2018年2月15日 第7号

 聞くところによると、「二人三脚」という競技は今も学校の運動会でのハイライトの一つと言う。これは2人一組になり隣同士の足首を紐で結んで駆ける競争で、肩を組み「イチニ、イチニ」と呼吸を合わせて走るのがコツ。息が合わなければ必ずこける。

 それをもじって一般社会では、良き仲間同士の仕事振りや、はたまた仲良しの夫婦を指す慣用句になっている。もちろんポジティブな意味合いで使われるが、特に夫婦の場合は好もしい関係として受け取られる。

 「気候が温暖」という最大の理由で、リタイア後に西海岸に引っ越してくるシニアたちを見るとこういうカップルは多く、どこに行くにも何をするのも一緒。散歩や日常の買い物はもとより、観劇、旅行、パーティー、挙句はエキササイズのクラスまでいつも同伴なのだ。まるでつがいの鳥のように、一人を見かければ必ずお相手が近くにいる。武者小路実篤の名言通り「仲良きことは美しきかな」を地で行っているのだ。

 しかしどんなに仲睦まじくても必ず一緒に死ぬとは限らない。多くの場合女性が残される。となると夫が亡くなった後の数年は、女性が一人で生きなければならない。しかしよく聞く例は、一時は奈落の底に落とされた感があっても、時間が経てば生き生きとして独り身を謳歌する女性は多いとか。その場合は、女性に最低限の経済力がある事、また趣味や社会活動などで時間を分かち合う仲間がいる事が大きいようだ。

 最近英国からのニュースで話題になったのが、Minister for Loneliness(孤独問題担当国務大臣)という役職が設立されたことである。同国では高齢者に限らず、一ヶ月以上親戚や友人などと一言も会話をしない人が何と20万人もいる事が分かったそうだ。

 だがこれは英国だけの問題ではなく、ビクトリアでもいかにも寂しそうな風体でトボトボ歩く老人を見かけることは珍しくない。服はヨレヨレ、頭はボサボサ、すれ違うと体臭がひどく日常生活が容易にしのばれる。殻に閉じこもる蓑虫に例え、ここでは彼らをコクーン症候群と呼ぶ。

 ところでよく話題になる「世界で一番の長寿国はどこか?」という問いには、調査機関などによって異なるため信憑性が定かでないことがある。時にはアンドラ公国(スペインとフランスの国境)が出て来たり、漢方ドリンクが普及している為に香港が一位だと言う説もあったりする。

 その中で一番信じられるのはWHO(世界保健機構)ではないかと思うが、最新(2016年)の統計では、予想にたがわず日本(83.7)が一位で、スイス(83.4)、シンガポール(83.1)と続く。カナダは12位(82.2)で100歳以上は8230人いる。

 人口が異なるため単に数で比較はできないものの、日本には6万7千人いて年々増加傾向にある。政府はこれを受け国を挙げて「人生100年」を謳っており、まだ現役の人がよく話題になる。そんなcentenarianが書いた著書も何冊かあり、美術家篠田桃紅(とうこう)さんの『一〇三歳になってわかったこと』(幻冬舎)、女性写真家笹本恒子さんの『好奇心ガール、いま101歳』(小学館文庫)などがよく売れているとかで、今流に言うとアラハン(Around100)本というのだそうだ。

 某調査では2007年生まれの子供は、その50%までが100歳前後まで生きるとの計算があるとか。長生きは世界的傾向となれば、如何に健康寿命が保てるかが大きな課題となるのは言を待たない。

 


サンダース宮松敬子氏 プロフィール
フリーランス・ジャーナリスト。カナダ在住40余年。3年前に「芸術文化の中心」である大都会トロントから「文化は自然」のビクトリアに移住。相違に驚いたもののやはり「住めば都」。海からのオゾンを吸いながら、変わらずに物書き業にいそしんでいる。*「V島 見たり聴いたり」は月1回の連載です。(編集部)

 

 

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