2017年11月2日 第44号

 こどもの心を育てる上で、夫婦間のコミュニケーションはとても大切ですよね。ですが、たとえ何年一緒にいても、お互いの気持ちを理解することが難しい。 そこで今回は、起こりやすい男女の気持ちのすれ違いについてお話しさせていただきたいと思います。

 つい最近のことなのですが、夜中に近所に住むカップルの大喧嘩で目が覚めました。男性の声はほとんど聞こえてこないのですが、女性の音量はどんどんエスカレートするばかり。また、以前車を運転していたとき、助手席に座っていた女性が男性ドライバーに大声で怒鳴っているのが聞こえてきました。この時も男性の声は聞こえてきません。男性は全く無反応。それを見てさらにイラっときたのか、女性の声はますます大きくなるばかりでした。そこで! 質問です。男性はなぜ女性が泣きながら、大声で怒るのかを考えたことがありますか? 反対に女性は、泣きながら大きな声で訴えているにもかかわらず、なぜ男性に思いが伝わらないのかを考えたことがありますか?

 

女性は感情で心に記憶するから男性と情報量が違う!

 人間は頭で記憶することは忘れやすくなりますが、シチュエーションに感情をプラスしたことはしっかりと心で記憶します。女性は男性に比べて感情的になりやすいので、その分沢山のことを心で記憶しています。女性は言いたいことを我慢する傾向もあるので、心にストレス貯金も溜めてしまいます。男性は女性が何も言わないときは問題が無いと考えがちなので、相手に不満がたまっているとは気づきません。カップルが口論になるとき、男性は「今」のシチュエーションについて理論的に話をしますが、女性は「過去の感情の記憶」と 「今のシチュエーション」を結びつけて話してきます。 女性には心に記憶として残る情報量が、男性に比べて相当上回っていますから、女性は自分が感じ考えていることにブレがないと強く認識しています。一方で男性は、 女性が『心が記憶している感情』まで上乗せして話しているとは想像できないですから、自分の何がそこまで女性を怒らせたのか理解に苦しみます。

 

聞かない男と言わない女

 カウンセリングで男女の悩みを聞いていると、ある共通点があることに気づきます。それは、『男性は話をよく聞いていない』、そして『女性は求めないふりをしている 』ということです。男性は女性の気持ちを聞こうとせず、ただ単に話として聞いていたり、アドバイスになっていたりしています。女性は 「愛しているなら言わなくても察してくれるべき」と、男性をテストしていることも多いようです。上記の例に出した二組のカップルが喧嘩していたときも、女性は一生懸命自分の気持ちを説明しているつもりなのですが、そのあとに男性に何を具体的にどうしてほしいかを伝えていません。男性は自分が責められていると感じるので、なんとかして女性をハッピーにしてあげようと思うのですが、どうしていいのか分からないので、ただ固まるばかりです。そうすると、女性はもっとフラストレーションを感じ、次第に男性が頼りない存在に見えてきます。

 

男性は積極的に聞く、女性はシンプルに伝えるがポイント!

 『女性は耳で恋して、男性は目で恋する』というのを聞いたことがありますか? 女性は男性が話を聞いてくれていると安心し、男性は女性が笑顔でいると安心します。男性は女性の感情に共感してあげたり「それでどうしたの?」「僕のどんなところが君をそんなに怒らせてしまったの?」などと、もっと積極的に女性の話に耳を傾けてみてください。「俺はちゃんと聞いている」と、あなたが思っていたとしても、女性が怒っている以上、相手はあなたから理解してもらえたと感じていないかもしれません。 「言わなくても気づいてほしい」という女性特有の考えは、男性には通用しません。お互いの理解を深めていくためには、できるだけ思いを正直かつ率直に伝えるように心がけてみてくださいね。

 


Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF

カナダ・BC 州認定心理カウンセラー。BC 州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10 年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。5月はアドラー心理学に基づいた、「子供のこころを育てる」ワークショップ開催予定。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
www.sunnychung.ca

 

 

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