2020年1月16日 第3号

153カ国中121位

 「ニイマルニイマル」という響きの良い年が明けた。日本は新天皇を迎え令和二年になり、いよいよ鳴り物入りのオリンピック・パラリンピックの開催年になった。

 周知の通りカナダでは、日本のように年末年始に対する一種独特な感慨のようなものを感じる人は少ない。クリスマスに向けて人の思いが集中した後の12月31日は、月の終わりの一日に過ぎず、町によっては申し訳程度の花火があがる。だが明けて迎える1月1日は、祝日ではあるものの休みはたった1日のみ。翌日からは“Business as Usual”である。

 さてネズミ年の今年はどんな年になるのかと思いながら、私の年始の行事である溜まった新聞、雑誌、パンフレットの切り抜きや、コンピューターにも山のように入っている情報を整理し一年を振り返った。

 何といっても集めたニュースで一番多かったのはカナダは総選挙関連で、トルードー首相率いる自由党が少数政権に終わったことだった。国民の不満が数字に表れ反旗を翻された形だが、一つ大いに称賛すべきは二期目も男女同数の閣僚を選出したことだ。こんな数字は日本の政界では夢の夢である。

 一月ほど前に世界経済フォーラム(WEF)が発表した男女平等度を示すジェンダーギャップ指数によると、日本は前年(110位)から更に後退し、153カ国中121位で過去最低の数字である。

道遠い女性の活躍

 安倍首相が選出された直後の2013年のスピーチで「女性の活躍は成長戦略の中核をなす」と声高にうたいあげてから6年後の結果はかくの如くのこのていたらく。永田町からのニュース画像を見ると、昔は「ドブネズミ」と揶揄された紺か黒の背広姿の男性しか映っていないのは今も全く変わらない。

 だが一方、つい先日の日本経済新聞の働く女性2千人に行なった調査によると、管理職になった女性の7割が「良かった」と回答している。キャリアを積み重ねている女性が増え、職場環境が変化しているのだろうかと一条の光を見る思いがする。

 少子高齢化の社会を思えば、待ったなしに女性の起用が必要なのが日本社会の現状である。昇進の大きな魅力は「給料のアップ、自己の成長」というが、一方尻ごみする理由は「責任や負担の増加」がネックで、子供がいる場合は40%が「家庭との両立が難しい」ことを理由に挙げている。

 5年ごとに行われる『社会生活基本調査』の2016年の結果では、夫婦共に正規社員で6歳以下の子供がいる家庭で、夫の家事・育児の分担率は20%弱とある。つまり8割を妻が負担していることになるのだ。これでは妻がキャリアを遂行していくことは至難の業だ。

 こういう数字はもちろん地域によって異なるし、年々男性の意識も変わってはきているだろうが、働く日本女性は何と大きな負担を背負っていることだろう。

 ふと思い出すのは、昔カナダの大学で社会学を教えていたある日本人女性が「日本のお弁当文化が原因」と漏らした一言だ。公立校は給食が出るが私立はお弁当持参。となると母親はおにぎりでパンダ面を作り、ウィンナーをタコ風に仕上げるなど見栄えの良いお弁当を作るため毎朝汗だくと聞く。「専業主婦でなければやっていけないわよ」とくだんの女性は言う。

北米の場合

 では北米の場合はどうかと見れば、ハーバード・ビジネススクールが行った調査が興味深い。北米の男性の3/4は育児をパートナーと同等に分担することを厭わないとしているが、女性たちは、その平等主義への考えが裏切られることがあることを十分に知っているという。

 さらには白人男性の39%、白人以外の男性の48%はパートナーが仕事を持つことを重要と考えているものの、後者の男女の方が15〜20%もチャイルドケアに関して進歩的な考えを持って前向きに取り組んでいるという。つまり白人男性の方が、積極的に子育てに関する行動をしていないことになる。

 一般的に北米の男性の方が日本人男性より子育ての分担を平等にしていると思われがちだが、人種によって異なる結果が興味深い。

 だが今は男女平等が一番行き届いている北欧の国々も一昔前は「女性は家庭に」というのが当たり前だったと聞く。強力な政府の指導のもとで今の状況を作り上げたのである。

 迎えるこれからの日々、男女のあり方、家庭のあり方はどの様に変化していくのだろうか。とこう書いている時、小泉進次郎環境大臣が妻の出産に併せて育児休暇を取るとのニュースが飛び込んできた。結構な話である。

 

年初頭集めた情報の整理に大わらわ

 


サンダース宮松敬子氏 プロフィール
フリーランス・ジャーナリスト。カナダ在住40余年。3年前に「芸術文化の中心」である大都会トロントから「文化は自然」のビクトリアに移住。相違に驚いたもののやはり「住めば都」。海からのオゾンを吸いながら、変わらずに物書き業にいそしんでいる。*「V島 見たり聴いたり」は月1回の連載です。(編集部)

 

 

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