グループ演奏、アーティストとのコラボレーションなど幅広く活動する和太鼓・ドラム奏者のハンター石川英遠さん。最近では日本の伝統音楽だけでなく、ロック/レゲエバンド『Still Creek』のドラマーとしてショーにも出演中だ。
太鼓との出会いは?
埼玉で、父が村のお祭りのリーダーの一人として笛を吹いていました。太鼓は幼い頃から叩いていて、東京の『大江戸助六太鼓』という和太鼓アンサンブルの望月 左武郎先生に習いました。初めてのステージは埼玉の丸木美術館で、子供の太鼓グループのメンバーで演奏しました。素晴らしい経験でした。
10歳頃にアメリカのミシガン州へ引越しました。和太鼓がないところでしたので、代わりにドラムとパーカッションを始めました。大学と大学院で音楽の勉強をして、2001年にハワイの『ケニー遠藤太鼓アンサンブル』でまた和太鼓をやり始めました。
太鼓の魅力とは?
まずは楽器の音だと思います。体全身に響く気持ちは誰でも好きではないかなと思います。それとリズム。たとえばお祭り囃子の“乗り”と言われるもの、英語ではgroove。その感じがいいと雰囲気がとても良くなって、エネルギーが上がってきます。
子供のころは太鼓を叩く時が一番嬉しかったです。今でも演奏する時は嬉しいです。
太鼓を叩くために特に体力作りをしていますか?
トレーニングは毎週4回ぐらい走って、ウエイトトレーニングも少しやっています。大太鼓の練習は毎日やっています。
影響を受けた太鼓ドラマーはいますか?
まずは望月先生。とても温かい方で、大変素晴らしいミュージシャンと先生です。ケニー先生にも7年間お世話になり、今でも演奏の仕事で呼んでもらっています。江戸囃子専門の鈴木恭介先生からお囃子の太鼓と笛を習っています。また『皷童』の藤本吉利さんと、ソロプレイヤーの林英鉄さんからも影響を受けています。
現在の活動は?
4年前にハワイから引越しまして、和太鼓、ドラム、篠笛の演奏、個人レッスンとワークショップを開いています。昨年からコキットラムの Place des Artsでユース太鼓アンサンブルを指導しています。大人の太鼓クラスも始める予定です。
演奏の方は尺八奏者のアルシビン・ラモスと一緒に『まる』というグループ名で、伝統音楽と新しく作った曲の演奏をしています。トモエ・アーツのコリーンランキさんと一緒にコラボレーションする機会も増えています。
8月はPacific Northwest Regional Taiko Gatheringという太鼓のコンファレンスで、ポートランドへ教えに行きます。
伝統音楽のほかに好きな分野は?
僕はいろいろな音楽を聞いています。デューク・エリントン(JAZZオーケストラ指揮者兼作曲家)が言ったこと「音楽にジャンルはない。あるのは良い音楽と悪い音楽だけだ」は正しいと思います。
今後どんな活動をしていきたいですか?
自分の音楽の勉強と練習をしながらおもしろいコラボレーションをやったり、新しい曲を作りたいと思います。教える時は音楽的なフォーカスで良い音で太鼓を叩く事を大切にしたいと思います。
(取材 ルイーズ阿久沢)
プロフィール : ハンター石川英遠(えいえん)
埼玉県東松山市出身。35歳。2008年にカナダへ。コキットラム在住。グループ『まる』(www.vancouvertaiko.ca/vancouver-taiko-groups/maru/)で伝統音楽・オリジナル曲の演奏をするほか、コキットラムの Place des Arts でユース大鼓アンサンブルを指導。大人の太鼓クラスを開始予定。
趣味は料理、畑の野菜作り、旅行。Hunter-Ishikawaは母親(ハンター)と父親(石川)の両方の名字を受け継いだもの。
2012年7月12日 第28号 掲載