人口85,000あまりのBC州カムループス市には、昨年より和風ハンバーガーを販売して人気を博しているBurger & Cafe JOYがある。オーナーの保海潤さんにここまでに至る道のりを伺った。

 

ここに至るまでの経緯を教えて頂けますか?
日本で自分の未来へのビジョンが見えてこなかった私は高校を卒業と同時に中国の大学に進学して3年後に帰国。それから世界放浪の旅に出ました。この旅での出会いと経験が自分の人生にとって大きな転機となりました。ヨーロッパからトロントに着いて一文無しで途方に暮れている時にナイアガラで和食店を営む方に出会い、そのお店で働くことになりました。そこで働いている時に妻と出会い結婚。その後しばらく日本で暮らしましたが、再び渡加しアルバータ州カルガリーの鉄板焼屋に就職しました。その後、カナダの移民となり、一男一女を授かりました。鉄板焼屋が開業した別事業に立ち上げから参加して共同オーナーとなり、2店舗1事業まで10年間掛けて展開した上で後輩に全てを託しました。息子の進学を機にBC州クリアーウォーターに転住し、夢だったB&Bを開業しました。

カナダでどのように夢を叶えましたか?
世界放浪の旅では本当に色んな方々にお世話になり、これまで旅先で出会って助けて下さった方々へ感謝の気持ちを表明するために「次世代の旅人が集えるペンションのようなものをしよう!」と決意しました。その夢に共感してくれた嫁と出会ったのがカナダでしたから、まずはカナダへ移住してB&Bをしようということになりました。ただ、若くて財力も無い自分達にどうやったらその夢を叶えられるのか…と悩んでいた頃にカルガリーの鉄板焼屋のボスに出会いました。目の前のことに手を抜かず一生懸命やっていると、夢は自然と向こうから近づいてくると実感しました。いつの間にか若い頃は手が届かなかったB&Bへの道が開けていました。今の状況が作れたのはカルガリーのボスが「夢は叶うものだ」と教えてくれたおかげです。

夢の実現にどのような事業展開をなさいましたか?
JOY WORLD MARKET という会社を立ち上げました。命名の理由は、皆さんが生活の中で笑顔、幸せ、夢、希望溢れる組織でありたいという願いからです。B&Bの次の夢の実現はKamloopsのBurger & Cafe JOYでした。カルガリーでの10年間の飲食店経営を通して日本食料理店=寿司&てんぷらに疑問を持っていました。私は日本の日常食を北米に紹介したいと思い始めました。BC州内陸部のカムループスで自分のアイディアの店を開店することにしました。和風ハンバーガーの販売には興味がありましたが、実際にこの業態に決めたのは、この立地が決まってからのことです。ここは大学、高校に囲まれていますので、自分が学生の時に行ったハンバーガー屋さん、そんなイメージの店を構えました。今のところカナダでは私共が初の和風ハンバーガーショップということもあり、遠方よりわざわざお越し下さる方もいらっしゃいます。

これからの抱負をお聞かせ頂けますでしょうか?
これからも次世代の若者達に夢を見てもらう為にいろいろな事業に挑戦していきたいです。「夢は本人次第で必ず叶うんだ」と体現していけたら本望です。JOY WORLD MARKETはまだ始まったばかりですので、しっかりと地盤を固めて、前へ進んでいきたいです。その過程で周りの人が幸せだったら、私としては成功だと感じます。2012年9月より第3弾の新しい企画としてネットショップを立ち上げました。Minimal Marketという名称で、携帯アクセサリーを中心に扱っています。

 

カウンターでオーナー自らお客さんに対して謙虚な応対をし、手際よくハンバーガーを調理し、お馴染みさんと朗らかに会話を交わす潤さん。これからのJOY WORLD MARKETの活躍が楽しみである。

プロフィール: 保海 潤(ほかい じゅん)さん

プロフィール:世界旅行の後、ワーホリでトロントに。ナイアガラでの飲食店勤務を経て日本に帰国したが、5年後に再度渡加しカルガリーの鉄板焼屋に就職。その後、同社別事業の共同オーナーとなり事業開発に専念。事業を手放し2009年にBC州クリアーウォーターに転住しMountain View B&Bを始め、2011年より同州カムループス市でBurger & Cafe JOYを開店する。Burger & Cafe JOYのHP: www.burgercafejoy.com

 

(取材 北風かんな)

 

2012年9月20日 38号掲載

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