2016年8月18日 第34号

 ブリティッシュ・コロンビア州ポート・ムーディー市のコーヒーショップで7日夕方、少女がこん睡状態に陥っているのを店員が発見した。すぐに救急隊が駆けつけたが、少女はそのまま死亡が確認された。

 亡くなったのは、同州コキットラム市に住むグィネベーレ・スタッドンさん(16歳)。彼女は麻薬と、それを調合するのに使用したとみられる器具を所持していた。

 BC州検視局が死因を調査中だが、母親のベロニカ・スタッドンさんは強力な麻薬、フェンタニルの過剰摂取が原因に違いないと、愛する娘の突然の死に打ちひしがれながらも、取材に語っている。

 スタッドンさんによると、娘は薬物依存に悩んでいた。それでも、この3週間ほどは「もうやめたから大丈夫」と、スタッドンさんに話していたという。しかし麻薬ディーラーがフェンタニルを販売していることを母親に告げ、もう一回だけだからと薬を購入したが、それが本当に最後の一回になってしまった。

 スタッドンさんは娘のためにリハビリテーション施設を探していたが、公共の施設は何カ月待ちの状態。また私立のクリニックには5万ドルほどが必要となり、とてもスタッドンさんが利用できるような場所ではなかったと、娘に何もしてやれなかったことを嘆いている。

 彼女は違法な麻薬販売の取締りが強化されることと、特に若い中毒患者のためのリハビリ施設の充実が実現することを願っていると、話していた。

 

2016年8月18日 第34号

 カナダ空軍が現在運用しているジェット戦闘機、CFー18の後継機にいったんは選ばれたものの、その選定プロセスの不明瞭さや、度重なる開発の遅れと費用高騰のため、ジャスティン・トルドー首相がその見直しを宣言するなど、何かと話題にのぼるアメリカ製の次世代ジェット戦闘機Fー35が初めて、カナダに飛来した。

 デモ飛行は行わず、地上展示だけであったが、ブリティッシュ・コロンビア州アボッツフォード空港で12日から3日間開催されたエアショーのために同空港を訪れたのは、アメリカ・ユタ州のヒル空軍基地をベースとする、第34戦闘飛行隊の2機のFー35。

 そのうちの1機は、同飛行隊隊長のジョージ・ワトキンス中佐が自ら操縦。メディアの取材に対しFー35は素晴らしい戦闘機だと語っている。彼によれば、Fー35のステルス技術、先進レーダー性能、警戒警報システムのいずれもが秀でていて、敵への先制攻撃のチャンスを増すことができ、結果的に戦闘におけるパイロットの生還率を高めることにつながると説明。この機体に乗ってしまうと、他の機種で戦闘に赴く気にはならなくなると語っていた。

 スティーブン・ハーパー元首相は2010年に、このFー35を64機購入すると発表していたが、ジャスティン・トルドー首相は問題の多いこのジェット戦闘機の導入を白紙に戻すとともに、次期戦闘機選定のための公開コンペを行うと宣言。さらに6月には議会で、Fー35は設計上の能力発揮には程遠い状態だとも発言していた。

 しかし、その2カ月後、アメリカ空軍はこの戦闘機が、実戦配備に求められる最小限の要件を満たす運用能力試験にパスしたと発表した。

 カナダはFー35の共同開発国に名を連ねており、そのステータスを維持するため、今年初めには3000万ドル超を拠出している。

 カナダが80年代に購入した77機のCFー18は、耐用年数を約20年として設計されている。しかし、旧保守党政権は約4億ドルをこの機体に注ぎ込み、少なくとも2025年までは現役で運用できるよう改修を行ってきている。

 

2016年8月11日 第33号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府が8月2日から実施した外国籍の不動産購入者への新課税の影響が、メトロバンクーバー市場に出始めているとの声が上がっている。

 実施開始から1週間が経った8日、グレーターバンクーバー不動産協会ダン・モリソン会長は、新課税が原因で取引に影響が出る物件は427件になるとの試算を発表した。ただ、これは不動産業者に電子メールで問い合わせた回答を基にした数字で、予測される取引件数としている。実際にどれほどの影響が出るのかについては、もう少し時間が経たなくては分からないという。「詳細が分かるには1年はかかるだろう」と語っている。

