2016年8月18日 第34号
カナダ空軍が現在運用しているジェット戦闘機、CFー18の後継機にいったんは選ばれたものの、その選定プロセスの不明瞭さや、度重なる開発の遅れと費用高騰のため、ジャスティン・トルドー首相がその見直しを宣言するなど、何かと話題にのぼるアメリカ製の次世代ジェット戦闘機Fー35が初めて、カナダに飛来した。
デモ飛行は行わず、地上展示だけであったが、ブリティッシュ・コロンビア州アボッツフォード空港で12日から3日間開催されたエアショーのために同空港を訪れたのは、アメリカ・ユタ州のヒル空軍基地をベースとする、第34戦闘飛行隊の2機のFー35。
そのうちの1機は、同飛行隊隊長のジョージ・ワトキンス中佐が自ら操縦。メディアの取材に対しFー35は素晴らしい戦闘機だと語っている。彼によれば、Fー35のステルス技術、先進レーダー性能、警戒警報システムのいずれもが秀でていて、敵への先制攻撃のチャンスを増すことができ、結果的に戦闘におけるパイロットの生還率を高めることにつながると説明。この機体に乗ってしまうと、他の機種で戦闘に赴く気にはならなくなると語っていた。
スティーブン・ハーパー元首相は2010年に、このFー35を64機購入すると発表していたが、ジャスティン・トルドー首相は問題の多いこのジェット戦闘機の導入を白紙に戻すとともに、次期戦闘機選定のための公開コンペを行うと宣言。さらに6月には議会で、Fー35は設計上の能力発揮には程遠い状態だとも発言していた。
しかし、その2カ月後、アメリカ空軍はこの戦闘機が、実戦配備に求められる最小限の要件を満たす運用能力試験にパスしたと発表した。
カナダはFー35の共同開発国に名を連ねており、そのステータスを維持するため、今年初めには3000万ドル超を拠出している。
カナダが80年代に購入した77機のCFー18は、耐用年数を約20年として設計されている。しかし、旧保守党政権は約4億ドルをこの機体に注ぎ込み、少なくとも2025年までは現役で運用できるよう改修を行ってきている。