環境・気候変動省は18日、国内の2014年温室効果ガス排出量が732メガトンだったとの試算を発表、緩やかだが依然増加傾向にあることを報告した。

 2014年の数字は1990年比で20パーセントの増加。カナダは1997年の京都議定書では1990年比で2012年までに6パーセント削減を目標としていた。京都議定書からはカナダは保守党政権時代に正式に撤退している。

 現在のカナダの目標は、昨年12月にパリで開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(パリ会議)で示した2030年までに2005年比30パーセント削減としている。環境省は、732メガトンは2005年比では15メガトン少ない数字としながらも、排出量は少しずつ増加していると報告している。

 国内で排出量が最も多いのは天然資源産業で81パーセントを占めている。2014年の天然資源産業の排出量は1990年比で約2倍に増加している。この間、原油・天然ガス生産量もほぼ2倍に増加しているとも報告している。排出量が増加しているのはアルバータ州を含めた4州。

 同日、バンクーバー市はトランスマウンテンパイプライン拡張工事に伴う温室効果ガス排出量増加の可能性について連邦政府に再検討するよう書簡を送ったことを明らかにした。

 アルバータ州北部からバーナビーまで延びるトランスマウンテンパイプラインは、輸送量増加のための拡張工事が計画されている。完成すれば輸送量は現在の3倍となり、バラードインレットを航行するタンカーも7倍になると予想されている。そのため、生産、精製、輸送とどの段階でも温室効果ガス排出量が増加すると強調、さらには原油漏れ事故の可能性も大きくなるとバンクーバー市は反対している。

 ジャスティン・トルドー首相はパリ会議での合意に署名するため、今週ニューヨークを訪問する。目標達成のための国内対策はまだ詳細がはっきりしていない。

 

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