2017年12月7日 第49号
心の成長をサポートする環境を作ることは、こどもと親だけでなく、上司と部下、先生と生徒など、どんな人間関係にも当てはめることができるかもしれませんね。そこで今回は、心に留めておきたい3つのポイントをお伝えさせていただけたらと思います。お子様がいない方も、自分のインナーチャイルドを育てるポイントとして参考にしてくださいね。
まず一つ目は、親が率直に正直に自分の感情をこどもに見せること。これは感情的になってこどもと接することとは大きく違います。ポイントは、親の使っている言葉と感情がマッチしているかどうか。リップサービスになっていないかどうかです。こどもは親の感情にとても敏感なので、言葉よりも感情を読み取ろうとします。なので、親の使う言葉が、親の腹の中で感じている感情とマッチしていない場合、こどもは親から本当は何を求められているのか、とても混乱してしまいます。こういったことが続くと、こどもは自分の直感に頼れなくなり、 自分を信じることができなくなる原因の一つになります。
私たちに備わっている感情は全てがギフト! 意識として届いていない無意識な思いも感情がちゃんと教えてくれています。ですが、今は全般的に常にポジティブでいないといけないようなプレッシャーがどこかあり、ネガティブな気持ちを全面的否定してしまうような傾向にあります。ポジティブで強いこどもに育てたいと思うのは当然ですが、そこにフォーカスしてしまうと、反対に、こどもはネガティブな気持ちの処理の仕方を学べなくなってしまい、打たれ弱くなってしまいます。まずは、親自身が自分のネガティブな気持ちに後ろめたさを持たず、それを正直かつ素直に表現できるコミュニケーションスキルをつけることが大切です。
愛するということは、理解してあげること
二つ目のキーポイントは、まだこどもの心を『成長の過程』として理解してあげること。上記に書いたように、親が自分のネガティブな気持ちを受け入れることができないでいると、こどものネガティブな思いを包み込むことができません。なので、こどもの心の成長をサポートしてあげるというより、こどもの考えや感じ方をコントロールする方向に行ってしまい、以前にも書きましたが、こどもは自分自身(Being)でいることを受け入れることができなくなり、常に親が理想とする誰か(Becoming)になろうとしてしまいます。これだと、大人になってから「自分探し」という道を歩むことになりかねません。理解してあげることとは、シンプルに、こどもの考え方を変えようとせず、 ただ、心から話を聞いてあげるだけでいいんです。 考え方を変えようとせず、理解してあげようとする姿勢を親が見せると、こどもの心は大きく開きます。心が開くと、成長が可能になります。そして、こどもは愛されることに、愛することに、とても前向きな気持ちをもてるようになります。つまり、「理解してあげることが、愛の表現」、こどもへの最大のギフトだと言っても、過言ではないかもしれませんね。
共感してあげると、こどもは親ばなれできるようになる
最近久しぶりにE.T.を観ました。E.T.とElliottが互いの心を感じ取り、互いを守ろうとする姿にとても感動しました。映画の後半、 家に帰れず命絶えたE.T.をElliottが慰めているシーンがありました。そうすると、E.T.は生き返り、無事ホームに戻って行くことができたのです。大人になって改めてE.T.を観て、なぜこの映画があんなにも人の心を打ったのかが分かりました。もちろん映画の世界の話ですが、大人はハートを無くし、共感してもらえず、死んだように生きている場合もあります。こどもにとっても、大人にとっても、共感してもらえることは、ライフラインであり、一人の独立した大人へと成長していく上で欠かせないものかもしれませんね。
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Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF
カナダ・BC 州認定心理カウンセラー。BC 州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10 年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。5月はアドラー心理学に基づいた、「子供のこころを育てる」ワークショップ開催予定。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
www.sunnychung.ca