2018年12月6日 第49号

 今年からあるコミュニティーに依頼されて、そこでお母様達に子育てワークショップを毎月数回行っています。 ここ最近そこで数回にわたってお伝えしていることが、『こどもの励まし方』。このコラム第2回目で励まし方について少しシェアしましたが、励ますというのは褒めることよりとても大事なので、もう少し突っ込んで「励まし方」についてシェアしたいと思います。ここでお伝えする励まし方はこどもだけでなくパートナーや友だちにも使えるので、身近な人の励まし方としても捉えてみてくださいね。

 北米でよくつかわれている励まし方の一つに “Do your best!”があります。これは意外と使い方が少しむずかしいかもしれません。例えば、この「ベストを尽くしなさい!」という言葉がこどもにどのように響いているかを想像してみればわかるのですが、まだ人生経験の浅いこどもは、何が「自分のベスト」なのかをよくわかっていません。そもそも大人にとっても何が自分のベストなのかがわからないのに、こどもに自分のベストを尽くしなさいと言っても混乱させるだけかもしれません。なので、こどもは「自分のベストを尽くしなさい」と言われると、「自分のベスト」より「親が思うベスト」ってなんだろうと想像してしまいます。

 こどもが想像しにくい励ましの言葉を受け取ったとき、こどもはまず言葉ではなく、親の感情を読み取ろうとします。そこに親が焦りを感じていたら、ベストよりは焦りを感じますし、不安を感じていたら、今のベストにとても不安を感じてしまうはずです。なので、こどもを励ますときは、こどもの可能性をちゃんと信じているという気持ちを伝えようと認識すること。そうすることで、その信頼の感情が伝わり、こどもも励まされていると初めて認識することができます。

親がこどもに求めるもの vs. こどもが親に求めているもの

 親はこどもにベストを尽くしてほしいと思いますが、こどもは親から今の自分をまず受け入れられることを求めます。もし普段から親子のコミュニケーションがうまく取れていない場合は、親から言われる「ベストを尽くしなさい」という言葉が「励まし」なのか「プレッシャー」なのか自分でも理解できないところで混乱し続けてしまいます。"You can just do your best!"と言ってしまえば、親は楽ですが、こどもはそれがわからないからしんどい。ここでのポイントは、親はこどもに「ベストを尽くせ」と丸投げするのではなく、まずこどもが想像しやすくなるような言葉で話すよう試みてください。

 普段から過干渉になっているお母さんは特に自分の言動に注意してみてください。親がこどもの代わりにしてあげるということは、「あなたは一人でできない子だよ。あなたは自分に自信を持たない方がいい。だからあなたは誰か面倒見てくれる人を探しなさい。」というような、お母様の意図とはまったく違うメッセージをこどもに与えてしまうので逆効果です! 励ますとは、やってあげるではなく、どうすればいいのかを「一緒に考える、あるいはできるようなお手伝い」をしてあげることだと思ってみてくださいね。

こどもやパートナーを励ますときに覚えておきたい5つのこと  

1)結果ではなく、過程に集中する 2)どんな状況の中でも長所を探してあげる 3)間違ったことよりも、失敗から学んだことについて考えさせてあげる 4)過度な手助けをしない そして最後は、5)否定しないということです。次回のコラムでは、これらについてもう少し具体的にシェアできればと思います。

 

お知らせ:もっと「アドラー式子育て法」について学んでみたいという人は、1月に行うワークショップに是非参加してみてくださいね。詳細はウェブサイトから。

 


Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CCC, CPF

カナダ公認サイコセラピスト&カナダBC州公認臨床心理カウンセラー。BC州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
www.sunnychung.ca

 

 

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