2018年3月1日 第9号

 ニューブランズウィック州モンクトンで2016年7月に起きた踏切死亡事故の調査報告書が2月8日公表され、カナダ全土の踏切の安全性を改善する必要性が指摘された。

 この踏切事故で死亡したのは、車椅子に乗ったスティーブン・ハレルさん(当時29歳)。7月27日夜、同市中心部のロビンソン通りの踏切を渡ろうとした際、車椅子が線路の砂利にはまって動けなくなり、貨物列車にはねられ死亡した。

 報告書によると、事故の一カ月ほど前に踏切で舗装工事が行われていたが、歩行者が歩ける範囲を示すための反射塗料を使用した白線は、引き直されていなかった。また舗装部分のへりには小さな穴があり、ハレルさんの車椅子の右車輪がそこにはまったため、身動きが取れなくなった。

 さらにハレルさんは列車にはねられる前、50分もの間その状態だったとみられている。

 これを『拷問のような50分間』と呼ぶ母親のダイアン・ハレルさんは、報告書の指摘には納得しているものの、踏切はまだまだ身体障害者にとっては危険な場所だと取材に語っている。報告書は改善点として、照明施設や視覚的また聴覚的案内の充実、さらに歩行者用通路は線路と直角をなし、車椅子の車輪などがその間に挟まる危険性を最小限に抑えることなどをあげている。

 

 

2018年3月1日 第9号

 米ニューヨーク州バッファローで就役したものの、大西洋へ出るためのセントローレンス川が寒波のため例年より早く氷結したため、モントリオール港に昨年12月に寄港した米軍鑑USSリトルロック。氷がなくなる春まで逗留する予定だが、その乗組員がモントリオール市のボランティア活動に参加した。

 逗留中、70名の乗組員は運用訓練のほかにはこれといった任務もなく、時間を持て余し気味だった。この話を耳にしたモントリオール市の路上生活者向けシェルターの職員が、彼らに協力を求めることにした。

 このシェルター、ウェルカム・ホール・ミッションでは、毎週約3千人に無料の食事を提供している。2月23日には数名の乗組員がシェルターを訪れ、ダンボール箱の上げ下ろしや、食料品を買いに来た利用者に食事を出す手伝いなどをした。

 モントリオール逗留中は極力メディアなどへの露出を控えるようにし、インタビューなどにも応じない乗組員だが、シェルターのボランティア・コーディネーターのナンシー・ドサウスさんらは、彼らを歓迎した。

 ちなみに、ドサウスさんの父親は米海軍の退役軍人。そのこともあり米海軍乗組員との交流に積極的だったドサウスさんだが、同時にモントリオールの住民の立場から、この国ではどのように移民や生活困窮者に向き合っているかを彼らに知ってほしかったと、取材に語っている。

 

 

2018年3月1日 第9号

 ケベック州モントリオールで、少女を襲ってけがをさせた犬のオーナーに対し、ケベック州裁判所が有罪判決を下した。

 事件が起きたのは2015年9月のこと。公園で遊んでいたバネッサ・バイロンちゃんの顔にピットブル系の犬が噛みつき、そのまま彼女を数メートル引きずった。バイロンちゃんの頬骨は七つの小片に砕かれたほか、頭蓋骨と腕も骨折する大けがを負った。今でもその時の傷あとが、彼女の顔に残っている。

 この犬のオーナー、カリム・ジーン・ジルス被告は法廷で、事件当時彼の犬は刺激されたため攻撃に及んだ可能性があると弁明していたが、ピエール・ベリセル裁判長は、被告に過失傷害の罪に処する判決を下した。刑は最高で10年の禁固刑となる。

 

 

2018年2月22日 第8号

 ブリティッシュ・コロンビア州で14日に行われた補欠選挙で、自由党が議席を獲得した。

 選挙が実施されたのは、BC州内陸部ケローナ-ウエスト選挙区。自由党から立候補したベン・ステュワート氏が得票率57パーセントで当選した。BC州与党新民主党(NDP)のシェリー・クック氏は23パーセント、グリーン党ロバート・ステュプカ氏は12・5パーセントだった。自由主義党と保守党からも立候補していた。

