アルバータ州カルガリーのサドルドームで3日、カナダ版グラミー賞とも呼ばれるジュノー賞の授賞式が行われた。

 ことしの最優秀アルバム賞を受賞したのは、ザ・ウィークエンドの名前で知られている、エイベル・テスファイ。同賞にノミネートされたジャスティン・ビーバーやドレイク、ジャン・ルル、ショーン・メンデスといったライバルをおさえ、アルバム『ビューティ・ビハインド・ザ・マッドネス』でこの賞を射止めたほか、彼はシングル『キャント・フィール・マイ・フェース』で最優秀シングル賞も受賞。また2日に行われた前夜祭でも、最優秀アーティスト賞のほか、最優秀ソングライター賞最優秀、R&B・ソウル・レコーディング賞も獲得し、45回目となる同賞の話題の人物となった。

 受賞の挨拶に立ったエイベル・テスファイはまず、ノミネートに挙がったほかのミュージシャンのアルバムに賛辞を送り、また彼らのために拍手を送るよう会場を促してから、自分の活動の支えとなった母親とファンに感謝の意を伝えた。

 アルバム賞を逃したジャスティン・ビーバーはファン・チョイス賞を受賞したものの、授賞式には出席せずビデオメッセージで挨拶を送ったのみだった。

 そのほかの賞としては、最優秀グループ賞にウォーク・オフ・ジ・アース、最優秀カントリー・アルバム賞にはアルバム『ジプシー・ロード』のディーン・ブロディが選ばれた。

 また、最優秀新人賞に選ばれたオンタリオ州ブランプトン出身のアレッシア・カラは、人生初めての受賞スピーチだと、少し涙ぐみながら挨拶した。

 そのほか、ベテラン・ロックシンガーのバートン・カミングはカナダ・ミュージックの殿堂入りを果たした。鳴り止まない会場からのスタンディング・オベーションに包まれながらステージに上がった彼は、この栄誉を故郷のマニトバ州ウィニペグに捧げるとスピーチ。2年前に他界した母親がこの会場で自分を見守ってくれているようだと語り、いい人に恵まれた自分は幸せだと結んだ。

 なお今回の様子は、音楽の授賞式としては世界で初めて高画質の4K解像度で放映された。

 

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 8万5千人近い死者を出した、2008年の中国・四川大地震。この時小学校で授業を受けていたメイホア・ファンさんは、崩れてきたがれきに足を挟まれた。神経もやられたせいか、痛みは感じなかったと、当時を語るファンさん。しかし救助は遅れ、軍のヘリコプターが山間の彼女の村に到着したのは、地震発生から1週間後のことだった。

 結局両足ともひざ上切断となったファンさん。しかし、この時にヘリコプターで救助されたことが、彼女の心に強く残った。

 パイロットなら人命救助ができる、パイロットとしての経験を積みたいと願うようになったファンさんは、ブリティッシュ・コロンビア州ピット・メドウズ空港にあるインペリアル・カナディアン・フライング・スクールのスポンサーを受け、バンクーバーでフライト・トレーニングの体験コースを受講している。飛行訓練に必要な授業を終了し、シミュレーター訓練も経験したファンさんは、さらに教官同乗で実際の飛行訓練も数回行っている。

 少数民族の小作農の家に生まれ、主に2人の祖母に育てられたファンさん。しかし慈善団体の支援によりインターナショナル・スクールに進学、優秀な成績を収めた。やがてそのような前向きな彼女の姿勢から、同じような境遇の子供たちに話をしてほしいという依頼がくるようになった。

 自分は何かを語るよりも、まず実行するタイプと言うファンさん。彼女は奨学金が下りればブリティッシュ・コロンビア大学で薬学を学ぶことになっている。この世に生を受けた以上、学び続け、自分を磨き続けて人生を楽しまなければならない、そのためには決して夢をあきらめないこと。将来何が起こるかは、誰にも予見できないのだから…と、ファンさんは取材に語っていた。

 なお四肢に障害がありながら飛行機操縦に挑戦した例としては、先天性異常ため生まれながらに両腕がなかったアメリカのジェシカ・コックスさんが、3年間にわたる訓練の末、2008年に軽飛行機免許を取得している。また彼女はギネス世界記録にも、世界初の両腕のないパイロットとして認定されている。

 

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 アメリカ共和党のドナルド・トランプ大統領候補が、メキシコ人を「犯罪人か強姦犯」と呼んだことに抗議するため、高層ビルの屋上にメキシコの国旗を飾った男性がいる。

 メキシコ・チアパス州出身で、現在はブリティッシュ・コロンビア州ポート・ムーディに暮らすカナダ人ディエゴ・レイナさんは、バンクーバー市中心部で建設が進む63階建てのバンクーバー・トランプ・タワーの現場で働く作業員のひとり。

 トランプ候補の発言を知ったレイナさんは、同候補の名前を冠するこのビルはメキシコをはじめ、様々な国からの移民の手で作られていることを忘れないようにとのビデオメッセージを、屋上ではためくメキシコ国旗の前で撮影、自身のフェイスブックのページで公開した。

