2018年9月6日 第36号

今月からコラムのタイトルが「こどもの心を育てるペアレンティング」から「読んで納得!カップル・カウンセリング」へと変わります。それは、恋愛や夫婦関係に関するニーズがとても高いこと。そして、 パートナーとの付き合い方に焦点を当てると、子育てでの問題がとてもクリアになることが大きな理由です。そこでこれからは、子育ても含め、未婚・既婚にかかわらず、色々なカップルによくある悩みや解決方法などを連載させていただければと思います。

子供がママの言うことを聞いてくれない!

 A子さんは2人のママ。カナダ人夫との間に8歳の男の子と6歳の女の子がいます。悩みは、「子供達が言うことを聞いてくれなくて困り果てている」。彼とは、子育てなどでコンフリクトがあっても、彼にどこか遠慮があって、自分の考えも英語で明確に伝えられていない。 最近では、 夫だけではなく、子供のパパとしても少し違和感を感じるようになってきた。彼の言動にイライラするし、彼に対する気持ちも冷めてきたとのこと。

 この手の悩みは、子育てと言うよりは夫婦間のコミュニケーションが問題。その中での特に気になるのが、A子さんの「私は英語が上手に話せない、働くところも限られる、仲のいいお友達だってなかなか作れない…という(外国人)コンプレックス と彼に対する遠慮」 。バンクーバーは東洋人が多いので、特に外国人ということを意識しなくても住めるところ。ですが、A子さんがそれほど不安と不満を感じる理由は、 夫婦間で彼女のニーズが満たされていないことが大きな原因。

ニーズが埋まらないと、彼にイライラが止まらない

 「ニーズ」をシンプルに説明すると、自分が必要としている「優先順位」のこと。 例えば、今、とってもお金に困っているB子さんが、周りからはかなりマイナスな評判を受けているC子さんから理由も聞かれず、とても気持ちよく、それも無条件でお金を貸してもらえたとします。そうすると、B子さんの目には、周りから敬遠されているC子さんが「とってもいい人」に映ります。それは、B子さんの「一番不安に思っていたこと(ニーズ)がC子さんによって解消した」からです。そうすると、C子さんのマイナスな点はあまり気にならなくなってきます。これをカップルに当てはめると、パートナーの小さい欠点がイライラして、彼に対してだんだん気持ちが冷めてきたというA子さんの場合は、 彼女の一番必要としているニーズが夫婦間の間で満たされていないことが大きな原因だと考えられます。

ニーズ・アセスメントをして、あなたの優先順位を整理する

 もし上記の例があなたにも当てはまるのだとすると、おすすめしたいのがニーズ・アセスメント。まず、夫婦間でイラっとしたことをノートに書き留めていただいて、その横にスコアをつけてください。自分にとってどれが一番ストレスの原因か、それがあなたの満たされていない大切なニーズだと認識することができます。A子さんの場合、彼にそれを理解してもらい、ニーズが満たされるようになってくると、気持ちに余裕が少しずつ生まれ、子供達のニーズを理解できるようになってきました。そうしているうちに、子供達自身の気持ちも楽になり、 徐々にA子さんのいうことを聞いてくれるようになってきました。このように子育てでの悩みは、夫婦間の問題をクリアにすると、 自然に解決していくことが多いようです。子供がいる・いないに関わらず、パートナーにイライラしている場合は、 彼の全てが嫌に思えてくることがよくあります。そういった場合も、まずはあなたの一番大切なニーズ一点に絞り、そこを彼に理解してもらう努力をしてみましょう。それができれば、またラブラブな関係に戻れるかもしれませんよ。

 


Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CCC, CPF

カナダ公認サイコセラピスト&カナダBC州公認臨床心理カウンセラー。BC州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
www.sunnychung.ca

 

 

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