 カイルス・ゲート・エステイト・ワイナリー創業者のステュワート氏は2013年に同選挙区で自由党から立候補して当選した。しかし、この時の選挙ではバンクーバー-ポイントグレー選挙区から立候補したクリスティ・クラーク前党首が落選し、補欠選挙で当選できる選挙区が必要となったことからステュワート氏が議員を辞職。その後、行われた補欠選挙でクラーク党首が当選した。2017年選挙でもクラーク党首がこの選挙区で再選したが、自由党が政権を追われたため、8月に議員を辞職。そこで今回の補欠選挙が行われ、ステュワート氏が当選し、2013年選挙直後の状況に戻った。ステュワート氏はクラーク前党首が辞職した直後から、この選挙区で議員復活を望んでいた。

 これで自由党は議席を一つ獲得したが、昨年の選挙後の議席数に戻っただけで過半数には達していない。

 今回の選挙は現在過熱しているキンダーモーガン・パイプライン拡張工事計画を巡っても注目されていた。BC州NDP政権が先月、ビチューメン(オイルサンド層から採取される超重質油)の輸送についての環境検査を強化することを提案。これに対してアルバータ州が報復措置として、BC州産ワインの購入を停止することを発表した。

 ケローナ地区は、そのワインの産地。今回のBC州対アルバータ州の構図が直接影響するか注目されたが、結果は自由党政権が引き継いできた、この選挙区で変化はなかった。

 同パイプライン建設計画は2016年11月に連邦政府が承認したのに続き、当時のBC州自由党政権も承認している。

 

 

2018年2月22日 第8号

 オンタリオ州進歩保守党(PC)党首選がさらなる混迷をきたしている。オンタリオPCは先月、パトリック・ブラウン前党首が性的な不適切行為を告発されて、党首辞任に追い込まれた。

 全国ネット放送局CTVが女性2人の告白インタビューを放送。当時、連邦保守党だったブラウン氏に性的に不適切な行為をされたと赤裸々に告白した。

 ブラウン前党首は同日緊急記者会見を開き、告白は事実でないと強調。無実を証明すると語った。この時、党首辞任については語らなかった。しかし翌日、党首辞任を発表。後に党内から辞任を迫られたことが明らかになった。

 オンタリオ州では今年6月7日に州議会議員選挙が控えている。約4カ月後に控えた州選挙で自由党政権を倒すためにも急きょ新党首を決める必要に迫られた。

 すぐにヴィック・フェデリ議員が暫定党首に決まり、党首選を発表。4人が立候補を表明した。

 ところが、16日になってパトリック議員が党首選に立候補することを表明した。ウソ発見器で自分が無実であることが明らかになったと説明。党首に返り咲き、オンタリオ州でPC政権を目指すと語った。18日には早速、選挙活動を開始した。

 これに党内が真っ二つに分かれているという。ブラウン前党首が辞任した後、次々と問題が噴出している。党員数が発表していたよりも3分の1も少なかったり、選挙違反の疑いがある選挙区が明らかになったり、その対処にも追われている。

 ブラウン前党首は16日の立候補表明直前に、オンタリオPCから除名された。現在は無所属でPCへの立候補を表明している。

 ブラウン前党首陣営は、党首選での勝利に自信を見せており、ブラウン前党首対反ブラウン前党首という構図になりつつあると報道されている。

 他に立候補を表明しているのは、元PCオンタリオ州議員クリスティン・エリオット氏、ブライアン・マルルーニー元首相を父に持つ弁護士でビジネスマンのキャロライン・マルルーニー氏、元トロント市議ダグ・フォード氏、社会保守主義の活動家ターニャ・グラニック・アレン氏。PC党首は3月7日に決定する。

 ブラウン前党首は、女性2人のブラウン前党首に対する性的不適切行為の告白を放送したCTVニュースを訴えるとも語った。CTVは報道内容の主張を変えるつもりはないと繰り返し、法的な場で争うことも辞さないと発表している。

 

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。