2019年6月6日 第23号

 アメリカのリサーチによると、女性のこころの悩みのトップは「心配性」。男性はAddiction (アルコール/麻薬/ギャンブル依存症)がトップで、その次が心配性です。それくらい、現代人の中で「心配性」が根強く広まってきているんですね。ところで、あなたは心配することが癖になっていないですか?ということで、今回は、「心配性」の人が必ずといってもいい程陥っていることをお話ししたいと思います。それほど、シンプルなことで、「心配性」になりやすい人の特徴は、自分の息をコントロールすることを忘れていることです。

 私はスキューバーダイビングが好きなのですが、この「呼吸」について気づいたことがあります。海の中に入る時は、おもりを腰に巻き付けて潜ります。これは、海の中で肺の中に入っている空気が浮き輪の役目をしてしまうので、カラダはどうしても浮上しやすくなるからです。なので、海の中で一定の位置を保って潜り続ける為には、呼吸をコントロールする必要があります。

 海の中では、息をたくさん吸うと肺の空気量が多くなり、カラダが浮きやすくなるので、息は短めに吸い、吐く息を長くするというのが大切になります。ダイビングをしているときにパニックに陥りやすいときは、この呼吸をコントロールすることを必ずといっていい程忘れています。海の中では、「怖い」「息ができないかも」などに意識が集中してしまうと、この海の中でもっとも大切な「呼吸のコントロール」することをすっかり忘れてしまうのです。

 息苦しくなると、パニックになるので、レギュレーターを外そうとしたり、浮上し始めたりします。呼吸が安定すれば、落ち着きを取り戻す事もできるので、また一定の深さを潜れるようになります。そして、「怖い!」から「キレイ!」へと、周りの美しい海の景色に目を向けるゆとりが出てきます。これが、陸の上で心配性の人に起こっていることだと想像してみてください。

 状況をコントロールしようとすることに、「どうしよう」と思うことに集中するが故に、自分の息が乱れ始めていることに気がつかないのです。海の中でも陸の上でも、呼吸が乱れると、人は自分の「安定した位置」を保てなくなるのです。その上、こころがパニックを感じると、心臓がドキドキしてきたり、とにもかくもカラダが反応し始めます。カラダが反応しはじめると、こころは身の危険を感じるので、どうしようもなくなり、自分がどのような行動を取ればいいのかが分からなくなり、フリーズした状態になってしまいます。

 

心配事は考えでコントロールするより、まず呼吸を整える!

 そして、心配性の人の多くが、このパニック&フリーズ状態を体感しています。そういったときは、何も考えなくていいので、この呼吸を整える事だけに意識を向けてみて下さい。呼吸が整うと、こころや頭がパニックを感じていても、カラダはパニックを感じにくくなるのです。カラダからの症状が落ち着いてくると、こころも自然と落ち着いてきます。心配性の人は、朝、昼、夜と3分でもいいので、意識的に呼吸を整える癖をつけてみてください。

  続けていくと、少しずつ深く呼吸ができるようになってきます。深く呼吸ができるようにと目指さなくても、習慣付けしていれば、カラダが自然に調節してくれるようになります。ポイントは、一日一分でもいいから、毎日呼吸を整える習慣をつけること。最初の一歩は、ゆる〜くていいのです。そして、そのゆる〜く続けれることが自分の癖をちょっとずつ軌道修正していくことができるコツなんです。

 心配性の人は、心配事を考えでコントロールしようとするよりは、まず呼吸を普段から整えていくことを習慣にしてくださいね!

 


Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF

カナダ・BC州認定心理カウンセラー。 BC州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを日・英語で提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
www.sunnychung.ca

 

 

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