2016年8月18日 第34号

 私が少年だった頃の日本では、夏だけ活動する音楽グループが、夏や夏休みをテーマにした歌詞で次々と大ヒットを飛ばしていました。今思えば、その歌詞にはなかなか刺激的なものもありましたが、そんな意味も分からずに口ずさんでいた少年少女はたくさんいたことでしょう。

 そんな私と同じ時代、またはそれ以前の昭和から平成に日本で育った親御さんにとって、他の人に相談しづらいのがティーンエージャーの避妊方法についてです。そもそも日本では生殖の仕組みについて学校で教えてくれても、避妊方法について隅から隅まで教わったという話はあまり聞きません。また日本で避妊目的の低用量ピルが認可されたのは、私が大学生になったころでした。しかし、時代も変わり、また日本からカナダへと国も変われば、親御さんとしてもカナダにある避妊方法について知っておく必要があります。今日は最もよく処方される、「ピル」について説明します。

 一般にピルと呼ばれる薬は、経口避妊薬のことで、英語ではOral contraceptive pill (OC)といいます。カナダには、ジェネリック医薬品も含めれば何十種類ものピルがあり、様々な配合のものが存在します。体質や副作用、併存疾患を考慮して最適なものをドクターが選びます。

 ピルの副作用と聞いて敏感に反応する人が多くいるかもしれませんが、どんな薬にも副作用はつきものです。吐き気、倦怠感、不正出血、頭痛、乳房の張りなどの副作用を訴える人もいますが、服用を継続することで軽減するものもあります。しかし、副作用の程度がひどく、処方されたピルが自分に合っていないと思ったら、きちんと医師に相談してください。前述のようにカナダには何十種類ものピルがありますから、「違うピルに変えたら副作用が軽減した!」ということはよくあります。

 ピルを飲むと「将来妊娠できないのでは?」という不安を口にする方は、今でも多いようですが、このようなことはありません。事実、ピルの飲み忘れによって妊娠する確率は上がりますし、またピルは生理不順や月経困難症などを改善するためにも用いられます。

 ちなみにピルを飲み忘れた場合には、飲み忘れたタイミングと、何日間飲み忘れたかによって、対処法が変わってきます。飲み忘れ時の適切な対処方法については薬局薬剤師に相談してください。まずは、毎日決まった時間にしっかりと服用する習慣を作ることが何よりも大切です。

 毎日内服するピル以外にも、パッチ型の避妊薬(商品名Evra)、膣内に一定期間挿入するリング型の避妊薬(商品名Nuvaring)、3カ月に一回の注射薬(商品名Depo-Provera)、そして子宮内装具(Intrauterine device;IUD)(ホルモン系および非ホルモン系の製品あり)と、様々な製品がありますので、参考までに。

 これだけ女性主導の避妊法の話をすると、男子には何も役割がないように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。男子には「コンドーム」をつけることが出来ます。パートナーがピルを飲み始めたからこれで安心と思うのは、早合点。最低でも最初の一週間は、バックアップメソッドとして、コンドームの使用が必要です。また、コンドームは性感染症を予防します。

 性教育の第一人者であるメグ・ヒックリングによれば、性教育が進むとセックスの開始年齢が上がり、パートナーの数が減ると説いています。同様に、早期から男子、女子の両方に適切な避妊方法を教えることで、ティーンエージャーの「望まない妊娠」を減らすことが重要です。

 


佐藤厚

新潟県出身。薬剤師(日本・カナダ)。
2008年よりLondon Drugs (Gibsons)勤務。
2014年、旅行医学の国際認定(CTH)を取得し、現在薬局内でトラベルクリニックを担当。
2016年、認定糖尿病指導士(CDE)。

 

 

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