2017年7月27日 第30号
夏休みも4週目に突入し、久々に子供たちを連れて近所の図書館へ行ってみた。キッズエリアには、絵本やチャプターブック、小説や実用書などが所狭しとカテゴリーごとに配列されている。ノンフィクション、フィクション、DVD、ゲームソフトなどが堂々と並ぶなか、片隅にひっそりと『グラフィック・ノベル』が存在する。カナダの児童を対象にした漫画とは、一体どんなものかと、気になって、ちょっと覗いてみると、すごい!日本の漫画ばかり。しかもドラえもんからキャプテン翼まで、かなり懐かしいタイトルが。こんな小さな町の、こんな小さな図書館で、こんなレトロな漫画に再会するなんて。だが、果たしてカナダに住んでいる子供たちがドラえもんの存在を知っているのだろうか?ポケモンのことなら(ポケモンマスターになりたいという言う近所の子供もいるくらいだから)熟知のことだろうが、さすがにドラえもんの話をしている子供には会ったことがない。過去に読まれてきたのだろうかと、本を取ってみると、ドラえもんもキャプテン翼もかなり愛読された跡が見受けられ、変色までしている。なんて嬉しいことだろう。
さらに感動したのが、スタジオジブリの『借りぐらしのアリエッティ』の漫画本だ。北米ではディズニーが配給して公開しただけに知名度も高く、漫画が存在しても驚くほどのことではないのかもしれないけど、この作品の脚本家である丹羽さんは、私が原作を担当したコミックエッセイ「姑は外国人」の編集者でもあるのだ。一緒にお仕事をさせてもらっただけに、思い出もたくさん。だからジブリ関連の本やDVDのジャケットに、ローマ字表記の彼女の名前を見るたびに、私はついつい嬉しくなって、それをカメラで撮り「丹羽さんの名前、オタワでしっかりと見ました!」とメールを送りたい衝動に駆られる。でもそんなことをしてたらキリがない。脚本家として過去にさまざまなジブリ作品を手掛けているだけに、彼女の名前は本当にいろんなところで目にするのだから。
そんな感動をともないながら、我が子だけに限らず、カナダで生まれ育った子供たちが少しでも多く日本に興味を持ってくれたらいいなと思い、今日は図書館を後にした。そして図書館で借りてきた漫画をさっそく子供たちと一緒に読もうと鞄から出すなり、息子が一言「ママよりダディーのほうが日本のこと詳しいから、ダディーと一緒に本を読むよ」と2階に行ってしまった。そっか…日本育ちの私のほうが、カナダで生まれ育ったダディーより断然日本に詳しいと思っていたんだけどな〜。なんだか複雑な気分になった。(笑)
ドラえもんやキャプテン翼が英語版で児童書の漫画セクションに!
ドラえもんやキャプテン翼が英語版で児童書の漫画セクションに!
ドラえもんやキャプテン翼が英語版で児童書の漫画セクションに!
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■小倉マコ プロフィール
カナダ在住ライター。新聞記者を始め、コミックエッセイ「姑は外国人」(角川書店)で原作も担当。
ブログ: http://makoogura.blog.fc2.com