの投稿をデュプレさんに最初に知らせた楽団員フランシス・ラポンツさんも、ランディさんの人生に音楽を取り戻したかったと話している。

 一方、デュプレさんらがバイオリンの手配を進めていた頃、ランディさんは神がきっとバイオリンを何とかしてくれるはずだと自身に言い聞かせ、ひたすら祈っていたという。

 そしてその日の午後、デュプレさんは真新しいバイオリンを届けに、ランディさんのもとを訪れた。バイオリンを受け取ったランディさんは、自分はこれなしでは生きていけないと神に祈っていたところだと、目を輝かせながらデュプレさんに話し、早速バイオリンを弾き始めた。

 管弦楽団を率いる者として、また音楽愛好家として、ランディさんの気持ちは痛いほど分かると、デュプレさん。これは私たちだけではなく、音楽に携わる全ての人にとって特別な瞬間だったと取材に答えていた。

 

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 会員制の大型倉庫店、コストコが独占販売している冷凍食品『ネイチャーズ・タッチ・オーガニック・ベリー・チェリー』が15日に、カナダ食品検査局によってリコールされた。

 理由は、A型肝炎に汚染されている恐れがあるため。またこの商品が販売されていたのは、オンタリオ州のほか、ケベック、ニューブランズウィック、ノバスコシア、そしてニューファンドランド・ラブラドールの各州。賞味期限が2018年3月15日までの製品が対象となっている。

 この事態を受け、コストコ・カナダでは該当する商品を購入した全会員に連絡を取り、対象地域のコストコ店舗でA型肝炎のワクチンが受けられることを伝えている。

 公共保健局によると、カナダ人がA型肝炎にかかることはまれで、かかったとしても普通は自然に回復し、ごく一部の人で症状が悪化することがある。

 これまでのところ、14件のA型肝炎の症例が2月から3月の間に報告されている。内訳はオンタリオ州で9件、ケベック州で3件、そしてニューファンドランド・ラブラドール州で1件となっている。その半数以上が37歳以下の男性だったという。また3人には入院措置が取られた。

 

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読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。