2019年3月7日 第10号
ずいぶん昔読んだコラムに、「外国人に日本語を一つだけ教えてあげるとしたら何を教えてあげますか?」というのがありました。さて、あなたはどんな言葉が思い浮かぶでしょうか?答えは「どうも」でした。「どうも」という言葉は「ありがとう」や「すみません」、それ以外にもいろいろ使える便利な言葉だそうです。「なるほどなぁ…」と私は感心したことを覚えています。
そこで! 少し内容は飛ぶかもしれませんが、もしあなたが一生役立つスキルを一つだけこどもに与えることができるのだとしたら、あなたは何を選びますか?私は“Resilience -回復力”を選ぶのではないかと思います。日本語で「回復力」という言葉はあまり聞かないかもしれませんが、英語ではよく聞く言葉です。Resilienceとは、人生で何か試練を受けたとしても、それをバネにしてさらに強くなることができる力のこと。イメージはだるまのような感じかもしれません。この力があるかないかでは人生大きな違いです!「回復力」があると、失敗を笑いに変えることができたり、気持ちの浮き沈みをマネージできたりと、 前に進もうという気持ちを自家発電することができます。
回復力がない人は、ストレスを自分の力で解消することが苦手、問題点や自分の気持ちに向き合う勇気を出すのに時間がかかる、人が自分の落ち込みを気づいてくれないかと待つ、ネガティブなフィードバックは助言ではなく批判と捉えて落ち込んでしまうなど。常に人の回復力に頼らないといけないので、自分自身になかなか自信が持てません。
また、「回復力がある人」は問題にパワーを渡さず、 パワーの方向を自分に戻すことができますが、「回復力のない人」は問題点にパワーを委ねてしまい、そこにとらわれてしまいスタックしてしまいます。
生きている以上問題を避けることなんて到底できません。「カナダにきたら幸せになれる」「結婚したら幸せになれる」などいう単純計算は人生で大きな計算間違いを生み出します。外国に移住したり、恋人から夫婦になったり、上司が急に変わったり、仕事を突然失ったり…前に進もうとすればするほど、想定外なことにぶつかるのは当たり前の話です。ですが、「回復力がない人」は、そこを見ようとせず、人生を妄想して不安を解消するという特徴があるので、問題が起こると、ただただパニックになってしまいます。
アダルトチルドレンは回復力がない人?!
「アダルトチルドレン」とは、考え方は大人でも感情はこども。誰かに守ってほしい、気持ちに向き合えない、白黒な考え方をする、被害者意識が強いというのもアダルトチルドレンの特徴。感情は頭ではなく体に宿るので、頭ではわかっているのに、体が動かないということを人生でよく経験している人もアダルトチルドレンの可能性があります。これらは大人の世界に必要な「回復力」が追いつきません。
回復力はどうすれば身につくのか?
「回復力がある人」はどうやって「回復力」を身につけたのでしょうか?これは苦労した人の方が「回復力」を身につけているものです。また、「励まされた人」「自分で励ますことができた人」も「回復力」が強いかもしれません。
「回復力」がある人は、必ず自分にパワーを持ってくることを心がけています。また、パワーは行動からしか生まれません。まずは自分でできることを見つけて、小さな行動をとにかく大切にしてください。できないことにフォーカスせず、どんな小さなことでも「できた! 貯金」を続けていくと、 それが「肥やし」となります。その行動の積み重ねこそが自信につながり、それがいずれ「回復力」を生み出す力となってくれるはずです!
Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF
カナダ・BC州認定心理カウンセラー。 BC州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを日・英語で提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
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