2016年9月1日 第36号

 カナダ公安省は25日、イスラム国やその他のテロ集団に参加するため海外に渡航したカナダ人が昨年末で約180人になったと報告した。2014年初めの前回調査では約130人で、増加している傾向が明らかになった。

 180人のうち約半数がトルコ、イラク、シリアにいるとみられている。女性の割合は約20パーセント、子供を同伴する場合もあるとも報告している。

 昨年末で、テロ集団参加目的で海外渡航してカナダに帰国したのは約60人。これらの人物は連邦警察が監視しているとラルフ・グッデイル公安相広報は発表している。

 今回の報告は自由党政権になって初めての総合的な報告書。自由党政権は、前保守党政権が拡大してきたカナダ安全情報局(CSIS)の権限を縮小する方針を政権奪取後打ち出している。8月初めにはイスラム国を支持する男性が手製爆弾でオンタリオ州の都市を攻撃する計画を警察が未然に防いだという事件もあったが、今回の報告書やそうした事件でCSISの権限縮小を見直す方針は今のところないという。国内のテロ警戒レベルは「中」のまま変更されていない。

 世界的には西側諸国の国民少なくとも6600人がテロ集団参加のために海外渡航しているとされている。その中ではカナダの数字は小さいがテロ集団の中で重要や役割を担っていることもあり、今後もこうした海外渡航者の行動は監視するとしている。

 

2016年9月1日 第36号

 自由党政権は26日、国連平和維持活動への参加を強化すると発表した。4億5千万ドルの支援とカナダ兵士600人、警察官150人を派遣する。空輸活動、医療、エンジニアリング、兵士などの訓練活動も活動内容に含まれている。

 カナダ兵の派遣先についてはアフリカが有力で、マリ、コンゴ、中央アフリカ共和国の名前が挙がっている。情勢が不安定なアフリカだが、カナダ軍の任務は「平和維持活動」に徹することをカナダ国連大使マーク‐アンドレ・ブランチャード氏は地元ラジオ局のインタビューで強調した。

 派遣先は9月にイギリス・ロンドンで行われる国際平和維持活動会議か、ニューヨークで行われる国連総会で正式決定する。

 国連平和維持活動への積極参加は自由党政権の公約でもあり、9月の国連総会にはジャスティン・トルドー首相も参加する。

 

2016年9月1日 第36号

 オンタリオ州トロントの西隣ミシサガ市の女性が28日、空手の最高段位、黒帯を授与された。

 今年72歳になるグロリア・スミスさん、実は8年前に乳がんを患い、摘出手術と化学療法を受けた経歴がある。闘病生活から学んだことは、「やりたいと思ったことは、やってみること。そのチャンスは2度と巡ってこないかもしれないから」だった。

 65歳で教職からリタイアしたスミスさんが最初に興味を持ったのは、太極拳。2年間これを習ったが、次第に空手に興味を持つようになり、アカデミー・オブ・マーシャルアーツの8週間体験コースに参加することにした。当然、これが彼女にとって初めての空手だった。しかし習い始めてみると、空手が単なる技の練習ではなく、礼儀、思いやり、尊敬といった人生そのものの鍛錬であることを知り、すっかり空手のとりことなった。

 以来ほとんど毎日、アカデミーに通い20代から40代の生徒に混じって稽古を続けてきたスミスさん。そんな彼女に対して、年甲斐もなくとか、無理をしないようになどと揶揄する人は皆無だった。それどころか、互いに切磋琢磨し助け合う姿勢を見せてくれたと、スミスさんは取材に語っている。

 スミスさんが通うアカデミーは、トロント郊外のブランプトン、ミルトンのほか、アメリカ・フロリダ州ネープルズにも支部を持ち、在籍生徒数約3000人を数える。しかしそれでも、スミスさんのように70歳を越えてから黒帯保持者になった人は、同校28年の歴史の中でも初めてだと、スミスさんのヘッドコーチ、イアン・ジェイさんは語っている。

