2017年8月17日 第33号

 暫く暑い日が続きました。湿度が低く、気温が上がっても比較的過ごしやすいバンクーバーの夏に似合わず、日本の夏のような蒸し暑さを感じました。かの日本も、夏真っ盛り。各地で30℃を超える高温多湿の猛暑が続いているようです。気温の上昇に伴い、熱中症で脱水に陥り、救急車で運ばれる人が増えるのも夏ならでは。特に熱中症になりやすいのが、子どもと高齢者です。

 人間の体は、高温や多湿の環境で、汗をかいて体の表面から熱を放出し、体温を37℃前後に保とうとします。しかし、この機能には限界があります。特に、子どもは大人に比べて体温調整機能があまり発達していないうえ、体の大きさに比べ体表面積が大きいため、環境の温度変化の影響を受けやすくなります。乳幼児の場合、自分で服を脱ぐことや水分を補給することができず、暑さを訴えることもできません。そのため、熱中症になりやすく、脱水に陥りやすいと言えます。

 高齢者のケースでは、夏以外でも屋内でも、水分補給が足りないことにより、脱水を起こし、熱中症になる人が多く見られます。高齢者は、体の他の機能同様、体温調節機能も低下しているだけでなく、体温調節のための発汗機能も低下し、体温がうまく下がりません。加えて、高齢者は若い年代よりも体内水分量が少ないため(平均50パーセント)、あまり汗をかいていないようでも、実際は汗が出ていて、血液濃度はいつもより濃くなっています。通常であれば喉の渇きに応じて水分を補給しようとするはずですが、高齢者の場合はこの機能が低下しているため、喉の渇きに気付きにくくなり、水分補給が遅れ、気づかないうちに脱水を起こしています。水分補給がないまま、さらに脱水状態が続くと、体温が上昇し、血液濃度が濃くなることにより、血流が悪くなり、栄養分や酸素が脳に送られにくくなります。この状態が続くと、発熱と意識混濁が起き、最悪の場合は意識不明や昏睡状態になり、死に至ることさえあります。

 脱水は、気候や、屋内外に関係なく、下痢、嘔吐、発熱や、風邪などの感染症といった健康状態が引き金になることもあります。また、糖尿病の持病があると、血液中のブドウ糖の濃度が高くなる高血糖になり、それを改善するために、腎臓が多量の水分と一緒に尿として排泄しようとして多尿になることも脱水の原因になります。他にも、血圧を下げる薬(降圧剤)や血糖値を下げる薬(血糖降下剤)には利尿作用があり、これらを服用することによっても脱水が起きることがあります。

 認知症も、脱水になりやすい一因と考えられています。嚥下機能の低下により、固形の食べ物だけでなく、液体も飲みこみにくくなり、水分の摂取が少なくなります。また、自律神経の機能も低下するため、汗がうまく出なくなり、体温調節が難しくなります。見当識の低下により、季節がわからなくなり、夏でも暖房器具をつけ、冬と同じような服装をしたり、 暑くても冷房をつけずに過ごしてしまいます。特に、認知症の高齢者の場合、加齢による体の機能の低下や、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の持病の影響もあり、これまで述べた脱水の原因を幾つも抱えています。また、脱水によって認知機能の低下が起こり、認知症の症状が悪化することも考えられます。

 喉の渇きを感じた時点で、既に体の水分は不足しています。喉の渇きとして体からの警告信号が出る前に、こまめに水分補給をすると同時に、塩分も補給する必要があります。夜間にトイレに起きないために水分を控えるかわりに、就寝2時間ほど前までは水分を自由に摂ることで、水分も補給でき、トイレの回数も減るでしょう。電気代の節約のために、エアコンがあっても使わないのではなく、エアコンや扇風機で適当に温度調整をします。脱水になりやすい人や自分で水分補給ができない人は周囲が見守り、水分補給を促すことで、脱水を未然に防ぐことができます。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

 

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