アルバータ州、ニューファンドランド・ラブラドール州の州政府が14日、今年度予算案を発表した。天然資源産業を主要産業とする両政府にとって、2014年から起こった原油価格の急落は予算案を直撃している。ともに新政権発足後、初の予算案となったが、両州とも長期的な影響を見据えた赤字予算となった。

 アルバータ州は104億ドルの赤字予算を発表。黒字に転じるには2024年までかかるとの予測を発表した。国内最大の原油輸出州であり、歳入の20パーセントを天然資源産業からのロイヤルティで占めているため、2014年中旬には1バレル105米ドルだった原油価格が現在の40米ドル前後まで下落した状況は今年度の予算案に大きく影響している。

 しかし、昨年5月に政権奪取に成功した新民主党(NDP)政権は、歳入面では、あえて増税には踏み切らず、州税とヘルスケアプレミアム導入を見送り、さらに中小企業への法人税を3パーセントから2パーセントに減税した。歳出では、インフラ整備に予算を捻出、さらに、家族支援のための新たな政策や低所得者支援などを盛り込み、赤字予算ながら経済刺激策へと舵を切った。新たに導入される炭素税をグリーンテクノロジーへと還元することも盛り込んだ。

 一方、昨年11月に進歩保守党から政権奪取したニューファンドランド・ラブラドール州自由党政権は、18億ドルの赤字予算で大幅な緊縮財政へと舵を切った。天然資源産業からのロイヤルティが予算の30パーセントを占める同州にとって、今回の予算案は非常に厳しい状況。人員削減のための公共サービス縮小、助成金の削減、インフラ計画の縮小、もしくは中止など、できる限りの歳出削減を盛り込んだ。歳入面では増税を実施。消費税HSTを13パーセントから15パーセントに引き上げ、ガソリン税、たばこ税、所得税、小売売上税など、一部は期間限定とはなっているものの、軒並み増税する。

 ともに新政権での初予算案で大きな赤字予算となった政権の異なった財政策に、今後どのような結果が出るか注目されている。

 

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