2018年3月15日 第11号
前回は、「自分の子供だからこそ『さん』付けで呼び、お願いをするときは丁寧語を使ってみましょう。というテーマでしたが、お子さまの反応はいかがでしたでしょうか? さて、今回は、前回に引き続きお母様方のアンケートをもとに2つめの課題を解説していきたいと思います。
課題: 「あと20分でご飯ができますから、そろそろ片付けてください」と食事時間を予告してみましょう。
結果: 今までは、何度呼んでもなかなか席につかずイライラしていました。しかし早めに予告をすることによって片付けるタイミングがわかるようになり、食事がスムーズに始められるようになりました。また、時間を意識するきっかけができたようで、食後も時計を気にするようになり、時間を有効的に使えるようになりました。
★福本の体験 私が子育て真っ最中の頃、「ご飯よ〜」と声をかけてもすぐにテーブルにつくことはありませんでした。「ほら〜早くしなさい」とつい声が大きくなってしまうことも度々でした。
しかし、娘達も大人になったある日、NHKで「子育ての悩み」の特集の中に「お母さんが子供に早く食事を食べてほしいのに、呼んでもすぐに来てくれなくてイライラする。このようなときはどうすればいいのでしょうか?」という質問がありました。
専門家の回答は「食事の用意ができる頃を見計らって、お子さんに片付けの時間を予告してあげてください」とのことでした。なかなかいい回答だと思い、今更ながら私もあの頃に知っていれば怒ったりしなくても良かった、と自分の経験を振り返りこの課題に至りました。
また、私がこの課題を出したもう一つのきっかけは、高校や大学に進学するとき、また就職先等どこをどう選べばいいのか、その選択に「どうしよう、どうしよう」と悩んでいる人を多く見かけたからです。
どうしてこんなに悩むのか、またその解決方法はあるのかないのか、長年自問自答をしていました。そこで “小さいときから先読みをさせる訓育をしてはどうか”と閃き、上記のような課題に至ったのです。
私は、予告を理解させることは先見力を養うことに繋がり、ひいては目標や夢を描けるようになれると思っています。
そのいい事例がオリンピックを目指すアスリート達です。オリンピックを目指す人たちの年齢は、3歳から5歳が多いと言われています。伊調馨選手は3歳からレスリングを始め、羽生結弦選手は4歳からフィギュアスケートを、高木美帆選手は5歳からパシュートを始め、オリンピックで金メダルを目指していたようです。
オリンピック選手の事例は少し極端かもしれませんが、何事においても親が意図的に予告をしてあげることで、次の行動を想定したり、仮説を組み立てる能力を養えるようになるのではと思っています。
今の時代はなにごとにも便利になりすぎて、大人ですら考える力が衰えているような時代です。
一見たいしたことではないように思いますが、「あと20分でご飯ができますから、そろそろ片付けてください」と幼少の時から予告をしてあげることは、先見力を養い、明確な目標を持つきっかけ作りになるのではと、思っています。
次号に続く。
著書紹介
2012年光文社より刊行。「帝国ホテルで学んだ無限リピート接客術」一瞬の出会いを永遠に変える魔法の7か条。アマゾンで接客部門2位となる。
お客様の心の声をいち早く聞き取り要望に応えリピーターになりたくさせる術を公開。小さな一手間がお客様の心を動かす。ビジネスだけでなくプライベートシーンでも役立つ本と好評。
福本衣李子 (ふくもと・えりこ)プロフィール
青森県八戸市出身。接客コンサルタント。1978年帝国ホテルに入社。客室、レストラン、ルームサービスを経験。1983年結婚退職。1998年帝国ホテル子会社インペリアルエンタープライズ入社。関連会社の和食店女将となる。2005年スタッフ教育の会社『オフィスRan』を起業。2008年より(社)日本ホテル・レストラン技能協会にて日本料理、西洋料理、中国料理、テーブルマナー講師認定。FBO協会にて利き酒師認定。