 なお、この高層ビルはカナダを代表する建築家アーサー・エリクソンさんが設計。そのビルに人種差別を公言してはばからないトランプ候補の名前が付けられることには、政治家からも抗議の声が上がっている。建設を行っている土地開発会社ホルボーンに対しては、オンライン上でトランプ候補の名前をはずす請願が行われており、これまでに同市のグレガー・ロバートソン市長を含め5万人以上の署名が集まっている。

 

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 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーで昨年、交通事故を起こした直後に出国していた中国籍の青年が逮捕された。

 事故当時は同州リッチモンドに住んでいたユウフイ・ワン容疑者(19歳)は昨年4月12日未明、当時17歳の友人をリッチモンドからバンクーバーに親の車(メルセデス・ベンツ)で送る途中、市内のサウス・ウェスト・マリン・ドライブを制限速度の約5倍となる250キロメートル毎時で暴走、57番アベニュー交差点近くの私邸の木に激突した。

 この家の敷地が非常に広かったため、住人は物音を耳にして窓から外を確認したものの、事故車の存在には気がつかなかった。結局、車は近くを通りかかったドライバーに発見され、中に閉じ込められた2人は約1時間後に救助された。

 助手席に乗っていた青年は頭部損傷および脳腫脹、顔面と腕の骨折、そして眼球にも怪我を負う重傷だった。

 事故車(メルセデス・ベンツ)は、運転中の各種データを記録するようになっており、残されたデータも用いて事故を調査した警察によると、ワン容疑者は片道1車線の道を約250キロメートル毎時で西方面に走行中、コントロールを失って57番アベニューの手前で反対車線にはみ出し、そのまま交差点を突っ切り、家に突入した模様。

 記者会見で警察は、ワン容疑者の運転は同乗者も周囲の安全も省みない、全くの愚挙であり非常識にもほどがあると強い口調で非難、巻き添えになる人や死者が出なかったことは奇跡としか言いようがないと語っていた。

 ワン容疑者自身は、事故で軽い怪我を負っただけで、病院で治療を受けたものの翌日には退院し、そのまま中国に戻ってしまった。

 その彼に、業務上過失致傷罪の容疑で逮捕状が出されていたのを承知していたのかどうかは不明だが、ワン容疑者は3月末に、カナダ市民権取得の式典に出席するためにカナダに入国。到着したバンクーバー国際空港で逮捕され、訴追された。当然式典には出席できなかった。

 ワン容疑者は次回の出廷までの間保釈されたが、パスポートは没収され、いかなる車の運転も禁止された。

 

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 オンタリオ州ウェランドのアンソニー・ヨフィードさん(23歳)は、ロックバンドのエアロスミスの大ファン。そのリードボーカル、スティーブン・タイラーのソロ・コンサートがつい先日、地元のナイアガラ・フォールズのカジノで行われたのだが、ヨフィードさんはこのコンサートのチケットは入手しそこなっていた。

 そんなヨフィードさん、3月31日にたまたまナイアガラ・フォールズの薬局で、母親の買い物に付き合っていたところにスティーブン・タイラーが現れた。彼は腰のサポーターを買うために、薬局に立ち寄ったところだった。

 母親の後ろに立っていたヨフィードさん、「信じられない、スティーブン・タイラーだ」とつぶやくと、ハグをした写真を撮らせてほしいと申し出た。スティーブン・タイラーは快諾するのみならず、彼がコンサート・チケットを入手できなかったことを知ると、その晩のバックステージ・パスを彼らに提供した。

 母親は夜勤のためコンサートに行けなかったので、代わりにヨフィードさんのダンス講師ジョーダン・セタッチさんが同行、ステージ脇からコンサートを観ることになった。

 スティーブン・タイラーはエアロスミスの名曲『スィート・エモーション』を歌い始めると、ヨフィードさんをステージ上に招いて黄色いマラカスを手渡すとともに聴衆に彼を紹介し、歌い続けた。

 コンサート後メディアの取材に対してヨフィードさんは、まさか自分がスティーブン・タイラーとステージに立てるなんて思ってもみなかった、夢が現実になったと興奮気味に語っていた。

 スティーブン・タイラーがカナダのファンにサプライズをプレゼントするのは今回が初めてではない。昨年はBC州ケローナの公園で、夏の間だけ設置された公衆ピアノで『ドリーム・オン』を演奏したり、その1週間後にはアルバータ州エドモントンのホテルで、迷子になった彼の犬を見つけた新婚夫婦と気軽に会話をしたりしている。

 ヨフィードさんとスティーブ・タイラーはその後もテキスト・メッセージを通じて交流を続けている。腰のサポーターを買うためにドラッグストアに立ち寄ったスティーブン・タイラーはヨフィードさんの母親に「いや、自分は新しい友達アンソニー・ヨフィードに会うために、ここに来たんだ」と語っていたという。

 

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