2017年1月19日 第3号

 何年カナダに住んでいても、クリスマスの賑やかな行事の後に来るお正月が、たった一日の休日であることに物足りなさを感じる日本育ちの方は多いことだろう。とはいえ、最近の日本も新年とはいっても昔ほどではないと聞く。それでも、あののんびりとした「三が日」の雰囲気は離れるほどに懐かしく思い出される。

 それを味わいたくて、常より高い飛行機代を払って訪日する人も多い。今年も親、兄弟姉妹、親しい友人たちとの再会で楽しい時間を過ごした人はいい思い出ができたことだろう。

 一方、久し振りに実家に帰って、親の「老い」という現実に驚いた人も少なからずいるようだ。友人のS子さんもその一人。この2、3年仕事が忙しく連絡はもっぱらEメール、Skype、国際電話でやり過ごしていた。しばらく前に夫を亡くし一人暮らしになった母親だが、まだそんなテクノロジーを使えるからと、S子さんは心の片隅で安心していた。だが現実は非情で、お正月に久しぶりに会って忍び寄る加齢に正直驚いたという。

 今はまだ日本の厚生労働省が定義している健康寿命「社会生活(学業・就労・運動など)を営むうえで制限のない期間」の範疇に入る。だが、これからも続く母親の独居生活、一人っ子である自分の立場を思うと「途方に暮れる…」と憂鬱そうだ。

 一方、もう何度も考えた「カナダに来てくれないだろうか」との思いが頭をかすめる。父親が健在の頃から移住を勧めたが、決して首を縦には振らなかった。住み慣れたご近所を離れる気はないと言われ、それ以上押すことはできなかったのだ。

 S子さんのように一人っ子や、また子供の配偶者とうまくいかない親が日本にいる、外国暮らしの子供の心配は、かなり深刻のようだ。

 反面、新年に日本老年医学会は、高齢者の定義を「75歳以上」にすべきとの提言をした。元気なシニアが多いのを受けてのこと。現在65歳以上は27%、もし75歳にすると13%と半減する。だがそうなると、年金支給齢も10年遅くなることに繋がるかもしれない。

 それぞれお国柄があるのは分かるが、同医学会は65〜74歳を「准高齢者」、90歳以上を「超高齢者」などと命名しているが、何でこんな区分をしなければならないのか?そこに入らない人が優越感に浸りたいからなのか、まことに不思議である。

 また最近日本からのニュースで痛ましいのは、高齢者のブレーキとアクセルの踏み違い事故である。車社会のカナダも高齢者の事故は少なくないが、BC州では80歳になったら2年ごとに医者からDMER(Driver's Medical Examination Report)と呼ばれるお墨付きの書類をRoadSafetyBCに送らなければならない。何しろ広い国だし、町のど真ん中でさえ交通機関が日本ほど発達していないことを思えば車の運転は必須だ。

 ビクトリアは国内で一番温暖なためリタイア後の移住が多く、シニアの人口は18.4パーセント(2011年)で確かに全国平均の14.8パーセントよりは高いが、本土に目を向ければケロウナは19.2パーセント。それでもG8の国の中でカナダはシニア年齢層が最下位なのだ。

 

 


サンダース宮松敬子氏 プロフィール
フリーランス・ジャーナリスト。カナダ在住40余年。3年前に「芸術文化の中心」である大都会トロントから「文化は自然」のビクトリアに移住。相違に驚いたもののやはり「住めば都」。海からのオゾンを吸いながら、変わらずに物書き業にいそしんでいる。

 

 

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