2017年7月6日 第27号

 5月にお届けした「こどもの心を育てる」ワークショップでお伝えした数々なテーマの中に、エモーション・コーチングというのがありました。

 これはこどもの健康な心を育てるために私がオススメしたいテクニックの一つです。気持ちを表現する単語は数千個あると言われていますが、例え大人でも、うれしい、楽しい、悲しい、イライラするなどの一般的な感情表現をする単語しか使っていないことが多いようです。例えば、絵の具。絵の具は驚くほどの種類があって、見ているだけでも、とてもカラフルで想像がいろいろ膨らんできます。私たちの心にも絵の具のようにとってもたくさん、かつ複雑な感情があり、それらは人それぞれ。今日は黄色な気分だったり、昨日はオレンジ気分だったり。気の合う仲間や愛している人たちと話していると、瞬間的にピンクな気分になったり、またはそのときのシチュエーションや気分に合わせ、自分にしか作れない個性的な色を混ぜ合わせ作り出していきます。そして、無意識の間にも、それらの色を組み合わせ、人生という大きなキャンバスに希望、未来、夢、過去などを描いていきます。なので、自分のこどもたちが感じている色を意識して感じ取れるようになれば、彼らがどんな人生を描いているのかも想像しやすくなってきますよね。

 

エモーション・コーチングとは?

 幼くピュアな心を育ててあげるには、まず、大人がこどもの気持ちを汲み取り、「これは青色だよ」、「これは黄色だよ」と、色を教えてあげるように自分の感情をネーミングし、それらを自由に表現させてあげれるようにお手伝いをすることをエモーション・コーチングと言います。大人になっても自分の気持ちがよく分からないという方が、たくさんいらっしゃいます。これは自分の感情を抑え込むことが癖となっているからかもしれません。例えば、自分の気持ちを受け入れられなかったり、「もう泣かないで」というような慰めフレーズを言葉そのまま受けてしまっていたりすると、こどもは自分の感情を素直に感じ、それらを表現することができなくなってしまいます。

 消化できない感情は、無意識の間に体に滞り、癇癪、集中力や成績の低下、忘れ物が増えるなどにも繋がってきます。こどもが熱をよく出すのは、感情も含め、いろいろ体に溜まったものを浄化しようとする力が強いから。成長するにつれて浄化力も落ち、感情を押し込める癖の方が強くなってくると、自分や周りの人たちの気持ちに対して鈍感、あるいは敏感すぎになり、健康な人間関係が作れなくなってしまいます。ですので、こどもの感情表現のお手伝いをしてあげることは、心と体の健康にとても大切な鍵と言えます。

 

エモーション・コーチングの3つのステップ

 ここではごく簡単にステップをご紹介させていただきますね。

1)Connect Before Correct:ときに親はつい、こどもの感じ方を正したくなりますが、Correctする前にまず、こどもが何を感じているのかConnectしてみてください。(まずは感情は否定せず、こどもの感情を受け取ってみる)
2)Name Emotions:例えば、「うれしかったね」、「怖かったね」、「悲しかったね」など、こどもの感情をネーミングしてあげると、こどもは気持ちを理解してもらえたと安心します。このように感情単語を増やしながら、気持ちを自由に表現できるようにお手伝いしてあげる。
3)Find Good Solutions: こどもの考え方や態度に問題がある場合、感情は否定しないで、態度にどういう問題があるのかを教えてあげる。または、どうやって問題を解決していけばいいのか、アドバイスをあげるのではなく、問いかけてあげながらも、こどもが自分の力で考えられるように導いてあげる。

 こどもに教えてあげたいエモーション単語は、私のウェブサイトを参考にしてみてくださいね。

( 文 Sunny Chung)

 


Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF

カナダ・BC 州認定心理カウンセラー。BC 州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10 年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。5月はアドラー心理学に基づいた、「子供のこころを育てる」ワークショップ開催予定。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
www.sunnychung.ca

 

 

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