2019年12月5日 第49号

 付き合い始めて一年くらいした頃から、彼に対してイライラが止まらない。一緒に住み始めてからはもっとひどくなった。彼を怒鳴ったり、物を投げたり、無視したり、寝室にこもったり。ありとあらゆる方法で彼を傷つける方法を探しているような気がする。こんなことではこの関係はダメになってしまう。まだ好きだけど、 イライラする。 なんとかしたいと思うけど、彼に対しての怒りをコントロールできない。これほど怒っても彼は自分の気持ちを理解してくれないだろうと、彼に対しての怒りのゲージがまた高くなる。そのあとは、自分が嫌いになって、自己嫌悪。友達や同僚にはこんなふうに怒りは外に出ないけど、彼にだけはどうしても怒りが出てしまう。

まずは、あなたが育った環境を見直してみる

 あなたがこのように怒りをコントロールできないようであれば、まずは育った環境を見直してみてください。例えば、あなたの家では、怒りをどのように表現していましたか? 両親の言い争いを聞いて育っていませんか? あなたは体罰を受けていませんでしたか? あなたは親のストレスの発散としてサンドバックにされてはいなかったでしょうか? 親はあなたを褒めずに、できないことばかり指摘していなかったでしょうか? いじめられたり、嫌なことがあったとき、親はあなたを守ってくれましたか? 話を聞いてもらって、励ましてもらえましたか? あなたは言いたいことがあっても、言ったら怒られるので、黙っているしか方法がなかったでしょうか? 

あなたは反抗期がありましたか?

 上記のような家庭で育った場合、反抗期を経験できなかった人が多いようです。 中学生になる頃から親よりも友達を選ぶようになります。これはだんだん心が自立していくからです。小学生の頃までは、自分と親の気持ちが自分の中で一緒になってしまい、自分の気持ちがよく分かりません。ですが、反抗期のあたりから、自分の気持ちに気づいていくので、反抗して親と自分の気持ちを切り離して自立していこうとします。実はこれは大人になっていく上でとても大事な過程なのです。ここで子供は『怒りの感情』をどのように表現していけばいいのかを学んでいくのです。ところが、家で両親が、『怒りの感情』を怒鳴る、殴るなど、怒りを暴力的に表現している場合は、 子供が自分の怒りの感情を抑えるしか方法がありません。また、家で怒りを露わに出す親は外ではとても気をつけているので、外ヅラがいいという傾向もあります。このような家庭で育つと、外の人に家の悩みをますます理解してもらえず諦めてしまいます。また、『怒りの感情の表現』=『言葉や体からの暴力』、『怒りは家で出すもの』と信じ切ってしまいます。一般的に世間では『感情的・暴力的な怒りの感情』はなかなか受け入れてもらえないので、「怒りは家で思いっきり発散するもの」という思いはますます強くなってしまいます。

怒りの奥には『トラウマやウツ』が隠れている! 

 ウツというと、「落ち込んでいる、悲しい」というテンションがとても下がったような感情のイメージがありますが、実は「怒りがコントロールできない」は、れっきとしたウツの症状です。人は怒りを表現できないで育ってくると、ものすごく逃げ場がなくてストレスになります。もしあなたが怒りをコントロールできずに、自分や周りの人も傷つけているようなことがあるとしたら、専門家に必ず相談してみてくださいね!

 

お知らせ:今月でとりあえずコラムは終了いたします。今まで読んでいただいて本当にありがとうございました。もしあなたが何かに悩んでいたとしたら、いつでもご連絡くださいませ。あなたは一人じゃありませんから!

 


Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF

カナダ・BC州認定心理カウンセラー。 BC州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを日・英語で提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
www.sunnychung.ca

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。