2017年10月19日 第42号
マクロビオティック(以下マクロ)のお料理教室をしていたとき、あるお母さまから『私はこれからビーガンでいこうと思うけど、こどもにお肉をあげないのは不安だから今まで通りの食事を作ってあげようと思います』と言われたことがありました。このお母さまは健康のことにすごく関心がある方だったので、マクロに対してもとても熱心に取り組もうとされていました。ですが、お子様の食事にマクロを取り入れることに躊躇されていて、厚生労働省と農林水産省が推進している食事バランスガイドに沿って作った方がいいのではないかとすごく迷われていました。 これを聞いたとき、食べ物はとても『感情』とリンクしていると思いました。 こどもの健康を考えると、「厚生労働省がそう言うのなら安心!」と考えても当然ですよね。
このお母様のように、マクロを学び始めると、動物性食品をやめるかどうかをまず考え、自分の理想とする食事を家族にも作るかどうかを迷われる方が多いです。マクロをされている方の中にはビーガンの人も多いですが、マクロは「ビーガンスタイル」にこだわっているわけではありません。本質はあくまで「季節」「自然」に沿ったライフスタイルのこと。毎日の環境の変化から自分の心や体の声に耳を傾け、バランスが取れるように食事をいただくことにあります。マクロは雑誌に取りあげられているように『食事療法やスピ系ご飯』というよりも、日本が昔から大切にしている『食事に対する基本的な捉え方と知恵』のことなのです。
歯の構造で分かる!人間に必要な食べ物とは?
『朝のリンゴは金、昼のリンゴは銀、夕のリンゴは銅』という言い伝えを聞かれたことはありますか?これは先人の知恵で、果物は陰性の(体を冷やす)性質があるので夜に食べることに向いていないと教えてくれています。フードガイドピラミッドでは果物を1日『2〜4サービング』と推進されていますが、マクロは週に1〜2回、いただくなら朝方とオススメしているのもこれが大きな理由です。お肉もフードピラミッドでは1日『2〜3サービング』を勧められていますが、マクロでは週にオプションで数回程度、あるいは食べなくても大丈夫ですとお伝えしています。これは人間の歯の構図からきています。簡単に説明すると、人間には犬歯が2本、小臼歯が8本、大臼歯が12本。お肉を噛み砕く歯より、野菜や穀物を摩砕するための歯が多い。歯の構造から見ても、人間はそれほど動物性食品を必要としていないのです。 現代は変わりゆく栄養学の情報から、推進される食べ方が常に変化しています。もし献立で迷ったときは、難しく考えず、「穀物を全体の60%(重量)、季節の野菜30%、あと10%はお好みで」を基本として献立を考えてみてくださいね。
こどもの食べる量が少なくて心配
食べる量が少ないこどもをみて、充分な栄養が摂れているのかと心配されている親御さんは多いようです。回「あと一口だよ。はい、あ〜んして」と大変です。 ですが、こどもはとても自然に沿って生きているので、それほど親が心配するほど量を必要としていないかもしれません。 山にハイキングに行くとよく体感するのですが、長い時間山道を歩き続けていても自然の中ではあまりお腹が減りませんし、特に疲れも感じません。ハイキング仲間も同じようなことを経験しているようです。先日約10時間というロングハイクをしたとき、1日で1つのサンドイッチを全部食べきれなかったくらいです。普段は座っているだけでもお腹が減るのですが、自然の中では、普段の3分の1位の食事の量で充分です。なので、もしかすると、反対に自然児から「大人はこんなに食べて大丈夫なのかなぁ」と心配されているかもしれませんね。
Sunny Chung MBA, MCP, RCC, CPF
カナダ・BC 州認定心理カウンセラー。BC 州認定アドラーペアレンティング・エデュケーター。クシ・アカデミー認定マクロビオティック・インストラクター。スピリチュアルカウンセラー。アメリカで心理学学士号&経営学修士、カナダで心理学カウンセリング修士取得。10 年間アメリカ・カナダの企業でコミュニケーション、人間関係、パフォーマンスなどをコーチング。心理カウンセリングはアドラー心理学、CBT、脳科学、およびアートセラピーをもとに、世界でここしかないホリスティックなカウンセリングを提供している。また、いろいろなテーマで各種セミナーを随時開催。5月はアドラー心理学に基づいた、「子供のこころを育てる」ワークショップ開催予定。カウンセリング&ワークショップの詳細はウェブサイトから。
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