2016年8月11日 第33号

 ブリティッシュ・コロンビア州政府が8月2日から実施した外国籍の不動産購入者への新課税の影響が、メトロバンクーバー市場に出始めているとの声が上がっている。

 実施開始から1週間が経った8日、グレーターバンクーバー不動産協会ダン・モリソン会長は、新課税が原因で取引に影響が出る物件は427件になるとの試算を発表した。ただ、これは不動産業者に電子メールで問い合わせた回答を基にした数字で、予測される取引件数としている。実際にどれほどの影響が出るのかについては、もう少し時間が経たなくては分からないという。「詳細が分かるには1年はかかるだろう」と語っている。

 高騰し続けるメトロバンクーバーの不動産市場は、止まる気配が一向に見えず、7月の住宅価格も前年同月比で32・6パーセント上昇。こうした現象が続く原因の一つが、海外からの投資目的による不動産購入にあるとして、ようやく重い腰を上げてBC州政府が打ち出した政策が、外国籍の投資家による不動産購入への新課税導入だった。

 同州政府は7月、カナダ市民権、永住権を有しない外国籍不動産購入者の取引に対し、8月2日から新たに15パーセントの課税を導入すると発表した。

 この政策に対しては賛否両論あり、不動産業界からは海外投資家が他の都市に逃げるだけで、メトロバンクーバー市場の価格下落にはつながらず効果は薄いとの批判的な見方がある一方で、ある程度価格下落に貢献するとの専門家の意見もある。同様の不動産課税はイギリスやオーストラリアでも導入されている。

 また、ある専門家は今回の州政府の動きに対し、国際法に違反するとして海外投資家から提訴される可能性もあると指摘している。

 

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