2017年10月26日 第39号
ポン、ポン、ポン。軽快な音で昼間から何度も携帯電話にメッセージが届く。娘の幼稚園からだ。「何かあったのかな?!」と心配になってメッセージを見ると「今、子供たちは公園で楽しく遊んでいます」「○○君は飛行機の絵を描きました」といった具合に、先生方が幼稚園での状況を随時、保護者たちに報告してくれる。このメッセージは昼間だけに留まらず、夜も週末もなにかとメッセージが送られてくる。「良い週末を」「明日は寒いらしいですよ」「土曜日に偶然幼稚園児に遭遇しました」とー。先生方は、セルフィーや絵文字もしっかりマスターしていて、スマホ時代の波にのりきれていない私は、このひっきりなしの情報量に押しつぶされそうになる。そして、ふと、こんなに毎日メッセージを送ってもらう必要があるのだろうかと、疑問に思ってしまう。
今、私たちはスマホひとつで情報が簡単に手に入り、同時にこちらからも情報を簡単に発信できる社会で生活している。バスや電車のなか、レストランやショッピングモールなど、外に出れば必ず誰かが携帯電話を見ている。今、この瞬間、携帯電話を見ていない人のほうが少ないんじゃないかなと思ったりも…。スマホ依存症という言葉を耳にするようになってきたけど、常に情報が入ってこないと不安を感じたり、逆に情報を発信しないと気が済まない人たちは、意外と身近に存在するのかもしれない。メッセージをもらうのが嫌だったら、見なければ良いと言うわけにもいかない。このスゴイ量のメッセージの中に、ひとつ、ふたつ大切なメッセージが混ざっていたり、先生からの個人的な質問や、娘のかわいい写真なんかが急に送られてくるのだから。スマホでの子育ては、便利なんだけど、面倒でもある。
■小倉マコ プロフィール
カナダ在住ライター。新聞記者を始め、コミックエッセイ「姑は外国人」(角川書店)で原作も担当。
ブログ: http://makoogura.blog.fc2.com