 また、空手は若い人だけのものと勘違いされがちだが、どんな年齢の人でもできるものであり、スミスさんはそれを見事に示してくれたと、ジェイさん。さらに年を言い訳にしてしまうと、できることもできなくなってしまうが、何かをやろうとすることに遅すぎることはないことも彼女が体現してくれたと、付け加えている。

 日常的に関節炎の痛みに苛まれているスミスさんだが、それを言い訳に稽古を休むことはない。黒帯授与にあたり、これはあなたの今までの結果であり、ゴールではないとの言葉をもらったというスミスさん。本人も続けられる限り稽古を続けるつもりで、「習うのを止めた日が、自分が死に向かう日だ」と語っている。

 

2016年9月1日 第36号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーのアパートで8月25日夜、就寝中の女性がサソリに刺された。

 同市中心部の、海岸沿いのコール・ハーバー地区にあるアパートの一室で寝ていたレイチェル・フォックスさんは、左手と右腕に突然激しい痛みを感じて飛び起きた。最初はガラスの破片か何かに乗っかったのではないかと思ったが、特に出血している様子はなかった。ただ赤くはれ上がっているだけだったが、それまでに感じたことのないような激しい痛みが彼女を襲った。

 一体何が原因だったのかと、ベッドの上をあらためてチェックしたところ、全長5センチほどのサソリが枕の上を這っているのを見つけ、思わず後ずさりした。

 市内の劇場リオ・シアターのプログラム・マネジャーを勤めるフォックスさん、花柄のシーツと、おどろおどろしいサソリの対比がなんとも映画的だったと、取材に語っている。また頭の半分は恐怖感で満たされながらも、あと半分ではこの絶対にありえないような情況に浮かれているようだったと、当時の感情を表現している。

 ルームメイトがすぐさま救急車を呼び、病院で治療を済ませたフォックスさんらは、それからサソリ退治を行った。

 サソリは間もなく、フォックスさんのベッド横にいるところ発見された。最初は殺虫剤を、サソリの動きを先読みしてスプレーしてみたが、結果的にサソリを自分たちに向かわせることになってしまった。それも尻尾を立てた攻撃態勢で。

 これに対しルームメイトはフライパンで応戦、見事サソリを打ちのめした。

 動物病院の専門家によると、野生のサソリがBC州内で生息しているのは、内陸部のオカナガンの特定の地域に限られている。今回フォックスさんを刺したサソリは、おそらく熱帯地方から輸入されたフルーツか野菜に紛れ込んできたのだろうと、専門家は推測している。

 フォックスさんがこの話を友人にしても、なかなか信じてもらえなかったという。それどころか治療に当たった病院のスタッフすら、彼女の話に半信半疑だった。

 しかし彼女が見たのは、紛れもないサソリだった。メトロバンクーバーでサソリに刺される可能性は限りなくゼロに近いと専門家は指摘するが、それでも体長5センチのサソリが部屋の中にいるところを想像するのは心地よいものではない。さらに今回のサソリは成虫ではなかったので、もっと大きなものに遭遇する可能性すらあった。

 

2016年9月1日 第36号

 オンタリオ州トロントの西隣のミシサガ市に住む15歳の少女が、家族旅行に無理やり連れて行かれたと、警察に通報した。

 旅行の行き先は、トロントから北東に約180キロメートル離れたトレント・ヒルズのレンタル・コテージ。

 現地に向かった警察官は、緊急を要する事態は起こっておらず、全員の無事を確認した後に少女に対し、こうしたケースでは911番通報しないように諭した。

 オンタリオ州警察では、こうした通報に警察が出動したがために、本当の緊急事態への対応が遅れる可能性もあるため、少女にとっては大問題だったかもしれないが、こうしたケースに警察を利用するようなことのないよう、呼びかけている。

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。