連邦自由党政権が15日に発表した2016年度予算案で、公約通りインフラ整備への予算を大幅増加し、ブリティッシュ・コロンビア州でも一定の評価が上がっている。

 来年度予算案ではメトロバンクーバーの公共交通機関に、現システムの改修や更新などを対象に約3億7千万ドルが充てられている。さらに、2020年度以降には現在メトロバンクーバーが導入を予定している路面電車サレーLRT(ライト・レイル・トランジット)やスカイトレインのブロードウェイラインの建設に自由党政権が約50パーセントまで負担するとしている。

 これに対し、バンクーバー市グレゴール・ロバートソン市長は、あとは地方政権がどのように活用するかにかかっていると語った。ポート・コキットラム市グレッグ・ムーア市長は「我々にとって大きな前進となるもの」と期待した。

 ブリティッシュ・コロンビア州政府も連邦政府の予算案を称賛。保守党政権時代には、連邦政府、州政府、メトロバンクーバー市町政府で、LRT、新スカイトレイン建設費を各3分の1負担するとしていた。今回の連邦政府の50パーセントは大きな前進。ただ、BC州政府負担分については従来通り、建設費の3分の1までとすることに変わりがないことも強調した。

 これにより市町政府の負担は以前よりは軽減されるものの、約17パーセントとなる。市町にとってはこれでも大きな負担。ムーア市長は今回の予算案を踏まえて、今後どのようにLRT・新スカイトレインの建設を進めるか、議論する必要があると語った。以前は不足分の資金調達に州税を0・5パーセント引き上げるとした案について住民投票を行ったが、今回は住民投票には市長側は反対を示している。

 

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 連邦政府が22日に発表した来年度予算案では、国内の不動産市場で海外投資家に関するデータを集めるために50万ドルが充てられた。

 カナダ統計局が海外からの不動産購入に関するデータを収集するための予算となる。連邦政府は、海外投資家による不動産購入に関する正確なデータが現在は存在していないためと理由を語った。

 今回のデータ収集は全国的な調査となるが、特に不動産が高騰し続けるブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーやオンタリオ州トロントでは大きな意味を持つ。

 BC州政府は今月、不動産購入者の国籍を公表すると発表した。州政府は外資に関する独自のデータ収集をすでに約束している。バンクーバーでは、平均的な一軒家ですら100万ドルを超えている状況で、一般市民にはすでに手が出ないところまで不動産が高騰、その原因に海外投資家が寄与しているのではないかとの指摘が以前からされていた。

 連邦政府の予算がついたこともあり、今後、不動産投資に関する正確なデータが収集されることが期待される。ただ、これが即バンクーバーの不動産価格に影響するとは考えにくい。連邦政府は今後2年間でアフォダブル(手ごろな価格)な住宅を確保するためのプログラムに23億ドルを捻出している。ホームレスや低所得シニア、先住民族への対策などを含んでいる。住宅が高騰するバンクーバーでは手ごろな価格の住宅を供給するのは至難の業。ロバートソン市長は連邦政府の住宅政策が住宅価格の手ごろ感にいい影響を与えることを期待すると語った。

 

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 ブリティッシュ・コロンビア州政府は、最低賃金の引き上げを検討していることを25日明らかにした。シャーリー・ボンド雇用相は、州の好調な経済成長により消費者物価指数の伸び率以上の最低賃金引き上げ率を実現できる可能性があると声明を発表、これにより好調な州経済の恩恵を州民全体が受けることになると語った。ただ、賃金引き上げがビジネスにどう影響するかのバランスも考慮しなければならないとも語っている。

 現在の最低賃金は時給10・45ドルで、全国的に見てもニューブランズウィック州に次ぐ低さ。ボンド雇用相は、インフレ率ではなく経済成長率で引き上げ率を決める可能性を示唆している。BC州のことしのインフレ率は1・5パーセントと予測されているが、経済成長率は3パーセントと予測されている。ボンド雇用相は今春にも引き上げを発表し、実施は9月からになる予定と語った。

 BC州では最低賃金労働者数は2012年以降減少し、現在は賃金労働者全体の約5パーセント。その多くは学生などの15〜24歳の若者で占められている。BC労働組合連合は時給15ドルまでの引き上げを要求している。

 

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 ブリティッシュ・コロンビア州最大の不動産団体グレーターバンクーバー不動産協会(REBGV)が22日に、同州クリスティ・クラーク州首相に宛て、懸念を示す書簡を送っていたことがバンクーバーのタブロイド紙プロビンスが同書簡を入手して明らかになった。

 同協会広報はクレイグ・マン前会長の名前で書簡が送られたことを認め、あくまでも協会内で共有するものであり、公に発表する予定にはなっていなかったと語った。

 書簡内容は、今月クラーク州首相が不動産の脱法的転売行為、いわゆる「シャドー・フリッピング」について規則強化を発表したことに対する懸念を示すもので、「市場に制限を設けることは予測不可能な結果を招く」と、警告ともとれる文章が綴られている。さらに、メディアの過剰な反応にも懸念を示している。

 シャドー・フリッピングの実態は先月、全国紙グローブ&メールが記事を掲載し、BC州野党新民主党(NDP)の反応も加わって、メディアでも大きく取り上げられた。BC州政府はBC州不動産協議会に不動産売買に関する調査を依頼し、その結果を待って対策を講じるとしている。シャドー・フリッピングはマネーロンダリングも絡んでいる可能性があるとの指摘もされている。

 REBGVは先週開かれた年次総会で、不動産売買時に不正行為をした不動産業者への罰金をこれまでの1万ドルから3万ドルに引き上げることを、賛成多数で可決した。この総会で新会長に就任したダン・モリソン氏は、シャドー・フリッピングの問題があったことが罰金引き上げの理由ではないことを強調。現在の不動産価格を考えるとコミッションも増えているため罰金引き上げは妥当な判断、それまでの金額設定は古すぎたと説明した。前回の改定は2004年。罰金は3倍になったが、この間の不動産は3倍以上伸びている。

 

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 ナショナル・バンク・オブ・カナダは23日、2015年バンクーバー住宅購入の約3分の1が中国人によるものとの試算を発表した。

 バンクーバーの昨年の不動産販売額385億ドルのうち、127億ドル、33パーセントが中国人投資家によるもので、トロントでは630億ドルのうち90億ドル、14パーセントを占めていた。

 報告書を発表したピーター・ローテレッジ氏は、計算方法は安易で仮説に基づくものだが、信頼できる数字へ導くために役立てると思うと語っている。

 計算方法は、全米不動産協会とファイナンシャル・タイムズが行った77人の中国人富裕層への調査の二つのデータを基にしている。調査対象者数が低いことへの懸念があることはローテレッジ氏も認めている。

 この報告書は連邦政府が予算案を発表した翌日に発表された。予算案にはカナダ統計局の海外投資家調査への費用として50万ドルが含まれているが、正確な数字を調査するにはあまりにも少ないとの批判もある。ローテレッジ氏もそれに賛成したコメントを発表している。

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。