2017年4月20日 第16号

 「前頭側頭型認知症」は、「4大認知症」と呼ばれる認知症のうち、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症に次いで発症率が高い認知症です。脳の前半分にある前頭葉と左右両側にある側頭葉の神経細胞が少しずつ壊れていき、脳が萎縮することにより起こります。前頭側頭型認知症のほとんどが、70歳以前に発症し、65歳未満で発症する若年性認知症の中では、脳血管性認知症、アルツハイマー型認知症の次に多いと言われています。

 前頭葉は、思考や創造性を担う脳の最高中枢と考えられています。生きていくための意欲や感情をコントロールし、理性的に行動したり、計画を立てたり、状況把握する機能を持ちます。側頭葉は、言語を理解したり記憶したりする場所で、聴覚や嗅覚も司っています。前頭側頭型認知症は、これらの機能に影響を及ぼします。

 この認知症の特徴として、まず、同じ行動を何度も繰り返すことが多くなります。物忘れのために同じ質問をする場合とは異なり、ひとつの言葉を脈絡なく繰り返したり、いつも決まった時に決まったことをしたりします。黙って外に出かけてしまうこともありますが、迷子になることは少なく、いつも通りのコースを歩いて帰ってきます。食べ物に関しても、いつも同じ物を食べたがり、自分で料理をする場合も同じ物ばかり作ります。

 集中力にも変化が現れます。話の途中で急に立ち上がっていなくなったり、何をするにもすぐに飽きてしまい、今まで興味があったことにも関心がなくなります。何を問いかけられても、考えずに即答することが多くなり、一緒にいる人の行動を真似したり、相手の言葉をおうむ返しにします。自発的に言葉が出てこなくなるため、会話が難しくなり、以前より口数が少なくなる傾向もあります。

 その他に、感情の赴くままルールを守らない、反社会的な行動が見られるようになります。 例えば、万引きをしても、本人には罪悪感がないため、繰り返すこともあります。交通ルールも守れないため、事故に遭う危険が増します。順番を守ることができず、注意されると怒り出し、それがエスカレートして暴力に繋がる場合もあります。

 認知症=物忘れというイメージがありますが、前頭側頭型認知症では、物忘れはあまり見られません。行動が常軌を逸していることが多いため、精神疾患と誤診される場合があります。社会生活上、迷惑、危険な行動が見られても、本人がそれを理解していないため、戒めても解決にはなりません。生活習慣を整えたり、 問題となる行動を、許容できる行動に変える方法が必要となります。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

 

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