新しい年が明けた。「今年はこんな年にするぞ」と目標を掲げ、すでに実行している読者の方も多いことだろう。36にもなれば、毎年正月にたてる自分の目標も、2月に入る頃には、しっかり忘れているとわかってるだけに、今年は「目標なんて面倒だからたてない」宣言をした。
その言葉を後に、年初めの早朝ホットヨガに向かった。私は1月のヨガのクラスが苦手だ。「ヨガに通う」を新年の目標にした人たちが押し寄せてくるため、スタジオが缶詰状態になるのだ。予想通り授業が始まる15分前には定員の50人に達成し、すでに意欲に満ちた生徒達の吐き出す生温い息がスタジオ内に充満していた。
そんなところ斜め前でストレッチを始めた女性が視界に入った。同い年くらいだろうか。中肉中背、朝起きてそのまま来た様子で、別に取り分け目立つわけでもない。要は、どこにでもいる普通の女性だったので、自分の後ろ姿でも見ている気分になった。
視線が上から下へ向かうにつれ自然と彼女の「かかと」が目に入り、一瞬にして目が覚めた。真っ白なヒビとシワだらけになった、全く手入れされていないかかとだ。かかとだけを見たらうちの71になる姑より年季が入っている。恐る恐る自分のかかとに目を向けた。サウナ状態のスタジオのなか、さっと血の気が引くのを感じた。私のかかとも彼女のそれと同じ、いやそれ以上だった。
2児の母親になり、育児に仕事に忙しいなか、自分のかかとなんて最後に見たのはいつだろう。このままでは36にして、すでに老化急行一直線だ。目標なんてたてないと、生意気なことを言っていたが、今年は目標を立てずにはいられない窮地に追い込まれたのは言うまでもない。