2019年1月1日 第1号
毎年新年に目標を立てる人も多いと思いますが、モティベーションを持ち続けるためには、『励ます』ということは欠かせません! そこで、今回のテーマは前回に引き続き、『効果的な励まし方』をお伝えしたいと思います。
最近日本の会社でも『褒めて育てる』というのが見直され、褒め方のワークショップも行われているようです。その内容の一つに『褒めリレー』というのがあり、「隣に座っている人のいいところを探して褒め合う」練習をするそうです。練習しないといけないくらい、日本では「褒め文化」が北米に比べ、まだまだ追いついていないようです。それゆえに、褒め慣れていない親は「心配する・厳しく躾ける」という愛情表現をしているかもしれません。その親の元で生まれ育ったカナダ人のこどもたちは、そこから愛を感じ取ることができず、親の気持ちとは反対に「期待されていない・信用されていない」と不安に感じているかもしれません。
褒められて育ったこどもは、社会に出たとき『できない人』になる?!
褒められると、とても気持ちのいいものですが、褒められることがマイナスになるタイプの人もいるので、褒め方というのはなかなか難しいものです。 実際、あるリサーチでも、褒められたこどもは20%成績が下がったという結果が出ています。また、褒められて育ったこどもは、大人になって社会に出たとき、社会人として当たり前のことをしているだけなのに、 褒めてもらえない・認めてもらえないと上司に対し不満を感じやすくなります。
私が人事をしているとき、こんなことがありました。ある部署のマネージャーはどんなスタッフに対しても、5年間褒め評価を出し続けていました。このマネージャーは、褒めるというよりは、嫌われたくない、本音が言えないが故の褒め評価でした。そのマネージャーが辞めた後、その部署に新しいマネージャーが来ました。そしてあるスタッフに対して、そのマネージャーは冷静で客観的な評価を出しました。それを受けた彼はとても怒り、新しい査定をどうしても受け入れず、それは想像していたより大きな問題へと発展してしまいました。 結局新しく来たマネージャーとの折り合いも悪くなってしまい、彼にとってはとてもマイナスな結果になってしまいました。
褒めるよりも励ますと、こどもは『自分と向き合える力』が身つく
褒めるは『かわいい』『いい子』『最高!』『よくできました』というように、具体的な行動を捉えていないリップサービス的な感じで、『励ます』は、『具体的な努力を褒める』と言えば、違いが想像しやすいでしょうか? 例えば、『できましね!』と褒められる子は、『点数が良くないと褒めてもられない』と感じて、ずっといい子を演じてしまうかもしれませし、いい点数が取れなければ絶望を感じるかもしれません。 一方で、たとえ理想の点数を取れなかったときがあっても、どんな努力をしていたかを褒めてあげれば、努力することに意味を持ってもらえるので、『諦めない勇気と強い心』とが育ちます。
人生はいつも過程。生きていると、自分で思っているように結果が出せないことの方が多いものです。今の自分を受け入れることができ、ハッピーな気持ちで未来に希望を持って前進する力を持っている人は、励まされた思い出がたくさんある人。『励まし』は最高のギフト。受け取った人の心の中で一生、生き続けることができます。親御さんはまず『励まし上手』を目指してください。それができるようになれば、家の中がとっても明るくなってきますよ!
お知らせ:『お家が明るくなる!アドラー式子育て』ワークショップは2月開催予定! 訂正:前回のコラムで1月となっていますが、2月に開催予定。詳細はウェブサイトから。
Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF
カナダ・BC州認定心理カウンセラー。 BC州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを日・英語で提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
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