■和太鼓を始めたきっかけは何でしたか?
地元の短大卒業後、建築業、農業、英
語塾講師、保育士など、いろいろな仕事
を経験しました。私はその当時は太鼓の
音が好きではなかったのですが、リー氏
の練習中の音を聴いた時に「太鼓の音色
には、いろいろな音があるんだ」と感じて
興味を持ちました。彼に話しかけてみた
ことがきっかけとなり、和太鼓グループ
の恋姫太鼓に参加しました。2003 年5
月より厳しい練習を続けて演奏技術を向
上させ、国内はもとよりアメリカ、カナダ、
台湾、スコットランドなど海外でも演奏活
動に励むようになりました。
■ BC 州ケローナに住んでいる理由は?
ケローナに最初に訪れたきっかけは和
太鼓の北米ツアーでした。初めて来た瞬間
にケローナがとても気に入ってしまいまし
た。後に両親と共に再訪したほどです。山
や自然が長野県の雰囲気と重なり、ホッと
したのを覚えています。出会った人たちも
とてもフレンドリーで優しかったのが印象
的でした。英語力をつけたかったのはもち
ろん、ケローナについてもっと知りたくなり、
2008 年にワーキング・ホリデー・ビザで
渡加しました。この滞在時に、いろいろな国
の料理を食べたり、異文化の料理を覚えた
い、英語が話せるようになりたい、カナダ式
に寛いでみたい、ケローナの『Yamabiko
Tai ko』で演奏を楽しみたい、そして、カナ
ダの子供たちにも太鼓や踊りの楽しさを教
える機会を持ちたいという夢を全て果たせ
ました。ワーキング・ホリデー後は日本に戻
り、建築、農業を学びながら英語講師をして
いました。ケローナ在住の現夫と遠距離交
際を続け、2012 年9 月の結婚を機に再度
ケローナに住むことになりました。
■現在の活動について教えてください。
現在はケローナの和太鼓グループ
『Yamabiko Taiko』で活動しています。
日本にいたときのように日々に追われてい
た時期とは一転し、ボランティアをしたり
今後についてゆっくり考えたりする時間が
持てるようになりました。日本にいた頃に
は「糖度8度以上のトマト」の研究をして
いました。野菜ソムリエでトマト農家の佐
藤愛子さん(2012 年野菜ソムリエ・サミッ
トのトマト部門で全国第二位受賞)と連絡
を取り合って今でも研究を続けています。
私の故郷の長野県に「Weed garden」
という大好きな隠れ家風のカフェがありま
す。オーナーの佐々木さん夫妻は荒れ地
だった場所を自らの手でカフェを建て、陶
芸や庭作り、寄せ植えなどすべて自分た
ちで行っています。そんな生き方に
憧れています。お二人がしていること
に少しでも近づきたくて、まずは今で
きることとしてお茶とハーブを勉強中
です。
■これからの抱負は?
これからも日本・カナダに関わらず
太鼓活動、トマトの研究、お茶やハー
ブの勉強などを続けていきたいです。
『Yamabiko Taiko』はもちろん、
私自身も飛躍できるようにコツコツと
精進することをモットーにしています。
ペンティクトンで開催された第4 回ワー
ルド・リズム・フェスティバルでは、世界
各国のさまざまなドラムや打楽器のワーク
ショップが企画された。この会場で和太鼓
のインストラクターとしてワークショップを
率いたはるみさん。記者もはるみさんの指
導の下に撥を手に掛け声を発しながら和
太鼓を叩いてみた。まるで武道のような統
制のとれた動き方で、その音色を聴きな
がら演奏すると、心身が小気味よく感じる
のだと実感した。周りではカナダ人の参加
者がお腹に響き渡るような力強い太鼓の
音色を楽しんでいた。翌週のケローナ地
元紙Western News には、はるみさん
が和太鼓を教える姿が写真入りで報道さ
れていた。和太鼓という日本文化を披露し、
教える役割を担っているはるみさんのこれ
からが楽しみである。
2013年10月03日 40号掲載