2019年8月1日 第31号
北米ではコミュニケーションや『子育て法』に対しての認識が高いので、夫婦で『子育てクラス』にも積極的に参加しています。 私も英語と日本語でアドラー式子育てワークショップを行ってきました。そこで、これから数回に分けて、『アドラー式子育て』の視点から、大切なポイントをお伝えしていきたいと思います。
ステップ1:親が何気なく使う言葉で、子供は心から傷ついている‥?!
子供の頃、言うことを聞かないと親に『こら!』『早くしなさい』『何度言えば分かるの?』『いい加減にしなさい』と言われた経験のある方は沢山いらっしゃると思います。日本では、周りのお母さんもそう言われている方も多いでしょうし、言われた子供もそれほどまでダメージを感じないかもしれません。ただ、カナダで子供を育てる場合は少し言い方を変える必要があります。
例えば、私は大阪で生まれ育ちましたが、長野県出身の母親に育てられました。そこで、母親は私を叱ったり、ツッコミを入れるときに、『あんたバカだね〜』とよく言いました。私は大阪育ち。『アホ』の文化に親しみを抱いていて、『バカ』と言われることにとても傷つきました。『アホ』も『バカ』も同じ意味合いがありますが、関西で『アホ』と言うのは、親しみとちょっとした愛情表現にも使えます。 一方、私にとって『バカ』は『本当にダメだ』という言葉に響いてしまいました。そこで私はある日、泣いて母親に『ママ、頼むから、アホって言うて…』とお願いしたことがあります。
このように育っている文化が違えば、例え親子でも感じ方が違ってきます。まずは、周りのカナダ人のお母さんたちが子供に使っている言葉とあなたが子供に使っている言葉にギャップがないかを認識してみてください。
例えば、日本では、 『早くしなさい!学校に遅れるよ』と表現しがちですよね。これを英語に直訳すると、『Hurry up, already! You'll be late for school』と、『早く』と『遅れる』を意識した言い方になります。英語では、少し言い方が異なり、『具体的な行動』と『準備』を認識した言い方になり、 『I need you to finish eating now, and get yourself ready to go to school』と言うことが多いでしょう。
ステップ2:自分の育った家の価値観を振り返って見る
親の口グセは何でしたか? 親があなたに期待していたことは何でしたか? どんな言葉で慰められたり、励ましてもらえたり、叱られたりしましたか? お家のモットーは何でしたか? 家族で意見が合わないときは、どのように解決していきましたか?
ステップ3:夫婦で価値観の違いを確認する
国際結婚の場合は特に、夫婦でお互いにどんな価値観があるのかを話し合ってみて、二人の違いを認識してみてください。その上で、『何ができる子供』というより、『どんな子供に育ってほしい』かを話し合ってみてください。
もし『心が穏やかな子供』になってほしいと思えば、『こら!』や『早くしなさい!』と投げかけることで、親の心が子供に伝わるのか自分の心に尋ねてみてください。もし、違うなと思えば、他の言葉で同じことが言えないかどうかを探してみてください。こうやって意識していくことで、自分が自動的に使っている言葉を再認識していけるようになると思います。
また、パートナーが子供に投げかけている言葉にも気づき、それが二人で話し合った子育てに合っているかどうかのバロメーターにもなっていくと思います。
親から投げかけられる言葉で子供は自分の価値観や自己肯定力を培っていきます。
また、言葉を変えると、自分自身も気持ちよくなるので、日頃から家族で投げかけている言葉をメモしてみたり、人が使っている言葉を参考にして、言葉ノートなどを作ってみてくださいね。
お知らせ:9月末から『アドラー式子育て法』ワークショップ開催!詳細&お申し込みはウェブサイトから。
Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF
カナダ・BC州認定心理カウンセラー。 BC州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを日・英語で提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
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