2017年9月7日 第36号

 一口にどれくらい噛んでいるか意識されたことがありますか? 私はマクロビオティックを学び始めて、まず初めに実行したことは「よく噛むこと」でした。 その当時、私は人がどれくらい噛んでいるのかに非常に興味を持ったので、レストランに一人で行き人が一口にどれくらい噛んでいるのかを数えていたことがあります。その時のデーターによると、一口平均10 〜13 回しか噛まれていませんでした。一般的には10 〜20 回噛んでいるというデーターがあり、30 回噛みましょうとススメられています。ですが、マクロビオティックでは一口50 回。病気の人には 一口に100 回噛んで下さいとお伝えしています。それは、噛むことは消化を助けるだけでなく、噛むことによってデトックス作用を高めるためでもあります。

 

よく噛むと頭がよくなる?!

 一回の食事で噛む回数は時代によっても違い、弥生時代は3990 回、鎌倉時代2645 回、江戸時代1465 回、そして現代は620 回というデーターがあるようです。 食材自体は弥生時代と現代を比べ、驚くほど大きな違いはないそうですが、今では噛む回数が6分の1に減っています。現代人が噛まなくなったのは、お米や精製された白米やパンなど軟らかいものを食べるようになったことが大きな原因。 よく噛むようにしたクラスは知能が向上したり、虫歯になりにくくなったという報告もあるそうなので、我が子にもよく噛む習慣をぜひ身につけてほしいですね。

 

噛むと自己コントロール力がアップする

 現代は「いただきます」と手を合わせる習慣もほとんどなくなってきました。そのため、食べものに感謝するという気持ちや、一粒のお米からお天とうさま、雨、風などの自然を感じる気持ちが薄れてきたように感じます。逆に今では「さっさと食べなさい」と噛むことを急かされる食卓になっているように思います。「さっさとして」と言う親の気持ちの中には、こどもと親の時間の進み方が大きく違うことで、1日のルーティーンが思うように進まないというストレスもあります。「さっさと!」が口癖になっている家庭では、一度家族会議をして、何を早くして、何をゆっくりにするかを見直したいものですね。その中で「感謝しながらよく噛む」ことを大切にしてみてはいかがでしょうか。よく噛むというシンプルな習慣は家族の健康な心と体を育み、何事も消化できる柔らかくシャープな脳も作ってくれます。また噛むことでこどもも自己コントロールを身につけていくこともできます。

 

箸を置くことで噛む回数が増える!

 マクロビオティックを学び始めた頃、先生に「どうしたらもっと噛めるようになれますか?」と質問をしたことがあります。そうすると、「箸を置くと自然に噛めるようになりますよ」というシンプルな答えが返ってきました。 噛む回数の少ない人を見ていると、確かに箸をずっと持ちながら噛んでいます。箸やスプーンを持ったまま食べていると、脳みそが次の行動へと急がせるのかもしれません。 私の生徒さんの中には、こどもの頃よく噛めと親からしつこく言われて、それが嫌な思い出になっているという方もいらっしゃいます。こういう経験をお持ちの方は、噛むことをどう教えてあげていいのか分からないと悩まれるかもしれません。そういう時は、食べている時には箸やスプーンを置くという習慣をまず身につけてあげるというのはいかがでしょうか。そうすることで脳が自然と噛むことに意識を向けてくれるかもしれませんね。

 

*お知らせ*

アドラー心理学を用いた、「心を育てるペアレンティング」3日コースを開催します。詳細はウェブサイトから。

「ママの笑顔はこどもへの最大のギフト!」心理カウンセリングの予約はウェブサイトから。

( 文 Sunny Chung)

 


Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF

カナダ・BC 州認定心理カウンセラー。BC 州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10 年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。5月はアドラー心理学に基づいた、「子供のこころを育てる」ワークショップ開催予定。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
www.sunnychung.ca

 

 

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