2018年8月23日 第34号

 世界の先進諸国で、「高齢化」が社会問題として取り上げられて久しくなります。日本やカナダも例外ではなく、「高齢化」とは切っても切り離せない「介護」も、その状況が変わりつつあります。例えば、近年、老人が老人を介護する「老老介護」や、ひとりの介護者が介護の全てを担う「ひとり介護」が急増しています。 また、未婚・晩婚化に伴い、独身の娘や息子による「老親介護」が、決して珍しくない介護形態になっています。さらに、 孫が祖父母を介護する「若年介護者」の数も増えています。とはいえ、歳を重ねてきても、体が元気なうちは「介護」についてなかなか実感がわきません。しかし、年齢に関わらず、近い将来、「要介護」や「寝たきり」になる可能性は誰にでもあります。できれば避けて通りたい、しかし、 無視はできない問題です。

 「要介護」が必要になる状態を招くきっかけのひとつが、歩く意欲がなくなることや、歩く時間が減ることです。歩くことは、最も簡単にできる「有酸素運動」です。 体内に酸素を多く取り入れることで、全身の筋肉が活性化され、脳への刺激も増します。また、歩くことで骨に負荷がかかり、カルシウムの減少を防ぎ、骨自体を太くすることで、「骨粗鬆症」の予防にもなります。

 歩行は、年を重ねても自立し、元気に生活するために必要不可欠な動作です。

 しかし、様々な理由で歩行能力は低下します。脳梗塞やパーキンソン病などによって歩行が難しくなる場合もありますが、多くは、老化により筋力が衰えることにより、普段の生活動作が鈍くなることが原因です。まず、足を持ち上げる時に働く「腸腰筋」や「大腿直筋」、腰を曲げ伸ばしする「膝伸展筋力」が衰えてきます。平衡感覚も衰え、関節が硬くなり、関節の可動範囲が狭まります。これらの変化が、歩幅が小さくなる、足の上げ下げが難しくなる、体が左右にぶれやすくなるなど、歩行能力の低下につながります。手すりや壁を使わないと階段の上り下りができない、何かにつかまらないと椅子から立ち上がれない、休まずに長く歩けない。日常生活でこのような場面が増えてきたら、「ハイリスク高齢者」になりつつあるかもしれません。

 「ハイリスク高齢者」にならないためには、 足首や膝、股関節の可動範囲を広げる「ストレッチ」、下半身の筋力を保持し、バランス感覚を維持する「筋力保持運動」を、日常生活に取り入れることが効果的とされています。また、上半身も同時に鍛えることで、万が一つまずいても、とっさに体を支え、バランスを保てる体づくりをすることで、転倒を防ぎます。 まず、体幹(肩、胸、背中)、股関節、太ももの表側と裏側、ふくらはぎといった、筋肉や腱、靭帯を上手に「ストレッチ」することで、関節の動きがよくなり、日常の動きもスムーズになります。 「ストレッチ」の後に、「筋力保持運動」を行います。歩行時にすり足やもつれ足にならず、ふらつかないための筋力作りに欠かせない、太ももや内もも、お尻、腹筋、胸や腕を強化します。起立した状態、または椅子に腰掛けて行います。慣れてきたら、運動用のゴムバンドやチューブなどの器具を使い、体に適度な負荷をかけて行うこともできます。ただし、これらの運動をすべて一度に行うことはありません。行いやすいものから始め、少しずつ強度を増したり、回数を増やしたりすればいいのです。具体的な方法は、書籍や動画など、参考になる情報がたくさんあります。しかし、運動をすることで体を壊しては元も子もありません。特に、持病がある場合や怪我をしている場合は、必ず医師の許可を得てから始めます。

 高齢だからと諦めず、今よりも身体機能が低下しないよう、普段から歩行能力を維持することが大切です。改善が見られるまで時間がかかる場合もありますが、長く続けることが、「ハイリスク高齢者」になる要素を減らすことにつながります。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

 

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