 高騰し続けるメトロバンクーバーの不動産市場は、止まる気配が一向に見えず、7月の住宅価格も前年同月比で32・6パーセント上昇。こうした現象が続く原因の一つが、海外からの投資目的による不動産購入にあるとして、ようやく重い腰を上げてBC州政府が打ち出した政策が、外国籍の投資家による不動産購入への新課税導入だった。

 同州政府は7月、カナダ市民権、永住権を有しない外国籍不動産購入者の取引に対し、8月2日から新たに15パーセントの課税を導入すると発表した。

 この政策に対しては賛否両論あり、不動産業界からは海外投資家が他の都市に逃げるだけで、メトロバンクーバー市場の価格下落にはつながらず効果は薄いとの批判的な見方がある一方で、ある程度価格下落に貢献するとの専門家の意見もある。同様の不動産課税はイギリスやオーストラリアでも導入されている。

 また、ある専門家は今回の州政府の動きに対し、国際法に違反するとして海外投資家から提訴される可能性もあると指摘している。

 

System.String[]

2016年8月11日 第33号

 カナダエネルギー委員会(NEB)は8日、ニューブランスウィック州(NB)セント・ジョンで公聴会を行った。現在トランスカナダ社が建設を予定しているエナジー・イースト・パイプライン計画について広く意見を聞くことを目的としている。

 エナジー・イースト・パイプライン建設計画は、アルバータ州のオイルサンドを東海岸のNB州まで運ぶための全長4500キロ、総事業費150億ドルのパイプライン建設計画。アルバータ州のオイルサンドを海外市場へと輸出するために必要な国内パイプライン建設計画では、唯一の進行プロジェクト。これまで、アルバータ州からブリティッシュ・コロンビア州北西部への建設が計画されていたノーザン・ゲートウェイ・パイプライン計画は、自由党政権が計画中止を選挙活動中から公約として掲げ、政権をとって以降も承認する意向がないことをすでに示している。また、アルバータ州からアメリカのテキサス州までのキーストーンXLパイプライン計画は、オバマ大統領が却下し、これまでのところ、これ以上進行する予定はない。現在行われているアメリカの大統領選挙で共和党候補者が勝利すれば事情は変わる可能性があるが、同計画が実行される見込みは低い。

 そのため、アルバータ州のオイルサンドを輸出するという点では賛成している自由党政権は、イースト・エナジー・パイプライン計画には力を入れ、今回のNEBが公聴会を全9回にわたり開催する。今回がその第一回。同パイプライン計画では、すでに現存しているパイプラインを利用しながら、新たなパイプラインを建設し延長する。そのため、新しくパイプラインが建設されるケベック州などでは反対の声も多く、州首相も強く反対していた経緯がある。

 公聴会の最終回は12月に行われるオンタリオ州キングストンで、その後、2018年3月16日までにNEBは連邦政府に提案書を提出することになっている。

 

System.String[]

2016年8月11日 第33号

 北米一のスキーリゾートとして知られるウィスラー・ブラッコムリゾートを所有するウィスラー・ブラッコム・ホールディングスが、アメリカの巨大リゾート企業ベイル・リゾーツに買収されることが8日、分かった。ベイル・リゾーツが明らかにした。買収金額は13億9千万ドル。

 ウィスラーマウンテンとブラッコムマウンテンからなる同リゾートは、冬はスキー、夏はマウンテンバイクやハイキングなど、1年を通してアウトドアが楽しめるリゾートとして、北米でもトップクラスの実績を持つ。2010年にはバンクーバー冬季オリンピック・パラリンピックの会場としても利用された。しかしオリンピック以降、特に業績が伸びたということはなく、昨シーズンは雪が少なくスキー客が激減するなど苦戦していた。そのため、天候による不安定要素などを解消するために、現在施設のアップグレード化を図っている。

 一方、ベイル社はアメリカのコロラド州やオーストラリアに同様のリゾートを所有し、ウィスラー・ブラッコムを買収することで、北米、オセアニア、そしてアジアを含む環太平洋の顧客を取り込みたい狙いがある。ベイル社が所有するリゾートの共有パスで全リゾートを利用できるようになり、ウィスラー・ブラッコムもこの中に含まれるとしている。

 今回の発表で、ウィスラー・ブラッコムの株式は47・6パーセント、ベイルは9・7パーセント上昇した。最終的には今秋にも契約が締結される予定で、その後はウィスラー・ブラッコムで大幅な改善が行われるとみられている。

 

System.String[]

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。