2017年5月25日 第21号

 認知症を予防する対策として(1)認知症になりにくい生活習慣を心がけることの他に、(2)認知症により低下する機能を鍛えることも、私たちにできることのひとつです。

 認知症の前段階に、認知症予備軍ともいわれている「軽度認知障害」(MCI : MildCognitive Impairment)があります。認知機能の低下は見られますが、日常生活には支障がない状態です。しかし、MCIを放置すると機能の低下は続き、認知症への移行率は1年間で約10%から15%、5年間で約50%が認知症へと進行するともいわれています。認知症とその予備軍とされるMCIのケースを合わせると、発症率は65歳以上の4人に1人と考えられています。

 しかし、認知症になる前段階で低下する認知機能を集中的に鍛えることで、MCIと診断されても、認知症への移行を食い止めたり、遅らせたりできる場合もあることがわかってきています。ここでいう認知機能とは、 「エピソード記憶」(体験したことを記憶として思い出す能力)、「注意分割機能」(複数の作業を同時に行う能力)、「計画力」(計画を立て実行する能力)の機能です。これらの機能の低下は通常の老化とは異なります。重点的に使い、鍛えることで、認知機能の低下を予防することが可能といわれています。

 「エピソード記憶」を鍛える方法の例として、日記をつける時に数日遅れでつけることや、家計簿に買った物を思い出しながらつけることがあります。料理は、「注意分割機能」のよいトレーニングになります。一度に複数のおかずを作ることや、人と会話しながら料理をすることで、この機能が鍛えられます。また、「計画力」の鍛え方として、旅行の計画や料理の献立を立てること、囲碁や将棋、麻雀など頭を使うゲームや、パズルをすることなどがあります。

 このように、脳を鍛えることにより血流がよくなり、脳の栄養となる酸素やブドウ糖の供給を促進します。反対に、脳が活発に働いていない場合、血流が悪くなり、酸素やブドウ糖が十分に供給されないため、認知機能が低下します。今現在、完治する治療法や治療薬がないことから、認知症予防や症状の進行を防ぐためにも、脳を働かせることが重要と考えられています。

 しかし、認知症予防は、高齢者だけの課題ではありません。自覚がないだけで、老化に伴い脳の機能は徐々に衰えていきます。例えば、ちょっとした物忘れは、中年期に入れば誰にでも起こります。また、様々な研究により、認知症は発症する20年、場合によって30年も前から、兆候が現れ始めるということもわかってきています。

 ただし、脳のトレーニングで大切なのは、「しなければならない」と思わない程度で行うことです。義務感を感じてしまうとそれがストレスとなり、認知症予防の活動が裏目に出てしまいます。くれぐれも、楽しく行える範囲で、脳を活性化させる生活を心がけ、認知症の予防を図りましょう。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

 

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