2017年6月1日 第22号

 綺麗なお花が咲くために、お水、土、太陽などが必要なように、子供の心が健康に育つような環境を提供してあげることは親の大切なお役目。

 家庭環境は、親の考え方や気持ちの持ち方が大きく反映され、それらは子供のコミュニケーションスキルや自己肯定能力にも繋がってきます。 自己肯定能力が高まるメッセージとは、「I have faith in you」「I trust you to decide what is right for you」「Can you tell me more about it?」「I care about you」 「I appreciate you for just being you」というようなニュアンスで、「あなたのことを愛してる」、「あなたはあなたでいいんだよ」と子供に伝えられているかどうかがポイント。ですが、言葉だけに頼ってさらっと愛を伝えようと思っても、リップサービスになってしまう可能性があるので、落ち着いたトーンでゆっくりと、子供としっかりとアイコンタクトしながら話すと子供の心に届きやすいと思います。

子供との相性が合わず、辛く当たってしまう…

 例え自分の子供であっても、馬が合わないこともあり、「なんだか分からないけど、この子の顔を見ていると腹が立つ」というような気持ちになり、自己嫌悪に陥っている親御さんも実際多いようです。これを心理学の視点から言うと、かわいく思えない子供というのは、自分自身の見たくない部分の性格をその子供も持っていて、お互いが反面教師のような存在でいるというような場合がよくあります。もし、嫌いの気持ちが大きくなり、子供に辛く当たってしまっていると自覚をしている場合や、子供の態度がどんどん手に負えなくなってくるようなときなどは、子供の態度を正すより、まず親が心理カウンセリングを受け、自分の親からどんなメッセージを受けながら育ってきたのかを振り返ってみると、子供との関係、そして子供の態度も徐々に改善されることが大きく期待できます。また、子供がかわいいと思えない場合は、言葉よりも親の「いや」という思いの方が子供に届きやすくなってしまうので、子供と大切な話をする前には、 「I respect you and I love you」と何度か心の中でリピートし、一度心を整えてみてから話してみてください。とてもシンプルなことかもしれませんが、とっても効果があるので是非試してくださいね。

子供が育つ魔法の言葉

 ドロシー・ロー・ノルトさんが書かれた『子どもが育つ魔法の言葉』という本の中に、こんな詩があります。

けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる。とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる。不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる。「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる。子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる。親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる。叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう。励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる。広い心で接すれば、キレる子にはならない。 誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ。愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ。認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる。 見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる。分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ。親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る。子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ。やさしく、思いやりをもって育てれば、子どもは、やさしい子に育つ。守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ。和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる。

 この詩のように、子供たちは私たちの鏡なので、子供たちに日々どんなメッセージを伝えているのか、少し振り返ってみると、大切な何かが見えてくるかもしれませんね。

( 文 Sunny Chung)

 


Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF

カナダ・BC 州認定心理カウンセラー。BC 州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10 年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。5月はアドラー心理学に基づいた、「子供のこころを育てる」ワークショップ開催予定。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
www.sunnychung.ca

 

 

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