日本で就労経験のあるスティーブンさん
スティーブン・スレイジクさん
スモールビジネスを応援したい
弁護士というと大手企業専門の高額なサービスというイメージがある。そんなイメージを打ち破りたいとスティーブン・スレイジクさんは語る。「こんにちは」と日本語で挨拶してくれた、さわやかな雰囲気のスティーブンさんは仕事以外にゴルフ、スポーツ観戦、家族との旅行が好きだという。
立命館大学と阪神タイガース
学生時代、ヨーロッパ留学中に知り合った東京大学からの留学生たちと意気投合した。日本を旅行した際、日本文化に興味を持ち、大学卒業後、ワーキング・ホリデービザを取得して東京のカナダ大使館に職を得た。日本に長く滞在したいと思い、立命館大学院の国際関係学部に入学、日本での滞在は合計3年となった。勉学にいそしむと同時に、国連のオフィスや大阪のカナダ商工会議所などでボランティア経験を積んだ。 スティーブンさんは阪神タイガースを応援するために何度か甲子園球場を訪れている。地元テレビのインタビューにも応じたことがある。1985年に21年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神タイガースのファンがKFC(ケンタッキー・フライド・チキン)の人形を道頓堀に放り込む瞬間も目撃している。「外人、外人」という関西独特のはやしかたも逆におもしろいと思い、不快感はなかったという。3年間の日本生活で「日本語の話はちょっとわかります」と語った。
日本での学生時代に京都の金閣寺を訪れた
個人の事務所開設に至るまで
日本にいたスティーブンさんに転機が訪れる。当時、両親がファミリービジネスを営んでおり、弁護士へ依頼しなくてはならない事があった。その時の高額な請求額にとても驚いたという。「だから僕は弁護士になり、スモールビジネスを営む両親のような人達を助けたいと思った」と話す。
ロースクールに入学し弁護士の資格を取得して、大手弁護士事務所に就職した。しかし、アメリカやカナダ、特にバンクーバーで弁護士費用が必要以上に値上げされてきた事に疑問を感じた。不況でスモールビジネスのオーナーが増える一方、彼らをサポートする弁護士が少ない。そこで、勤めていた弁護士事務所を辞め、自分で、大手の事務所と同等かそれ以上のサービスを、納得のいく料金で、より多くの顧客に提供しようと決めた。この決心にはスティーブンさんの奥様も同意、家族の理解にも支えられた。
スティーブンさんが経営するスレイジク弁護士事務所では、新しくビジネスを興した企業、大手の国際企業、一般の人まで顧客の層も幅広い。国籍もカナダ人だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、日本と様々だ。スティーブンさんはビジネスの法律専門で、ビジネスの売買、新規開業、取引、契約などを主に扱うが、移民法、不動産や遺言状などの分野の相談も受けつける。どんな小さな案件でもぜひ相談して欲しい、という。誠実でプロフェッショナルなサービス提供を心がけており、顧客もリピーターが多いという。
日本での滞在経験があり日本文化に親しんでいるスティーブンさん、その信頼の置けるアドバイスは、カナダでビジネスをする人たちとって、心強いサポートになるに違いない。
(取材 ジェナ・パーク 写真提供 スティーブン・スレイジクさん)
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